テクノロジー

テクノロジーとサステナビリティの統合

2022/05/19 5-分（読了目安時間)

調査レポート

概略

ネットゼロ、持続可能なバリューチェーンの構築など、企業がサステナビリティ目標を達成するためには、テクノロジーの力が不可欠です。.
アクセンチュアの最新調査によると、最も包括的かつ持続可能なテクノロジー戦略を採用している企業は、環境面だけではなく全体的に優れた業績を収めていることが分かりました。
これらの企業は、高い持続可能性を備えたテクノロジーを採用して大規模なサステナビリティを実現しています。
本レポートでは、テクノロジーがもたらす負の影響を抑えつつ事業価値とESG（環境、社会、ガバナンス）パフォーマンスを向上させるために、企業の最高情報責任者（以下、CIO）が果たすべき役割とその重要性について示しています。

企業変革に対する消費者、投資家、規制当局、社員の要求に直面している企業にとって、サステナビリティは避けて通ることのできない優先課題のひとつです。

調査によると、環境、社会、ガバナンス（ESG）に率先して取り組んでいる企業は財務面でも優れた成果をあげており、他の企業の最大2.6倍の価値を株主にもたらしています。この点からも、企業がサステナビリティ戦略に優先して取り組むべきであることは明らかです。

アクセンチュアが実施したテクノロジーとサステナビリティの統合に関する最新調査では、「テクノロジーを使用せずにサステナビリティ目標を達成することは不可能である」という結論が示されました。本調査に参加したすべての企業（売上高10億米ドル以上規模の560社）が、サステナビリティ目標の達成にテクノロジーが「重要」または「非常に重要」であると回答しています。

持続可能なテクノロジー戦略の策定

企業が持続可能なテクノロジーに関する目標を達成するためには、CIOがサステナビリティ戦略に積極的に関与することが重要になります。CIOは他の経営幹部と緊密に協力し、サステナビリティ目標の達成に有用なテクノロジーを特定するとともに、テクノロジーそのものが環境や社会に与える影響についても考慮する必要があります。

49%

CIOをサステナビリティ戦略の策定メンバーに任命している企業は全体の49％にすぎません。

45%

CIOがサステナビリティの目標達成に関する責務を担っている企業は45％にとどまります。

テクノロジー戦略とサステナビリティ戦略を完全に統合している企業はたったの7％です。

考慮すべきテクノロジーによる負の影響としては以下のような影響が挙げられます。

2007年には1.5％だった情報通信技術（ICT）分野のCO2排出量が現在は4％に上昇しており、2040年には14％に達すると予測されています。
2億1,300万個のパラメータを用いてディープラーニングAIモデルの学習を実行した場合、313トン以上のCO2が生成されると考えられています。これは、飛行機でニューヨークとサンフランシスコ間を315往復した場合に生じる乗客1人あたりのCO2排出量に相当します。
「善意のAI」が無自覚に学習した人種や性別への偏見が露見するなど、世界中でテクノロジーに対する不安や嫌悪感が急速に強まる事態が生じる可能性があります。

テクノロジーは、世界の最も困難な課題を解決するための鍵となり得る一方で、有害な副作用をもたらす可能性をはらんでいます。それらを最小限に抑えつつ恩恵を最大化するための有効なアプローチを採用することが重要になります。