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調査レポート

航空業界の再創造への道筋を描く

10-分(読了目安時間)

2024/05/30

概略

  • 航空業界は、利便性・サステナビリティ・レジリエンスを重視した大きな変革の渦中にあります。
 
  • 持続可能で革新的な未来を築くため、航空会社は自らを再創造する必要があります。
 
  • これを実現するには、組織の将来を見据え、4つの重点領域分野に注力しなければなりません。

航空業界は大きな転換期を迎えている

航空業界は、急速に変化するグローバル環境の中で、利便性、サステナビリティ、レジリエンスを高めるため、航空旅行のエコシステムを根本から再創造しつつあります。 

テクノロジーは、この変革を可能にする存在であると同時に、その推進力として、旅行者の体験を刷新し、業務上の課題解決を支えています。

アクセンチュアは、300名の航空業界リーダーにインタビューを行い、彼らが最大の課題と機会をどこに見ているのか、そしてそれらに対処するためにどのような取り組みを進めているのかを明らかにしました。 ここでは、航空業界の未来の一端をご紹介します。

70%

今後6か月以内に新たなビジネスモデルからの収益が増加すると予想している経営幹部の割合

66%

今後6か月以内に新たな製品・サービスを提供するため、旅行業界以外の企業と提携すると回答した企業の割合

85%

調査対象企業のうち、航空業界が2050年までにネットゼロ目標を達成することに自信がある、または非常に自信があると回答した企業の割合

航空業界の未来を形作る4つの重要領域

01 新たな収益源

コスト上昇に対応し、従来型収益への依存を軽減するため、新たな収益源の開発が求められています。

02 旅行者体験

航空体験の中心に顧客を据え、より深く、強く、信頼される関係を構築することが重要です。

03 持続可能な未来

業務効率の向上を実現し、ネットゼロ目標、さらにはその先の達成を目指すために、より持続可能な航空業界への移行を目指します。

04 未来へ飛び立つための人材

将来に向けて自信を持って飛躍できるスキルと能力を備えた人材の育成が不可欠です。

これらの重点分野を支えるには、テクノロジーを再創造の原動力として組み込む必要があります。そのためには、強固なデジタルコアを開発することが求められます。つまり、クラウド、データ&AIの力を統合し、相互運用可能なセキュアで柔軟なプラットフォーム群を構築するということです。このコアにより、企業は新たなケイパビリティと成長機会を迅速に創出できるようになります。また、人材のケイパビリティ変革を含む再創造を推進する原動力にもなります。

01 新たな収益源を軌道に乗せる

収益

70%

今後6か月で新しいビジネスモデルからの収益が増加すると予想している経営幹部の割合。

コスト上昇が見込まれる中、航空業界のリーダーは効率性を最大化しつつ、新しいビジネスモデルやパートナーシップによる収益拡大を推進する必要があります。オファー/オーダーや新たな流通機能への対応、航空会社・空港内のリテール、革新的なパートナーシップなど、代替的な収益源を探索する必要があります。パーソナライズされたターゲット型の消費者向けオファーを形成するうえでも、データドリブンなインサイトの活用が重要になります。

カタール航空

カタール航空は、IAGの航空会社群に加わり、ロイヤルティ通貨としてAviosを採用しました。会員旅行者は、British Airways Executive ClubとQatar Airways Privilege Clubの間でAviosを移動できるようになり、フライトを別々に加算しなくても、両プログラムで最適な特典交換を利用できます。

02 顧客を常に最優先する

顧客第一

92%

自社が提供するデジタル体験はオンライン小売企業のものと同等以上だと回答した航空業界リーダーの割合。

航空会社と空港は、生成AI、AR/VR、ロボティクス、自動化などのデジタル技術を活用して、旅客体験全体の向上とバックエンド業務の変革に注力しています。現在、旅行の計画、検索、予約、リテールに加え、生成AIを活用したカスタマーサービスといった新しい手法が先駆的に開発され、顧客体験の高度化が進んでいます。 最新テクノロジーは、オペレーション効率と安全基準の向上に活用されています。たとえば、手荷物処理にロボティクスを用いること、予知保全やパイロット訓練にAR/VRを用いること、デジタルツインや予測分析でリソース配分を改善し、安全性と効率性の両面から旅客動線を最適化することなどです。

Expediaが生成AIによるインスピレーションを提供

Expediaは、ChatGPTを活用したアプリ内の新しい旅行計画機能を開始し、ユーザー操作に基づいて目的地、宿泊施設、アクティビティを提案します。この機能は、旅行のために検討したホテルの保存、合理的な日程調整、空き状況の確認、フライトやその他旅行に必要なオプションの追加を通じて、ショッピング体験を高めます。

03 サステナビリティ:必ず到達すべき目的地

サステナビリティ

64%

今後6カ月以内にサステナビリティにより注力すると回答した企業の割合。

航空会社や空港は、2050年までにネットゼロ排出を達成することを目指し、ネットゼロオペレーションに取り組んでいます。業界の関係者は、革新的なテクノロジーへの投資を進め、持続可能な航空燃料(SAF)を採用し、業務効率の最適化に取り組んでいます。

しかし、業界がグローバルにまたがる性質上、地域を超えて統一的な規制枠組みや排出削減戦略を確立する取り組みは複雑になります。さらに、化石燃料への強い依存に加え、航空機の寿命が長いことから、機材更新と技術革新を包括的に捉えるアプローチが求められます。 

航空会社、空港、メーカー、政策当局間の連携は、持続可能な航空に向けた協調的な推進を示しており、機材の近代化、航空交通管理の改善、炭素隔離技術の採用を重視しています。

WTTCと国連環境計画

アクセンチュアは、世界旅行ツーリズム協議会(World Travel & Tourism Council)と国連環境計画(UN Environment Programme)と提携し、脱炭素化を加速するための気候変動対応ロードマップを策定しました。このロードマップでは戦略をeasy、medium、hardの3段階に分類し、具体的な目標とマイルストーンを設定しています。250社のうち、42%が気候目標を設定しており、そのうち20%はScience-Based Target Initiativeの基準に整合していました。

04 従業員と人材:将来に向けてスキルを構築する

従業員と人材

98%

調査対象企業のうち、現在の業界にスキルギャップがあると認識している企業の割合。

航空業界の労働力と人材のニーズは、新たなテクノロジー、人口動態の変化、業界の進化により、急速に変化しています。業界が新たなテクノロジーを採用するに伴い、デジタルの専門性、データ分析、サイバーセキュリティ、持続可能な実践に対する需要が増加しています。既存人材をこれらの専門スキルに適合させることは、大きな課題になっています。総じて、調査対象企業の98%が、現在の業界にスキルギャップがあると認識しています。また、ジェンダー多様性とインクルージョンを推進する必要性に対する認識も高まっています。

航空業界が未来に向けて前進するためには、テクノロジー主導の未来のニーズに適応した新たなスキルを備えた人材を育成する必要があります。あらゆるワークフォースモデルを導入し、(バリューチェーンの可視化により)新たなスキルのニーズを予測し、スキリングと採用でそのニーズに応えることが、今まさに求められています。さらに、ジェンダー多様性、インクルージョン、機会均等を推進する取り組みも勢いを増しています。

航空業界の新たな飛行経路:再創造

旅行業界のリーダーは、上記のケイパビリティを基盤として、再創造を加速させることができます。テクノロジー、人材、持続可能な取り組みは、消費者の期待に合わせて絶えず自らを再創造し、将来の課題をシームレスに乗り越える柔軟な航空ビジネスの基盤であり、「変化する力」を組織のDNAの一部にします。再創造はやるべきことではなく、あるべき姿です。現在の慣行だけでなく将来の可能性をも見据えて、継続的に再創造し続ける機会です。

筆者

Ray Stetter

Managing Director, North America Aviation Lead

Carsten Weisse

Managing Director, Europe Aviation Lead

Aaron Yu Qi

Senior Manager – Strategy & Consulting, Growth Markets, Travel Technology Lead

Mohamed Gaush

Managing Director, Global Airports Lead

Sankar Subramaniam

Senior Principal, Global Travel Industry Research Lead