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ブログ

アクセンチュアとSAPによるサステナビリティ課題対応の取り組み紹介

所要時間:約5分

2023/02/03

テクノロジー コンサルティング本部 SAPビジネスインテグレーション グループに所属しているシニア・マネジャーの辻 健司です。SAPソリューションを活用したコンサルティングに従事しています。アクセンチュアは2023年1月に“2023 SAP APJ Partner Excellence Award - Sustainability Impact”を受賞しました。昨年は“SAP Asia Pacific Japan Award for Partner Excellence 2022 for Sustainability Impact”も受賞しています。本稿では、お客様のサステナビリティ課題対応のために、アクセンチュアがSAPと共にどのような取り組みを行っているかについて紹介します。

2023年は企業のESG経営の取り組みが加速します

2023年は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が開示基準を最終化、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が開示枠組みを策定、国内では3月から有価証券報告書で人的資本などのサステナビリティ情報の開示が義務化されるなど、サステナビリティ情報開示の世界基準がまとまり、有価証券報告書での開示が進みます。

また、グリーントランスフォーメーション(GX)リーグが4月から本格運用を開始、6月には金融庁が「ESGウオッシュ」対策としてESGファンドの監督指針を公表するなど、サステナビリティに自発的に取り組んでいる企業が外部から正当に評価され成長できる経済社会システムへの変革や新たな市場創造が加速します。

しかし、ESG経営の諸課題は枚挙にいとまがありません

2021年のアクセンチュアのArabesque S-Ray®データ分析によると、2013年から2020年にかけて、ESGパフォーマンスが常に高い企業は、中程度の企業に比べて総株主利益率(TSR)が2.6倍高くなる傾向があります。一方、2021年11月10日に発表したアクセンチュアの“United Nations Global Compact–Accenture CEO Study on Sustainability”によると、63%のCEOが、バリューチェーン全体でESGデータを測定することの難しさが、自社の業界におけるサステナビリティ実現の障壁になっていると回答しています。また、ESGに関するKPIを定義していると答えたCFOは47%、KPIを支える信頼できるデータがあると答えたCFOは26%に過ぎませんでした。

このような課題をお持ちではないでしょうか?

  • サステナビリティから価値を創造し、新たな成長機会を創出する

CEO、CSO:サステナビリティへの変革を加速させ、コスト効率を高め、価値を創造し、新たな成長機会を見出すために、どのような戦略を立案し、実現すべきか?

  • 組織の中に目的とサステナビリティを根付かせる

COO、CHRO:サステナビリティへの変革を通じて事業と社会に価値を提供するために、どのようにオペレーションモデル、文化、行動を変革すべきか?

  • 情報開示と競争力強化のためにESGデータを完全統合する

CFO、CIO:パフォーマンス管理、意思決定改善、価値創造に役立つESGデータと報告の完全統合をどのように実現すべきか?

  • デジタルデータを有効活用してサステナビリティ目標達成を支援する

CIO:サステナビリティの目標を達成するために、テクノロジーはどのような役割を果たすべきか?

  • ネット・ゼロ、循環型、信頼できるバリューチェーンを構築する

CSCO/CLO:バリューチェーン全体におけるエンド・ツー・エンドの可視化、ネット・ゼロ、循環、信頼をどのように実現し、価値創造とビジネスの未来につなげるべきか?

  • 適切な製品、サービス、体験を通じて、サステナブルな価値を提供する

CTO、CMO、CSO、CAO、CBO:目的、ヒューマンエクスペリエンス、サステナビリティを核とした製品、サービス、ブランドを再構築し、急速に変化する顧客のニーズにどのように応えていくのか?

アクセンチュアはSAPと共に5つの取り組みでお客様の課題対応を支援しています

アクセンチュアとSAPは、国連グローバル・コンパクトでのSDG Ambitionプログラムをはじめとし、気候変動対策・循環型経済への移行・ESG情報開示などのサステナビリティ課題対応、スタートアップエコシステムでのイノベーションネットワーク構築、などサステナビリティに関する多面的な取り組みを共同で行っています。

アクセンチュアは、Fortune Global 100社のうち91社にサービスを提供しており、サステナビリティの戦略策定から実行、テクノロジー活用サービスの包括的なポートフォリオをグローバルに展開しています。また、SAPは、グローバルトランザクション収益の77%に関係するといわれるシステムを開発、提供しています。40年以上の継続的な協力関係に下支えされたこれらの取り組みは他に類を見ません。

#1: アクセンチュアとSAPのパートナーシップは、お客様のサステナビリティ・アジェンダへの取り組みを加速させます
#1: アクセンチュアとSAPのパートナーシップは、お客様のサステナビリティ・アジェンダへの取り組みを加速させます

1. SDG Ambition-Driven Transformation

国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」は世界共通のビジョンですが、企業が加速度的に行動しなければ、2030年までに達成することはできません。国連グローバル・コンパクトと3M、SAPとアクセンチュアのパートナーシップにより運営されているSDG Ambition プログラムは、世界の持続可能性に関する最も緊急なニーズへの企業の取り組みを支援します。具体的には、サステナビリティ戦略およびジャーニー策定カリキュラムを通じて、SDG Ambition Guideとそれを支える実施フレームワーク(Integration GuideReference Sheets)を提供し、65カ国、600以上の企業を支援しています。

2. Climate Action

規制、ステークホルダーの圧力、クリーンテクノロジーの進化が、気候変動への対策を後押ししています。SAPもインテリジェント・カーボン・マネジメントを支えるテクノロジーを開発、提供しており、それらは製品毎のCO2排出量を管理するSAP Product Footprint Managementと企業の包括的なGHG排出量を管理するSAP Environment, Health, and Safety Management (Emissions Management)に代表されます。アクセンチュアは、バリューチェーン全体におけるビジネス価値を創出するために、SAPのテクノロジーを活用し、企業全体の脱炭素化への変革を包括的に支援しています。

3. Circular Economy

私たちは、気候変動、自然の喪失、不平等を推進する“take, make, waste”の線形型経済から、“take, make, take, make”の循環型経済に移行すべきです。プラスチックとパッケージは、循環型経済で取り組むべき重要トピックです。アクセンチュアは、SAP専属の共同開発パートナーとして、責任ある設計と製造のための包括的なソリューション、SAP Responsible Design and Productionを開発、提供しており、規制遵守にとどまらず循環型経済への移行に向けた変革を支援しています。

4. ESG Reporting

社会全体で、より根本的にサステナブルであることの必要性が高まっています。このような圧力は、新しいテクノロジーや規制の強化と相まって、企業にESG情報開示へのアプローチの再考を迫っています。SAPが開発したESG情報開示ソリューション、SAP Sustainability Control Towerは、SAP HRソリューション、財務、既存および将来のSAP SustainabilityソリューションにおけるESGデータソースを統合する包括的なサステナビリティ・パフォーマンス管理を可能にします。アクセンチュアは、お客様がGRI、ISSB、世界経済フォーラムのようなサステナビリティレポートのフレームワークを活用し、関連する指標を選択し、お客様固有の指標を定義することを支援します。お客様はこれらの統合されたサステナビリティデータを体系的に分析し、実行可能な洞察を導き出すことができます。サステナビリティに関するパフォーマンス・インサイト、パフォーマンス改善、ステークホルダーへの報告やコミュニケーション、これらがアクセンチュアとSAPのソリューションの核心です。

5. SAP.iO Accelerator

SAP.iO Foundriesは、アクセンチュアと共同でサステナビリティに焦点を当てたスタートアップ・プログラム「The Sustainable Future Accelerator Program」を立ち上げ、気候変動対策・循環型経済への移行・ESG情報開示などの業界横断的に重要な課題に取り組み、社会とビジネスの両方にポジティブな影響を与えることを支援しています。この協業の主な目的は、スタートアップ・ビジネスを成長させるための最適な環境を提供することで、世界で最も才能ある創業者を惹きつけることです。

次回以降は各取り組みをお客様とどのように進めているかについて具体的に紹介していきたいと思います。

筆者

辻 健司

テクノロジー コンサルティング本部 SAPビジネスインテグレーション グループ シニア・マネジャー