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Wi-Fi位置情報のビッグデータ分析でO2Oが進化、サービス基盤を提供

朝のオフィス街でビールを売り込むような販促をしていませんか?「時と場所」に応じて訴求しなければ、成果は上がりません。

O2Oの不幸なすれ違い

アクセンチュアは、公衆無線LAN(Wi-Fiスポット)を手掛ける通信事業者のワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)と共同で、消費者の位置情報を活用したO2Oソリューションを生み出すサービス基盤を開発し、さまざまな業界の企業に向けて提供します。

朝のオフィス街で、冷えた生ビールを道行くビジネスパーソンに売り込む。果たして、売れ行きは? ―― 実際に試すまでもないでしょう。たとえ商品がどんなに優れていても、消費者の「タイミング(時)」と「場所」に応じたニーズに沿っていなければ、購買につながるとは期待できません。

ところが企業はマーケティング活動の中で、時と場所を踏まえずに消費者に訴えかけています。Webサイトやモバイル用アプリなどのオンラインで消費者に商品やサービスを薦めたり、クーポンやポイントを発行したりして、オフラインである実店舗への来店や利用・購入を促す、いわゆるO2O(Online to Offline)の取り組みもその1つです。

企業は、朝のオフィス街でビールを薦めるようなマーケティングを続けながら、売り上げが増えないと頭を悩ませており、消費者もそうしたマーケティングを受けることにうんざりしている。これがO2Oの現状です。この“不幸なすれ違い”はどこから来るのでしょうか。それは従来、消費者一人ひとりのニーズに沿った「時」と「場所」を、企業が高い精度で把握できる手段が無かったからです。

そこでアクセンチュアは、O2Oのこのような状況を打破し、企業のマーケティングを進化させる新たなサービス基盤を提供します。公衆無線LAN(Wi-Fiスポット)を手掛ける通信事業者のワイヤ・アンド・ワイヤレス(以下、Wi2)と共同で、消費者の位置情報を活用したO2Oソリューションを生み出すサービス基盤を開発し、さまざまな業界の企業に向けて提供します。2013年11月に両社が共同で発表しました (プレスリリースはこちらWi2の本サービス基盤紹介ページはこちら)。

2013年11月5日に東京都内で開催した記者発表会の様子

2013年11月5日に東京都内で開催した記者発表会の様子(クリックで画像を拡大)。写真の左側から順に、Wi2 取締役CTOの小松直人氏、Wi2 代表取締役社長の大塚浩司氏、アクセンチュア 経営コンサルティング本部 アクセンチュア アナリティクス 日本統括の工藤卓哉(工藤のプロフィールはこちら)。

Web解析だけでは「時」と「場所」が見えない

O2Oにおけるオンラインの施策では、Webログ解析によって消費者の行動を把握し、好みを推定した上で、その消費者にお薦めの商品やサービスを提示(レコメンデーション、レコメンド)したり、来店を促すクーポンを配信したりします。

しかしその後、オンラインから離脱した消費者のオフラインでの動きは、実店舗に来店してクーポンを提示するまで、企業からは見えません。消費者が実店舗の近くを通ったり、購入に至らなくとも実店舗に何度か立ち寄ったりというオフラインでの行動は、把握できませんでした。企業は、消費者に次の提案をするチャンスを逃していたわけです。

レコメンドの機能それ自体にも限界がありました。Amazonをはじめとするオンライン通販サイトでも採用されている現在のレコメンドは、協調フィルタリングと呼ばれる手法を使って、消費者のオンライン行動をベースにして推奨する商品を選び出しています。膨大な数のユーザーの行動を蓄積・分析した上で、あるユーザーに対して、似た行動をとっている他のユーザーが購入したものを薦めるという手法です。

しかしこれだけでは、たとえば朝の時間帯にオフィスにいる消費者に対して、コーヒーだけでなくビールも薦めてしまうことがありました。

これに対し、アクセンチュアとWi2が共同で開発し、O2Oに取り組む企業に向けて提供する新たなサービス基盤では、消費者の位置情報を統計的に処理したデータを活用することで、オフラインにおける消費者の状況を高い精度で推定します。これにより企業は、消費者のニーズに沿った適切な「時」と「場所」で、消費者にとって適切な商品やサービスを訴求できるようになります。

Wi-Fi網のビッグデータで消費者の状況を推定

新サービス基盤が提供する機能の概要

新サービス基盤が提供する機能の概要。Wi-Fi網から得られる消費者の位置情報とアプリ利用情報に加えて、企業が保有する顧客情報も結合したビッグデータを分析することで、付加価値の高いサービスを提供します。(クリックで画像を拡大)

新サービス基盤が消費者の「時」と「場所」を高精度に捉えられるのは、Wi2のWi-Fi網とアクセンチュアのビッグデータ分析を組み合わせるからです。

Wi2は公衆無線LAN事業者として国内最大級のWi-Fiスポットを構築・運営しており、アクセスポイントの数は全国で20万以上に達しています。消費者の生活動線に細かく散りばめられたそれらのアクセスポイントが、消費者の位置と時間の情報を高い精度で取得する“センサー”として機能する仕組みです。つまり、ユーザーが持ち歩くスマートフォンやタブレット端末がWi2のアクセスポイントに接続したり、接続を試みたりすると、そのユーザーの情報として時間帯とアクセスポイントの位置が取得できます。

Wi2のWi-Fi運用基盤には、ユーザーがアクセスポイント経由でオンライン接続した履歴が蓄積されています。Wi2のWi-Fi網から得られる情報は、1カ月当たり数億件にも上り、まさにビッグデータといえます。

このビッグデータを分析することで、前述の通り、消費者の状況を高い精度で推定できるようになります。たとえば、ある消費者が2つの街に高い頻度で出現しており、一方は平日の日中に滞在することが多く、もう一方は夜間や週末が多いという傾向が読み取れれば、前者は勤務地であり後者は自宅がある街だと推定できるでしょう。勤務地にいる日中にはビールではなくコーヒーを薦めるといった、時と場所を踏まえた訴求が可能になります。

また、消費者が実店舗の近くを通ったり、立ち寄ったりしているときに、背中を押すようなクーポンやポイント付与を提案することで、購買率を高める施策もとれるでしょう。

さらに、Wi-Fi網から得られるビッグデータに、企業が従来から蓄積している顧客データを結び付ければ、状況推定の精度をいっそう高めることも可能になります。企業が保有する顧客データとしては、POS情報やCRM情報、スマートフォン向けに提供するアプリのユーザーから利用許諾を得た操作履歴などが挙げられます。

アクセンチュアとWi2が開発・提供するこの新たなサービス基盤は、このような仕組みにより、精度の高いOne to One Marketingを実現することで実店舗への来店率向上を狙った従来のO2Oを拡張し、購買率の向上までも実現する「O2O2P(Online to Offline to Purchase)」へと進化させます。

さまざまな業種や業界の企業に活用いただけますが、特に効果が大きいのは、外食産業や、コンビニ、アパレルなどの小売業、レジャー・娯楽関連施設や公共交通事業などでしょう。消費者の街中における「時」と「場所」を踏まえて実店舗に導く施策が、サービスの向上や売り上げの増加につながりやすいからです。

将来的には、このサービス基盤を利用する複数の企業が自社の顧客を互いに紹介し合う、相互送客も実現したいと考えています。

【消費者の個人情報と周辺データの取り扱いについて】
本サービス基盤で取り扱う各種データについてアクセンチュアとWi2は、法令の順守はもちろん、関連省庁や団体で議論・推奨されている指針を参照するなど、さらなる配慮が必要だと認識しています。詳しくは、プレスリリースにある「本サービス基盤で取り扱う各種情報について」をご参照ください(こちらから)。

企業の既存アプリ/システムと連携、ビッグデータ分析はHadoopを活用

アクセンチュアとWi2が提供する新サービス基盤は、企業が構築済み・運用中の業務システムやモバイル用アプリと連携できるように設計しています。

そのため、企業はこのサービス基盤を利用するに当たり、現行の業務用端末や、モバイル管理基盤、ポイント管理基盤、決済基盤を入れ替える必要はありません(もちろん、必要であればこれらを新サービス基盤を介して提供することも可能です)。

新サービス基盤のうち、Wi-Fi運用基盤についてはWi2の資産をフル活用します。同社のWi-Fiアクセスポイントは、コンビニやカフェ、ファストフード、公共交通機関、商店街、観光地といった、消費者の生活動線が集まる場所に高い密度で設置されていることが特長です。したがって、マーケティングに取り組む企業にとって、特に利用価値の高いデータを取得することが可能です。

このWi-Fi基盤で取得したデータは、アクセンチュアの知見をつぎ込んで構築するビッグデータ分析基盤に送られます。そこで分析した結果を、消費者向けレコメンド配信基盤および企業向けレポーティング基盤に返すという仕組みです。

ビッグデータ分析基盤には、「Hadoop」を活用します。HadoopはThe Apache Software Foundationが開発・公開しているオープンソースソフトウェアであり、ビッグデータの効率的な並列分散処理を得意としています。アクセンチュアは、このソフトウェア基盤の高度な活用に習熟しており、そのパフォーマンスを最大限に引き出すことが可能です。

もう1つ重要なポイントは、Hadoop上で実行する分析アルゴリズムでしょう。アクセンチュアは、さまざまな業界を熟知し、データ分析とビジネスの橋渡しが可能なデータサイエンティストを世界で1万3000人以上も擁しています。さらに、米マサチューセッツ工科大学(MIT)とデータ分析ソリューションの共同研究プロジェクトに取り組んでいる他、日本でも慶應義塾大学とデータサイエンティスト育成カリキュラムを構築したり、ビッグデータの集計・解析手法に関する共同研究を手掛けたりするなど、データ分析の分野で他社の追随を許さない圧倒的なスケールと先進性を備えています。

アクセンチュアとWi2が共同で提供するこの新サービス基盤は、いままで目に見えずに埋もれていた価値を可視化し、具現化するものです。これにより、O2Oにおける企業と消費者の“不幸なすれ違い”が解消されていくでしょう。企業はマーケティングの効率と効果を高められる上に、消費者にとっても自身のニーズに沿った提案を受けられるようになり、双方にメリットをもたらすと期待できます。

関連リンク

Wi2のWebサイト(本サービス基盤の紹介ページ)

これからの時代にふさわしい、革新的なITサービスが生まれました。その名は「Ideal Insight(アイディール インサイト)」。全国に張りめぐらされたWi-Fiアクセスポイントから、ユーザーの「位置情報」を収集。「ビッグデータ」分析技術と組み合わせることで、趣味嗜好や行動パターンを推測します。

Wi2とアクセンチュア、ビッグデータ分析と位置情報を組み合わせた新たなO2Oソリューションの提供を開始(2013年11月6日 ITmedia マーケティング)

ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)とアクセンチュアは11月5日、Wi-Fiアクセスポイントから収集される位置情報データとビッグデータ分析技術を組み合わせた新たなO2Oソリューションを実現するサービス基盤の共同開発・提供開始を発表した。