異常気象がもたらす課題への対処に必要な優れたレジリエンス
May 13, 2020
May 13, 2020
増大する異常気象が世界中で深刻な影響をもたらしており、暴風雨や季節的な氾濫などの中規模災害の発生頻度も高まりつつあります。このような気象傾向の変化にともなう送配電(T&D)事業における運用リスクの急激な上昇を、ユーティリティ企業の経営陣も深刻に受け止めています。アクセンチュアが実施したデジタルグリッド調査では、200名を超える調査対象者のうち92%が異常気象の将来的な増加を懸念しており、83%が異常気象はグリッドの安定性を脅かす要因だと考えています。
これまで、ユーティリティ企業は長年に渡りグリッドの信頼性を重視したアプローチを採用してきました。しかし、企業や社会全体にとってより大局的な見地から考えた場合、従来のアプローチでは問題への対処が困難になりつつあります。異常気象に見舞われ、さらにはサイバー攻撃、地震、地磁気嵐、紛争、森林火災、そして最近ではCOVID-19のようなパンデミックなどの二次的事象が発生した場合には、事業が急激に悪化する恐れがあります。多くのユーティリティ企業は深刻なリスクを認識しているものの、異常気象の影響に対処するための準備ができていないのが現状です。
10人中9人
「異常気象が電力ネットワーク事業の財務実行性にリスクをもたらす恐れがある」と回答したユーティリティ企業幹部の割合
95%
「温室効果ガスの排出による気候変動が異常気象を引き起こしている要因であると信じている」と回答したユーティリティ企業幹部の割合
24%
「異常気象がもたらす課題に対処するために万全な準備ができている」と回答したユーティリティ企業幹部の割合
レジリエンス戦略の立案によって、異常気象、サイバー攻撃、地震、そしてパンデミックなど、頻発する破壊的な事象がもたらす深刻な影響に対処し、迅速に復旧するための準備が可能です。ユーティリティ企業は信頼性から焦点をそらさずに信頼性の定義を拡張して、危機的状況や異常事態下でも弾力的に対応できるように組織のケイパビリティを強化する必要があります。
ユーティリティ業界におけるレジリエンスの概念が確立されていないことも、状況を複雑にしています。
効果的なレジリエンス戦略は、企業があらゆる破壊的な事象に直面した際にも事業を速やかに立て直し、積極的な投資とメンテナンスを継続するための基盤となります。
最初にレジリエンスの技術的基盤を確立するとともに、異常事態に柔軟に適応するためのケイパビリティを開発しましょう。
効果的なレジリエンス戦略を立案し、あらゆる事態に備えたケイパビリティを開発、維持するための大規模な先行投資と運用コストの必要性を、規制当局から顧客までのすべてのステークホルダーに説明することが大切です。ケイパビリティを強化する目的はサービスの遮断期間を最小限に抑えることです。レジリエンス戦略の成功はサービスの遮断がない、または最小限に抑えられていることであるため、目に見える形で享受することが難しいことを、ステークホルダーにも十分に理解してもらう必要があります。
次の3つの戦略的課題の検討が、企業のレジリエンス強化に役立ちます。
レジリエンスの基盤を確立する
レジリエントな電力ネットワークを構築する
新たなレジリエンスソリューションを開拓する
レジリエンスの強化には様々な困難が伴いますが、企業はそれを回避して進むことはできません。今すぐ行動しなければ、組織と顧客を危機にさらすことになります。
まずは全体像を把握することが大切です。基盤、電力ネットワーク、最新ソリューションというレジリエンスの3要素に基づき、独自のレジリエンス戦略を立案して実践していきましょう。
レジリエンスを確立することは業界全体の成長を促すためにも重要になります。ユーティリティ企業は意思決定者、顧客、その他のステークホルダーに向けて、レジリエンスが事業の責任の一部であることを明示する必要があります。
デジタルグリッド調査レポートでは、異常気象に対する送配電(T&D)事業のレジリエンスを強化するために、ユーティリティ企業が実践すべき取り組みを特定しています。
所要時間45分