事例紹介 国土交通省
都市を"データで再定義"。AIとデジタルツインで3D都市モデルから新たな社会価値を創出
国土交通省が推進する3D都市モデル「Project PLATEAU」。アクセンチュアは構想初期からエコシステムの設計と運営を支援してきました。その基盤から生まれた株式会社スペースデータとの協業により、AIデジタルツインの社会実装を推進しています。
5分(読了目安時間)
事例紹介 国土交通省
国土交通省が推進する3D都市モデル「Project PLATEAU」。アクセンチュアは構想初期からエコシステムの設計と運営を支援してきました。その基盤から生まれた株式会社スペースデータとの協業により、AIデジタルツインの社会実装を推進しています。
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都市計画、防災、環境、交通——現代の都市が抱える課題は、単一の組織や技術だけで解決できるものではありません。必要なのは、多様なプレイヤーが都市データにアクセスし、それぞれの専門性を持ち寄って価値を生み出せる仕組みです。
国土交通省が推進する「Project PLATEAU」は、まさにその仕組みを実現するための取り組みです。全国の建物や地形を3D都市モデルとして整備し、オープンデータとして広く公開しています。官が整備した公共基盤の上に、民間の創意工夫を引き出す。目指すのは、データ整備にとどまらない「共創型エコシステム」を形成することです。
アクセンチュアは、PLATEAUの構想初期からプロジェクトに参画しています。目指したのは、個別の技術開発ではなく、エコシステムそのものの設計です。どのようなプレイヤーが参画し得るのか。どのようなユースケースが都市データから生まれるのか。民間活用を促進するためのガバナンスや成長戦略はどうあるべきか。アクセンチュアは、技術とビジネスの両面からこうした問いに向き合い、PLATEAUが持続的に発展するための枠組みづくりを支援してきました。
民間企業との協働によるユースケースの創出と実証から、エコシステム全体の成長戦略やガバナンスの設計、オープンデータとしての活用拡大まで、その支援は多岐にわたります。こうした活動を、プロジェクトに関わるさまざまなステークホルダーとの協業を通じて進めてきた結果、3D都市モデルの整備と公開は全国規模で広がっています。今では、多様な企業やスタートアップがPLATEAUのデータを活用した取り組みは各地で展開されており、そのエコシステムは、設計図の段階を超え、実際に動き始めています。
約300都市
2025年度末におけるProject PLATEAU 3D都市モデル 整備自治体数
150件以上
2025年度末におけるユースケース実証件数
50%以上
2025年度末における整備範囲の人口カバー率
※累計
出所:PLATEAUコンソーシアム 令和7年度PLATEAUコンソーシアム第2回定例会議 会議資料より抜粋
そんなPLATEAUのエコシステムが動き出した先に、エコシステムの「中から」、新たなプレイヤーが登場するという、想定を超える展開が生まれています。
その代表例となる株式会社スペースデータは、「宇宙を民主化する」をミッションに掲げ、衛星データとAIで地球のデジタルツインを自動生成する技術を開発してきたスタートアップです。PLATEAUが形成したオープンなエコシステムが、こうした先端技術を持つプレイヤーの参画を形にしています。同社はPLATEAUの3D都市モデルに衛星データとAIを組み合わせることで、フォトリアルな都市空間を自動生成する技術を確立しています。
実写写真かと感じるほど自然な自動生成された高精度画像
この技術的ブレイクスルーにより、デジタルツインの活用領域は大きく広がりつつあります。従来、3D都市モデルの用途は都市計画や防災シミュレーションなどの公共分野が中心でした。しかし、スペースデータの技術によって、メタバースやエンターテインメント、都市シミュレーションなど、コンシューマ領域やビジネス用途への展開も視野に入ってきました。デジタルツインはもはや個別のツールではなく、あらゆる産業の基盤インフラになり得る存在へと変わりつつあり、同時にPLATEAUのデータにも、これまでにない価値の層が加わったのです。
「デジタルツインの上に生成AIやフィジカルAIを重ねていくことで、これまでにない価値を生み出せる。私たちはそこに大きな可能性を見ています」(株式会社スペースデータ 執行役員 CTO 北澤 克樹氏)
「リアル空間をデータ化することで、AIが読めるようになり、技術として、また応用範囲の次元が変わります」(アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 齋木 康一郎)
とはいえ、優れた技術が生み出されてから、実際の社会課題の解決の間には、実に様々な要素があるのも事実です。技術を事業として成立させ、多様なステークホルダーの間に実装していく。その不可欠な要素であるビジネスと社会をつなぐ設計、この領域を担ったのが、アクセンチュアです。エコシステムの設計者として培った知見を、今度はスペースデータ社の社会実装を支える側で活かす。戦略設計から事業モデルの構築、官民を横断するプロジェクト推進まで、技術を社会価値へと転換する支援を続けています。
「スペースデータの技術を実物として一緒に見せる。そうすると、我々の提案もその説得力が目に見えて変わります」(アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 シニア・マネジャー 増田 暁仁)
エコシステムを「設計した側」が、そこから「生まれた側」と手を組む。この構図こそ、PLATEAUの共創モデルが単なる構想ではなく、実際に機能していることを生きた形で体現しているのです。
“2026年は、技術を統合するフェーズへ――その先には、産業との接続と統合がある。この二つを別々ではなく、一気通貫でつなぎ得る存在として見えたのがアクセンチュアでした。スペースデータがデジタルツインを超えた世界のトップランナーになるにあたって、そのカバーする領域の広さが我々の背中を押してくれるだろうと思っています。”
北澤 克樹氏 / 株式会社スペースデータ 執行役員 CTO(最高技術責任者)
2025年、アクセンチュアとスペースデータは覚書(MoU)を締結しました。デジタルツインの社会実装に向けた協業が、正式な事業連携として本格化しています。
スペースデータのAIデジタルツイン技術と、アクセンチュアの戦略設計・実行力。両社の強みが組み合わさることで、都市データの活用はさらに新しい領域へと広がろうとしています。
“私たちが向き合うイノベーションは、誰もやらなければ歴史に残らない。しかし実現できれば、国のインフラになり得る。それほどの挑戦だからこそ、我々スペースデータとアクセンチュアが、それぞれ互いの視点を持ち合い、双方向の視点で事業を動かす必要がある。そこにこそ、本当の意味でのエコシステムが生まれると考えています。”
小野寺 悠輔氏 / 株式会社スペースデータ 執行役員 産業共創事業本部 本部長
PLATEAUは今後、データ整備の段階から、AIを起点とした「Urban Digital Platform」へと進化していくことが期待されています。3D都市モデルのオープン化を通じて、多様な企業やスタートアップの参入が進み、都市そのものがビジネス創出の基盤として機能する。その可能性は、すでに具体的な形を取り始めています。
公共基盤を整備し、その上にエコシステムを設計し、エコシステムから新たなプレイヤーが生まれ、そのプレイヤーと再び手を組むことでプラットフォーム全体の価値がさらに高まる。この循環が回り始めたとき、都市データは単なる情報資産ではなく、社会価値を持続的に生み出す基盤へと変わります。今回のスペースデータとアクセンチュアの協業に至るストーリーは、そのひとつの成功パターンと言えます。
アクセンチュアは、この循環の中で技術・ビジネス・社会をつなぐ取り組みの支援を続けていきます。
左から、株式会社スペースデータ 高田 敦氏、小野寺氏、北澤氏、アクセンチュア 齋木、土田秦平、増田