現在契約しているエネルギープロバイダーを「変更するつもりがない:20%」「周囲に薦めたいと感じる:37%」「サービスに十分満足している:22%」。この数値は、競争の激しい小売市場で、契約先企業のカスタマーエクスペリエンス(CX:顧客体験)に最高評価を与えた住宅用エネルギー消費者(全体の約20%)の調査結果です。素晴らしいエクスペリエンスは比較的競争の少ない市場でも同様の効果をもたらしています。過去の記事ではこうした事実と統計を紹介し、強力な顧客体験(CX)が創出するビジネス機会と価値について解説しました。

この数値を念頭に置きつつ、エネルギープロバイダーがどうすればコネクテッドエネルギーエクスペリエンスを通じて顧客体験(CX)を改善できるのか考えてみましょう。
顧客体験(CX)の改善は企業にとって新しい概念ではありません。むしろ多くのエネルギープロバイダーがこの領域に多大な投資を行ってきました。しかし消費者の不満の根源へのアプローチはほとんどなく、既存サービスの枠を超えて消費者を魅了する機会を生み出すことはありませんでした。

企業が新たな価値を獲得するために、顧客体験(CX)、エンゲージメント、リテンションに集中したアプローチを採用することを提案します。言い換えると「すべての施策をすべての消費者に試みるのをやめましょう」ということです。代わりに、適切な消費者に向けた最適なアクションに戦略的に集中することで、消費者の期待を満たすだけでなく、消費者のニーズをはるかに上回るコネクテッドエネルギーエクスペリエンスを提供します。

さらに満足度が高くパーソナライズされた快適な顧客体験(CX)を実現するために、3つの変革的かつ比較的未実施な施策について検討します。
•施策1:AIを用いたインテリジェントサービスの実現
人工知能(AI)はデジタルとフィジカルのインタラクションを相互に作用させる真に統合された顧客体験(CX)の実現に有効です。デジタル化へのシフトにより運用コストを削減する一方で、顧客体験(CX)改善への継続的な集中を可能にします。
消費者も、質問に対する回答やサポート、より便利な方法での契約手続きなどにおいてAIが価値のあるツールだと考えるようになってきています。
アクセンチュアが実施した最新調査「コネクテッドなエネルギーエクスペリエンスの実現へ向けて」では、調査対象のエネルギー消費者の半数が「対応相手が人間かAIテクノロジーかをもはや気にしない」と回答しています。また、消費者の80%がデジタルエージェントの活用に前向きで、「手軽に利用できるのであれば、非常に有用であり問題が迅速に解決できる」と考えています。そして、およそ4分の3の消費者がAIツールによる住宅内エネルギーのモニタリングや調整に賛同しています。
消費者にAIが受け入れられるようになると、AIを活用して関連性が高く最適なデジタルサポートを行うことで顧客体験(CX)を差別化できるようになります。AIによりチャネルごとのノイズを排除してサービスの一貫性の向上とプロセスの簡略化を実現することで、エージェントはより戦略的なインタラクションにフォーカスできるようになります。

•施策2:ハイパーレリバンスなパーソナライズ
エネルギープロバイダーにおける従来のパーソナライゼーション施策は、顧客の行動や過去の取引履歴、アカウント属性の分析と理解を中心に設計されていました。このアプローチは企業が消費者の期待に応えるためには役立ちますが、期待を超える感動を生み出すことはまずありません。従来のパーソナライゼーションでは、「メーターの向こう側」で感動的なエネルギーエクスペリエンスを実現することは不可能です。
関連性と信頼性をめぐる戦いは、まさにブランドの主要な目標である、商品としての期待をはるかに超えた顧客体験(CX)の提供のための戦いになります。
ハイパーレリバンスな体験を実現し信頼を構築するために、さまざまなツールとテクニックが役立ちます。例えば、電力予測アラート機能や自宅内に設置した機器などの自動調整機能などを実装することで、消費者はサービス検討する際のいくつかの懸念事項を取り除くことができます。また、厳選された定期購入サービス、新たなコネクテッドエネルギー商品やサービスなど、多くの可能性と膨大な選択肢が存在します。同様にハイパーレリバンスなパーソナライゼーションへの投資は企業に莫大な利益をもたらすでしょう。

•施策3: 価値と成長の目的化
この施策では価値と成長という2つの方向でそれぞれ目的化します。価値の目的化は、未来を志向しつつ、現在のビジネスモデル内の価値を特定します。成長の目的化は、新たな価値とビジネスモデルを賢明に識別し選択します。例えば、新たな顧客機会がディスラプションを追求するに足るものであるかどうかよく理解した上で投資を再編成する、などが挙げられます。
新たなエネルギーエコシステムで成功するためには、さらに視野を広げて価値を捉える必要があります。新しい視点を通して商品やサービスを再検討します。特定の顧客の行動は市場ごとに異なるものの、コネクテッドエネルギー商品やサービスの頂点にあるエクスペリエンスを提供できるかどうかで企業の未来は決定します。

上記3つの施策に注力することで、顧客体験(CX)を改善するだけでなくエネルギープロバイダーを持続可能な成長と競争優位へと導きます。施策に着手する前にアクセンチュアの調査レポート「コネクテッドなエネルギーエクスペリエンスの実現へ向けて」を読み、有効なコネクテッドエネルギーの顧客体験(CX)について理解を深めることをおすすめします。

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