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迫る2025年の崖 基幹系レガシーシステムの刷新に向けて既存システムの「見える化」に実績を持つNCS&A社との協業強化

所要時間:約5分

2023/01/10

迫る「2025年の崖」とは

「2025年の崖」は、経済産業省が2018年に発表したDXレポートに掲載されているレガシーシステムが引き起こすリスクです。一言でいうと、DX(デジタル・トランスフォーメンーション)の遅れにより、2025年以降年間最大12兆円の経済損失が発生するとの警鐘です。経済産業省のDXレポートに先駆けてアクセンチュアは、2016年にレガシーモダナイゼーションの専門組織を立ち上げ、いち早く対応準備を進めてきました。

画像引用元:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~|経済産業省

内製化が進まない要因

DXの導入を成功させている多くの海外企業は自社内にエンジニアを抱え、メンテナンスを繰り返しブラックボックス化させない体制を作り、ノウハウの継承を容易にしています。

一方、国内では、大手企業の多くはシステム子会社を持ち、「システム運用は外注化」を基本とする企業が多く、自社にノウハウが蓄積されづらい傾向にあります。メンテナンスも外注化し、自社で熟知している人は皆無となり、ブラックボックス化が加速、DXの導入が難しい状況に陥っています。

求められる企業文化の変革

世界的脅威COVID‑19により、テレワークをはじめとするITインフラの整備などDXが加速しました。一方でDXが進まなかった企業もあり、両者の違いは「企業文化=固定概念に対する変革」にあると見られています。

固定概念に囚われた企業のDXは遅れ、デジタル競争の敗者となります。COVID‑19を乗り越え飛躍するのは「素早く変革し続ける」能力を持つ企業であり、変化に対応できない企業は、2025年の崖を避けられないでしょう。

画像引用元:地域社会のDXに向けて|経済産業省

「見える化」の必要性

構築してから30年以上経過し、数千万ステップまで肥大化したラスボス級メインフレームの基幹業務システムは複雑化、ブラックボックス化しているため、短期間で大きく刷新することはできません。ITシステムの全体像を把握するために、まずは見える化に取り組む必要があります。DXレポートでもブラックボックスの「見える化」を促すための「DX推進指標」とそのガイダンスが公開されています。

「見える化」に20年の実績を持つNCS&A

この度、アクセンチュアはNCS&A社との協業を強化します。

情報システム部門の開発・保守業務においては、プログラムなどの膨大なシステム資産の管理がたいへん大きな負荷となります。散在するシステム資産に関する知識やノウハウは属人化しがちで、ドキュメントも徐々に実態とかけ離れた状態へと陳腐化していきます。

しばしば手作業で行われているシステム資産の把握・計測・影響分析をツールによって大幅に自動化し、可視化(“見える化”)することによって、単に作業を効率化し、コストを削減するだけではなく、いままで見えていなかったもの・ことを浮かび上がらせるのが、NCS&Aの可視化ソリューションです。

アクセンチュアが得意とするレガシーモダナイゼーションのプランニングにおいて、現行システム調査、見える化は非常に重要です。良い治療を行うためには正しい診断が必要であり、そのためには多面的な検査による見える化が有効です。

20年の実績を持つNCS&Aの見える化ソリューションはアクセンチュアのモダナイゼーションを強力に推進する上で欠かせない技術です。

NCS&Aとアクセンチュアの対談

-両社の強みとモダナイゼーションの現状などモダナイゼーションに対するお考えについて教えてください。

アクセンチュア

アクセンチュアでは、DX推進に向けて、老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムの刷新を支援する「レガシーモダナイゼーション」を手掛けています。

老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムを放置すると下記の問題があります。

  1. データを最大限活用できるようなDXが実現不可
  2. 将来にわたり運用・保守費が高騰
  3. 維持・保守できる人材が枯渇し、セキュリティ上のリスク増大

こうした経営上の重要な問題点について、経営者が適切に認識できておらず、また、情報システム部門が、問題を認識できていても、当事者として経営者に対してその問題を十分にとして説明することが難しい状況も見られます。

DXの足かせになっている既存システムのアセスメント(情報資産の「見える化」)は、経営者がシステム刷新を決断する上で重要であり、ITシステムに対する経営の観点からのガバナンスがなされているかについても、明らかにする必要があります。

NCS&A 

当社がお客様に信頼されるITシステムを提供する上でもITシステムの現状把握については、下記のような観点での見える化が重要と考えています。

1. 技術的負債の対象と度合いを具体的に見える化

・ 資産・ライセンスの構成
・ ソフトウェア品質とシステム運用の状況
・ 管理形態・活用状況

2. IT成熟度やデータの利活用

・ 企業におけるシステム・データの利活用
・ITシステム・IT投資の成熟度

一方、ユーザの資産であるアプリケーションプログラムの現状把握ができておらず、例えば、下記のような課題があります

・現行システムの有効な資産規模がわからない
・データベース、ファイルの使用状況が把握できていない
・ソースが存在しないモジュールや、クローン率の高いソースがある

-レガシーモダナイゼーションにおけるキーポイントはなんでしょうか?

アクセンチュア

レガシーシステムのモダナイゼーション戦略を描く上で、現行アプリケーション資産を再利用する戦術が取れるかを判断するためのアプリケーションプログラム資産の正確な把握は欠かせません。安定稼働しているとはいえ、老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムの資産把握は容易ではなく、開発保守要員のリソースが限られる中で現場担当者に調査を任せることは負担が大きく難しい状況です。

NCS&A 

当社が20年に亘って提供してきた見える化ツール〈REVERSE PLANET(リバース プラネット)〉 は、膨大なシステム資産を抱える情報システム部門の開発・保守業務を革新する可視化ツールです。散在しているシステム資産の情報を一元化して「見える化(可視化)」し、保守効率の向上、属人化の緩和、ドキュメントの最新化を実現してきました。

-レガシーモダナイゼーションを担当する方へ何かメッセージはありますか?

アクセンチュア

モダナイゼーション対象のレガシーシステムの保守生産性向上という見方をしてしまうと「失くす」ものに投資するイメージを持ってしまいますが、現行アプリケーション資産を再利用するリライトやリホストには、アプリケーションプログラムの見える化は必須です。また、リビルドを選択する場合も再構築やERPに切り替えが難しい一部の業務をリライトやリホストで延命する選択において、見える化、特に結合度分析が重要になります。近年問題となっているレガシー化が進んだ大規模で古い「ラスボス」システムのモダナイゼーションには何年もの時間が必要となり、切り替え時のテストに現行システム担当者の協力が不可欠なことからも保守生産性向上施策を取っておく必要があります。

NCS&A

長年の可視化実績を活かしたPLANETシリーズのソリューション群を「2025年の崖」に向けて下記のように再定義した目的がそこにあります。

・システム資産の可視化ツール(REVERSE PLANET)
・システム資産の棚卸サービス(AAA)
・システム資産の移行サービス(AIRS)

アクセンチュア

多種多様なメインフレーム、レガシープログラム言語が残存する日本固有の「2025年の崖」を乗り越える上で、モダナイゼーションに対して思いを同じにするNCS&Aとアクセンチュアが要員、ノウハウを共有する形で進める協業の意味は大きいと考えています。元請け、下請けというような従来型の契約では、ノウハウの共有は行われず、相乗効果が生まれませんでした。これまで何度も検討しながらモダナイズできなかった「ラスボス」級のレガシーシステムに対しては、新たなソリューションが必要であり、今回の取り組みが注目されるポイントです。

-ありがとうございます。

今後も、NCS&A社との協業強化を通じてアクセンチュアは、お客様のモダナイゼーションの実現をご支援します。

アクセンチュアのモダナイゼーションに関するお問い合わせはinfo.tokyo@accenture.comまでお願いします。

(左より:テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ シニア・プリンシパル/中野 恭秀・NCS&A株式会社 ITサービス事業本部 営業統括部 上席ビジネスコンサルタント/前田 隆氏・NCS&A株式会社 ITサービス事業本部 営業統括部 係長/田中 優記氏・テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ マネジング・ディレクター/西尾 友善)

新型コロナウイルスの感染予防のため、座談会はマスク着用およびソーシャルディスタンスを確保して安全に行いました。マスクの取り外しは一時的なものであり、飛沫等に配慮して撮影しております。

筆者

中野 恭秀

テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ シニア・プリンシパル