Skip to main content Skip to footer

事例紹介 Sanofi

SanofiのiCare+が患者ケアを変革

技術でヘルスケアの仕組みをつなぎ、治療へのアクセスを加速。一人ひとりに合わせた支援を数多くの患者に届けます。

5-分(読了目安時間)

分断された仕組みを立て直す

現在の医療環境では、診断から治療までの道のりは、特に慢性疾患、神経疾患、または希少疾患を抱える人にとって、決して平坦ではないことが明らかになっています。多くの患者は、一人ひとりに寄り添わない、分断された日々のケアに直面しています。最初の症状が現れたときから、長く先の見えない治療の道のりが始まることも少なくありません。

診断からすぐに個別化された治療へとつながるべきですが、多くの患者は、保険の承認や金銭的負担の懸念、ヘルスケアシステム全体の断片化された連携など、大きなアクセス障壁に直面します。この待機期間は不安と先行きの見えない状態を生み、治療の開始が数週間から数か月遅れることもあります。ISPOR Medication Adherence Blueprint(2025年)によれば、こうした体験は画一的で非効率なものになりがちで、服薬アドヒアランスの低下を広く招いています。独立した調査によると、慢性疾患の治療を受ける米国人のおよそ半数がこの問題の影響を受けており、年間5,000億ドルを超える医療費と、防ぎ得たはずの12万5,000人の死亡につながっています。

ヘルスケア業界をリードするSanofiは、診断とアクセスの障壁によって、処方された薬を実際には受け取れない患者が70〜90%に上ると見ています。この状況を変えるため、同社は患者が受けるケアの道のりを一段階ずつ丁寧に把握することから着手しました。ケアチームが適切なタイミングで、一人ひとりに合った支援を届けられるようにするためです。

この構想が、アクセンチュアおよびSalesforceとの協業につながり、iCare+の立ち上げに結実しました。iCare+は、患者の日常における治療の体験を効率化し、一人ひとりに合わせて最適化する画期的なデジタルプラットフォームです。

イノベーションという処方箋

この変革を実現するため、アクセンチュアはSanofiとともに新たな基盤を構築しました。ヘルスケアに関わる各所を結びつけ、治療へのアクセスを速め、数多くの患者に、一人ひとりに合ったケアを届ける基盤です。

iCare+はSalesforce Health Cloudを基盤としています。患者の登録手続きを簡素化し、保険資格の確認を迅速化することで、治療までの道のりを効率化します。

障壁を突破口に変える

iCare+は、基盤の統合と即時の対応力によって、ヘルスケアの業務をどのように加速するのか。

iCare+は、Sanofi、医療機関とデータ提供事業者、保険会社、専門薬局を一つにつなぎます。障壁をその場で取り除き、治療への迅速なアクセスを実現します。

Service Cloud、光学文字認識(OCR)、電子的な保険給付確認といった仕組みが、患者とのやり取り、データの取得、保障内容の確認を迅速化します。

リアルタイムで得られるデータから、患者が何を必要としているか、支援サービスがどの程度提供できているかが分かります。ケアチームはより速く対応し、人員や資源を配分できます。

iCare+は自動化とAIエージェントによって定型業務を処理します。ケアチームは書類仕事ではなく患者に向き合えるようになります。登録手続きと保険関連の業務も効率化され、処理の速さと透明性が高まります。

iCare+はわずか9か月で導入され、20を超える市場での今後の展開に向けた土台を築きました。同時に、Sanofiは患者サービスに関するデータを完全に自社で保有できるようになりました。登録の記録、保障内容の確認結果、サービスの実績指標などです。これにより、より速く対応し、変化に柔軟に適応し、即時の分析結果をもとに日々のケアを改善できます。 基盤を滞りなく定着させるため、チームはまず、変革の推進と習熟を支える包括的なプログラムを実施しました。稼働初日から約1,100人の利用者を支援し、すぐに生産性を高めるとともに、進行中の業務への影響を最小限に抑えました。

課題を解決し、未来をつくる

iCare+は免疫領域の治療を受ける患者の支援から始まり、現在は他の専門領域の治療へも対象を広げています。これまでに65万人を超える患者を支援しており、2027年までに世界でさらに数百万人へ届く見込みです。毎月3万人を超える患者が新たに登録しており、iCare+は業界でも有数の規模を持つ患者サービス変革の取り組みとなっています。

米国だけでも、iCare+は1日あたり6,000件を超える患者からの問い合わせに対応しています。一人ひとりに合わせた案内によって、治療へのアクセスを円滑にし、事務負担を軽減しています。患者支援窓口(patient hub)の運営事業者による責任体制と効率性が高まった結果、登録率は過去最高を記録しました。患者支援窓口のサポートを必要とする患者のうち35%を超える人が、30日未満で登録を完了しています。

患者ケアとアクセスにおいて新たな基準を打ち立てたSanofiは、免疫領域での先進的な立場をさらに確かなものにしています。それにとどまらず、すべての患者の道のりがより速く、より簡単で、よりシームレスにつながる未来を築いています。ヘルスケアでは、あらゆる瞬間が患者にとって重要であり、そしてiCare+を通じて、それらの瞬間が患者にとって有利に働いています。

筆者

Angela Miccoli

Managing Director, Accenture