イギリスにおけるメガプロジェクトの検証-海外事例から洋上風力発電の普及を考える
2019/07/11
2019/07/11
本報告書のオリジナル版は、イギリスの洋上風力発電業界がまだ黎明期にある2012年に発表されました。当時、洋上で使用されていた技術やプロセス、ビジネスモデルは海洋建設向けに設計されたものではなく、陸上風力発電用の技術を応用したものでした。イギリスの風力発電業界は、インフラや容量、サプライチェーンにおいて重大な課題に直面していたのです。
2012年から7年後の現在、イギリスの洋上風力発電業界は、世界一の発展と競争力を誇るまでに成長しました。洋上風力発電所は38カ所、発電設備容量は8GWを超え、さらに6GW相当の発電所の建設費が既に資金調達され、現在建設中です。設備利用率は30%から40%に増加しています。
2012年のイギリスの状況は、現在の日本の状況と類似しています。イギリス同様に海に囲まれた日本でも洋上風力への期待は大きく、ここ数年は、これまでの国内風力事業者に加え、一般電気事業者の大規模投資、海外資本の参入が発表され急速な発達・普及が見込まれています。再エネ海域利用法により海域利用調整の障壁は解消されていくものの、大規模化に伴う技術開発、投資・運営費用低減、地域振興など考えるべき課題は多く存在します。
アクセンチュアは、再エネの普及が先行する海外での経験を通じて、日本の洋上風力発電業界の発展を促進できる機会が存在していると考えています。
イギリスがメガプロジェクトの実現のためにタービンやコンポーネント、インフラ/サービスのサプライチェーン、供給エコシステムを国内で開発する過程で得た教訓は、日本の洋上風力発電業界にとっても極めて有意義なものとなるはずです。