
新型コロナウイルス(COVID-19)が消費者行動を永続的に変える
2020/04/28
2020/04/28
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、世界は大きく変化しています。人々の生活や購買方法は変わり、あらゆる点で考え方も変わりつつあります。サプライチェーンはさまざまな試練に見舞われ、小売業は営業を停止。世界中の消費者は新しい観点で商品やブランドを捉えています。
このウイルスにより、消費財業界はリアルタイムで再編され、ほんの数週間の間に長期的な基盤となるトレンドが急速に形成されています。弊社の調査では、今生み出されている新しい習慣は新型コロナ禍以降も持続し、私たちの価値観、つまり購買方法や場所、生活様式、働き方が恒久的に変化することが示されています。
しかしながら、たとえ危機的状況が今後継続するとしても、現在生じている変化を探求することにより、消費財企業として今すぐやるべきことを検討し、次に備えることができます。
消費者は、健康面や経済面における新型コロナウイルス(COVID-19)の影響に強い懸念を示しています。人々はさまざまな方法で対処し、これまでとは違う姿勢、行動様式、購買行動をとるようになっています。世界中の人々は、ニューノーマル(新常態)に適応しようと懸命に努力しつつも恐怖を感じています。この危機的状況が彼らにとって、さらには家族や友人にとって、そして社会全体に何を意味するのかを考えるほど、恐怖は高まります。
消費者はこの危機的状況にさまざまな方法で対処しています。この状況に不安や懸念を抱き、必需品や衛生用品の購入に慌てて躍起になる人や、それとは反対にパンデミックを意にも介さず、政府や医療従事者の助言に関係なくこれまでと変わらない生活をする人もいます。今後の消費財企業は、消費者による反応を理解し、それぞれのタイプに応じてカスタマイズし、個別化した戦略を練ることが重要です。誰にでも適用できるマーケティング手法は過去のものとして捨て去らなければなりません。
消費者は自分の健康以上に新型コロナウイルス(COVID-19)による経済的影響を恐れている出典:アクセンチュア新型コロナウイルス(COVID-19)消費者調査(4月2~6日実施) 「同意する」または「非常に同意する」と回答した消費者の割合
新型コロナウイルス(COVID-19)感染の流行により消費者の購買理由、購買対象、購買方法に変化が現れています。消費者が優先するものは最も基本的なニーズに集中し、衛生用品、洗浄剤、必需品への需要が急激に高まる一方、嗜好品への需要は落ち込みを見せています。また、購入ブランドを決定する際に影響する要因も「バイ・ローカル(自国/ローカル製品の優先購入)」の傾向へと変化しています。さらに、消費者が新たに食料品などの買い物をオンラインへと移行したことで、Eコマースによる販売が増加しており、この傾向は新型コロナウイルス禍後も続くことと予想されます。
こうした状況の中では、基本的な生活必需品に対するニーズが優先されます。当然ですが調査対象の消費者においても、個人の健康が最優先され、次いで友人や家族の健康が優先されます。そのほか、食糧や医療の保障、経済的保障、個人の安全も主要な優先事項とされています。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染の流行により、消費者はこれまでの日常的行動を変えざるを得ない状況にあります。新しい習慣や振る舞いを身につけ、多くの消費者が今後も長期的に継続すると考えています。
新型コロナにより加速している3つの長期的トレンド
消費財ブランドはこの変化に注意し、消費者、買い物客、従業員の健康的生活の支援を優先しなければなりません。「健康戦略」を掲げることは、近い将来の戦略的な差別化要因となるでしょう。
消費者は何を買うのかをより意識しています。食品の無駄を抑えるように努力し、買い物においては価格により敏感になり、維持可能性に優れた選択を行うようになっています。ブランドに求められるのは、(例えば、新しいビジネスモデルを模索することで)これを自分たちの提供する製品やサービスの中核とすることです。
ローカル製品を優先購入する傾向は、消費者が購入する商品(例:地元産/郷土品)や買い物の方法(例:地元のスーパーを支持)に反映されています。今後、消費財企業は地元との連携方法を模索することが必要です。地元産であることの強調、地元ニーズへのカスタマイズ、地元に関連する取組みを実施することが実現に寄与します。
消費者は購買行動の永続的な変化を予想
出典:アクセンチュア新型コロナウイルス(COVID-19)消費者調査(3月19~25日、4月2~6日実施)
新型コロナウイルス(COVID-19)感染の大流行により、多くの消費者は日常生活のペースを落とし、生活そのものを変容させており、この事実は私たちの個人的な衛生や健康に対する考え方、社会、友人、そして家族との付き合い方に大きく影響を与えています。人々は自粛生活や自己隔離により生じるあらゆる状況やその影響を支えるためにテクノロジーを高頻度で活用します。また、この危機が社会を分断するのではなく、コミュニティの形成に役立つことを示す明らかな兆候も見えています。
80%
の消費者は社会とのより強い、あるいは変わらぬつながりを感じています。
88%
の消費者はこうしたつながりは収束後も長期的に継続すると予想しています。
人々の娯楽時間の使い方にも変化が見られます。これは新型コロナウイルス(COVID-19)感染の流行やそれに関連するソーシャルディスタンス対策によるもので、この習慣もまた、今後も継続することが予想されます。半数以上(61%)の人が新型コロナウイルス(COVID-19)感染流行後も引き続きより多くのニュースを見ると考え、55%の人は家族とより長い時間を過ごすことを優先するとしています。また、娯楽、学習、DIYの増加も確認されています。
この傾向は、消費者がダウンロードするアプリの種類にも反映されており、エンターテイメント系、ニュース、ヘルスケア関連、教育関連のアプリが人気です。根本的な消費者ニーズ(例:つながる、娯楽、学習、最新情報の取得を目的)は変わりませんが、テクノロジーが実践方法を変化させています。消費財企業は従来のツールからデジタルツールへと焦点を移し、消費者との関わりやエクスペリエンスを充実させることが必要です。
企業が出社を制限し、リモートワークを奨励するため、人々は在宅勤務を実施しています。多くの従業員が将来より定期的に在宅勤務を行うこと考えています。多くの従業員がリモートワークに適切な条件やツールは整っていると感じている一方、社会的なつながりが薄れることに寂しさを感じる人もいます。従業員は全般的に、雇用者が適切な措置を講じ、彼らの健康を守り、最新の情報を提供していると感じています。
現在自宅で勤務するようになった従業員はおおむね、その状況に満足しています。当然ですが、以前からずっと在宅勤務をしていた人たちは、新たに在宅勤務を始めた人よりも、より生産性が上がったと感じ、職場で仕事をするよりも業務面で満足感を感じているようです。バーチャルワーク戦略を持った消費財企業は今後、従業員の価値命題を高め、従業員の嗜好に理解がある姿勢を示すことでしょう。
46%
これまで在宅勤務の経験がなかった人の46%が、今後は在宅勤務の機会を増やすことを検討しています。
新型コロナウイルス前後における在宅勤務の頻度の変化
出典:アクセンチュア新型コロナウイルス(COVID-19)消費者調査(4月2~6日実施、N = 1,118人の在宅勤務をする回答者)
新型コロナウイルスは健康と経済における危機であり、消費者の姿勢、行動、購買習慣に持続的な影響を及ぼします。消費財企業は、「対応」、「初期化」、「再生」の対策を講じることでさまざまな変化へ適応し、将来に向け強固なポジションを確立することが可能です。
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