アマゾン ウェブ サービス(AWS)とアクセンチュアは、お客様のDX実現とイノベーション創出をより高度に支援 するビジネス事業体「Accenture AWS Business Group(AABG)」を2015年に発足し、日本を含むグローバル全体で包括的なサービス展開を展開しています。

AABGではお客様向けのセミナーイベントを定期的に開催し、最新事例の紹介、ノウハウやナレッジ、ユーザー/パートナーを招いた懇親会による情報共有などを継続してきました。

2019年12月ゲストスピーカーに伊予銀行様をお招きし、デジタル変革(トランスフォーメーション)の最前線を関西エリアのお客様へご紹介するセミナーをリッツカールトン大阪で開催しました。

AWSのグローバルイベント
「AWS re:Invent」アップデート

セッションIに登壇した大木 良郎氏(アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 パートナーアライアンス統括本部 西日本パートナーアライアンス部 部長)は、12月にラスベガスで開催されたAWS最大のグローバルイベント「AWS re:Invent 」を紹介しました。

大木 良郎氏
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 
パートナーアライアンス統括本部 西日本パートナーアライアンス部 部長

「AWS re:Invent 2019はAWSのお客様やパートナー企業から約6万人(うち日本からは1800人)に参加いただいた、IT業界の中でも最大級規模といってよいイベントとなりました。AWS re:Inventはハンズオンのトレーニングやセミナー、AWSの新サービスやアップデートを紹介する講演などで構成されており、参加者がAWSの最新動向を“体験”しつつ、デジタル変革を推進するヒントを持ち帰る『学習型カンファレンス』でもあります」(大木氏)

続くセッションIIに登壇した江原 孝大氏(アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 技術統括本部 パートナー技術本部 パートナーソリューションアーキテクト)は、AWS re:Invent 2019で254の新サービスや機能拡張がリリースされたことを紹介するとともに、その中から注目の新サービスをピックアップして解説。イベント参加者へAWSの最新トレンドとホットトピックを紹介しました。

江原 孝大氏
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 
技術統括本部 パートナー技術本部 パートナーソリューションアーキテクト

セッションIIの後半は、江原氏からバトンタッチを受けた門倉 新之助(アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ Cloud CoE マネジャー)がこれからの時代、デジタルの力によって社会がいかに変革されていくかをAWS re:Inventでアクセンチュアが発表した内容から「5G」や「ブロックチェーン」「IoT」「自動運転」などの切り口で紹介しました。門倉は、デジタルがビジネス全般に与える影響を紹介するなかで、例として農業や医療などの業界でどのような変化が起こりつつあるか、現在進行形の様子と未来像を交えて語りました。

門倉 新之助
アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部 
インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ Cloud CoE マネジャー

いまや「デジタル化」は経営課題
AWS re:Inventにはゴールドマン・サックスのCEOも登場

イベント後半では、まずアクセンチュアの関 良太(テクノロジーコンサルティング本部 シニア・マネジャー 兼  AABG (Accenture AWS Business Group) Japan Go-to-Market Lead)が登壇し、AABGの活動の最新状況をレポート。そののち、AWS re:Inventで関が特に注目したキーノートとして、ゴールドマン・サックスのCEO デイビット・ソロモン氏のセッションを挙げました。

「過去のAWS re:InventのキーノートではCIOやCTOの登場が多く見られましたが、今回は事業会社のCEOが登壇して自社のデジタル戦略やオープンなエコシステムの構築における課題、デジタルの潜在的収益価値について述べた姿が印象的でした。大企業のデジタル変革は、既存事業の強化はもちろん、次なる中核事業の創出に不可欠であることを来場者に強く印象付けた講演だったといえます」(関)

アクセンチュアは、エンタープライズ企業における既存業務の変革と並行して、まったく新しい付加価値の創造をご支援しています。

関 良太
アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部 シニア・マネジャー 
AABG (Accenture AWS Business Group) Japan Go-to-Market Lead

【事例セッション】AWSをインフラとして
業務のデジタル化に取り組む伊予銀行

イベントのセッションIIIは、AABGが支援するお客様事例講演でした。AWS導入事例として、「伊予銀行デジタル化への取り組み」と題して、同行 システム部(現:総合企画部) 課長 井上 浩一氏よりご講演いただきました。

伊予銀行は愛媛県松山市に本店を構える、創業142年の地方銀行です。井上氏は約30年にわたって同行のシステム部門に在籍。アセンブラのプログラマーとしてキャリアをスタート、メインフレームやネットワーク管理を経て、クラウド化を含む「システムのモダナイズ」を体験してこられたお一人です。

地方銀行は人口減少・マーケット縮小という全国共通の課題を抱えていますが、地域を支える金融機関としての重要な役割も担っています。また、AI・ロボなどデジタル化が進展する環境変化にどう対応していくかについて、「デジタル化はピンチではなくチャンスです」と井上氏は強調します。

「伊予銀行のD-H-Dバンク(Digital-Human-Digitalバンク)」の取り組みは、デジタルが得意なところはデジタルが、人にしかできないところは人が担い、目指すは人間中心のD-H-Dバンク。人は人にしかできない付加価値の追求(提案力・デジタルの企画・実行力)により差別化を図ることにあります。

井上 浩一氏
株式会社伊予銀行 システム部(現:総合企画部)課長

国際的な賞も受賞した最初のDHDサービス「AGENTシステム」

伊予銀行のDHDバンクの取り組みにおける象徴ともいえる存在が、営業店窓口で利用するタブレット端末「AGENTシステム」です。

一般的に行員は申込書などの「紙」を使って顧客への説明や事務手続きを行いますが、AGENTシステムでは顧客が直接タブレットを操作しながらチャット形式で手続きを行います。また、手間がかかる氏名や住所の入力作業では、運転免許証を写真撮影するだけで自動反映する仕組みを採用し、いちいち文字入力を行う必要はありません。

人とデジタルが融合し、高め合い、生産性と付加価値を両立することが伊予銀行の取り組みのコンセプトです。顧客は「紙も書かず、印鑑も押さず」に銀行の取引が完了するだけでなく、バックオフィスの行員にとってもQRコードを使った自動化により事務手続きが大幅に簡略化されます。行員からは「もう以前の働き方には戻れない」との声も上がっていると井上氏は紹介しました。

「AGENTシステムの画面遷移を含め、裏側で動作しているのはAWS上で稼働するコンテナです。APIで基幹系システムに接続し、顧客の属性情報が既知のものは自動反映を行い、バックオフィスのPCで帳票類を出力します。帳票類にはQRコードが必ず付与されており、このQRコードを使って入力データを呼び出しバックオフィスの処理を行うため、OCR認識や上席者の再鑑などは不要です」(井上氏)

金融機関にとって最重要項目であるセキュリティ(情報漏えい対策など)にも十分に配慮されており、Amazon RDSやAmazon S3に保存されているデータは暗号化し、AWS Key Management Service(KMS)で管理されています。暗証番号などの重要データには、システム部社員といえどもアクセスできない仕組みになっています。

営業店窓口で利用するタブレット端末「AGENTシステム」の概要図。顧客データは全て暗号化され、重要情報は期限付きキャッシュで管理されている。

なお、AGENTシステムは2019年「グッドデザイン賞」受賞や、国際的なCXの祭典「CX ASIA EXCELLENCE AWARDS 2019」で2部門ダブル受賞するなど、銀行利用者の「体験を刷新」した成果が高く評価されています。

●関連リリース:

「AGENTシステム」がCX ASIA EXCELLENCE AWARDS2019で受賞!

「店舗受付AGENTアプリ」が2019年度グッドデザイン賞を受賞!

AgilityとCI/CDを決め手としてAWSを採用

AGENTシステムの構築において、AWSを採用した理由を井上氏は次のように説明します。

「決め手はAgilityとCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)です。アジャイル開発に必要なインフラとしてAWSを選定しました。AGENTシステムはMVP(ミニマムバリアブルプロダクト)の単位で開発しました。初期リリースのバージョン1は3店舗でテスト運用してフィードバックを得ながら、メジャーリリースのバージョン2で各店舗へ展開、対応業務も18種類へと拡大しました。また、インフラ設計時に特に留意したのは情報漏えい対策やサービス停止時のリカバリ設計です。ロール等の設定ミス防止策も徹底的に議論しました。最終的な実装チェックはベンダー任せにせず自分たちも確認しました」(井上氏)

また、伊予銀行のデジタル化で採用されたアジャイル開発は計画段階では大枠で要件のスコープを決定しておき、顧客体験や業務面(取扱高、複雑性など)を考慮し優先順位が高い機能から開発します。このプロジェクトでは全5回のリリースが実施され、スプリントは月1回のペースとし、優先度の低い開発は翌月以降のスプリントに回すというルールが徹底されました。

エンタープライズアジャイルにおける要諦

井上氏は同行のプロジェクトにおけるラーニング・ポイントから、エンタープライズアジャイルにおける要諦を次のように紹介しました。

インターフェースは早期に決定すべきです。アジャイル開発とウォーターフォール開発を同時並行で行う場合、アジャイル開発側はフロントサービスのUI/UX改善に意識が向いてしまいシステム連携の検討が後回しになり、結果ウォーターフォール開発側の要件定義が進まずプロジェクト全体が遅延します。また、「合流ポイント」の明確化も大事です。私たちは外部結合テストを合流ポイントに設定し、アジャイル側はそれまでは改善活動に邁進しUI/UX改善・品質向上に努めますが、合流後はリリースを優先した対応を行うようにしました」(井上氏)

井上氏によると、アジャイル開発でのポイントは、優先順位付けを徹底するとともに業務要件が確定していない案件は次のフェーズに繰り越すことにより開発スケジュールを優先することと言います。例えるならば、「この電車に乗れなかったら、次に電車に乗る」という進行管理です。「結果的にウォーターフォールよりもアジャイルの方が開発の進行管理を厳格にする必要がありました」(井上氏)

「デジタルを活用できる人材」の育成

また、伊予銀行のプロジェクトでは、人材育成も重要なテーマでした。デジタルを扱う人材のリスキルを行い、デジタルの構築・運用を担当できる人材の育成が行われました。

「ビジネス側はプロジェクトを通じて自然とITの知見が蓄積されます。一方、情報システム部側はスタート時点では外部人材を活用しつつ、将来を見据えて内部の人づくりを進めます。要員がそろったところで内製に切り替えるロードマップを描いています」(井上氏)

人材育成ではアクセンチュアが協力し、クラウドインフラの人財育成においては、アクセンチュアの開発拠点に要員を派遣し、基礎学習から設計・実装までのトレーニングを実施しました。また、アジャイルDevOpsの人財育成は、専用のトレーニングメニューをアクセンチュアで構築し、トレーナーが松山に駐在しトレーニングから実務開発までを支援しているのが特徴です。

このように、伊予銀行ではAWSのサービスを活用しながら、様々な先進的取り組みが進んでいることが紹介されました。AABGは伊予銀行が掲げるDHDバンクのコンセプトの実現をこれからも支援していきます。

最後にクロージングとして、アクセンチュアの関 良太が登壇して関西エリアのお客様のAWS活用ご支援をアピールし、イベントは閉幕しました。

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