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急速なデジタル技術の進化は、さまざまな消費財製品やその関連サービスに囲まれた気まぐれな消費者を生みだした。変貌する消費者への洞察と対応が企業の生命線になってゆく。本書はそのような消費財業界の変化に対応するための秘訣がつまっている。
気まぐれな「液状消費者」が企業の経営やブランディングに及ぼす影響やその対応のあり方についても、 幾つかのコンセプトや事例とともに考察している。そこでは、主に以下のような対策の重要性を提言している。
デジタルを活用した液状消費者とブランド・企業のデジタル・コネクティビティ
「利便性―体験」スペクトラムのなかで自社の商品・サービスが追求する際立ったポジショニング(アマゾンダッシュボタンのように手間や煩わしさといったPainを徹底排除するか、Nike+のように新たな体験価値を創造してGainを生み出すか)
企業と消費者間が緊密に繋がり、相互のインタラクションを創発していくなかで双方のネットワーク効果を生みだすデジタル ・ブランド・プラットフォームの構築(そのためのペルソナ定義とそのカスタマージャーニーの設計)
消費財メーカーのみならず流通業界こそデジタル化によって業界を揺るがす大きな環境変化に見舞われており、そのような劇的な変化に適合しつつある先進的な流通企業の動向をおさえておくことが、消費財メーカーにとって肝要であると進言している。液状消費者に最高の顧客体験を提供するには、顧客接点を確保することが重要であり、従来のようになるべく多くの小売りチェーンのなるべく多くの店頭棚に自社の商品を並べるかという量的な戦いではなく、消費者目線で流通企業を選別し、協業を推し進めることが重要とも指摘している。
後半においては、目線を顧客から企業に移し、液状消費者が主役となる時代における成長戦略・チャネル設計から資金調達や実行手段のあり方に至るまで、内部的に努力すべき取り組みについても、消費財メーカーが現在直面している課題にどのように対応していくべきか、地に足ついた総合的なアプローチを提供している。
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