調査レポート

概略

概略

  • リテール業界において、自社における新たな事業の成長促進に成功しているCMOは、ごくわずかです。
  • 成功を収めているCMOの共通点として、多くの正しい行いをし、顧客体験の再構築を最優先課題に掲げていることが挙げられます。
  • 最適な顧客体験をリアルタイムに提供するべく、優れたCMOは人とテクノロジーに投資しながら、従来のマーケティング業務とは別の新しい分野を開拓しています。
  • 成功企業は共通の事業目標を基盤に、ディスラプティブな成長を目指しています。これにより、事業のバランスを維持しながら市場における競争優位性を確保しています。


リテール企業のロックスター:成長を加速させるCMO

これまでリテール業界では、成長を果たしたら勝利は確実と考えられてきました。しかし、現在は成長を実現するだけではもはや十分とは言えなくなっています。既存の分野での成功や事業の成長のみに甘んじていれば、すぐにニッチなスタートアップが収益を奪い去る可能性があります。

リテール企業のCEOCMOの90%以上がディスラプティブな成長を「ゲームの決め手」と考えており、今後の2年間における自社の成功を「大きく」左右する要因であるとしています。しかし、正しい認識を持っているからと言って、それを実現する術を知っているとは限りません。また、消費者にブランドが掲げる目標の重要性を認識してもらい、それを成長の推進力にできるとは限らないのです。

成長を加速化できるCMOはどこが違うのか?

リテール業界では、ごく一部の優秀なCMOがディスラプティブな成功を大きく加速させています。彼らは従来の責任を全うするだけでなく、新たな成長を加速させるための活動にも注力するという、2つの異なる世界を同時に生きています。成功したCMOは常にライバルの先を走っており、ライバル達がディスラプティブな成功に投じる額はその半分にも満たない規模です(41%)。

考えてみれば、これは当然のことなのかもしれません。なぜなら、リテール企業のCMOはマーケティングのような従来の業務は得意でも、ディスラプティブな成長に必要なタスクには精通していないからです。

17%

従来の業務とディスラプティブな成長の推進力の両方を確実にコントロールできると回答したCMOの割合は、2年前と比べて減少。

61%

人工知能(AI)を活用する準備が整っていると回答したリテール企業のCMOの割合。

56%

適切な人材を獲得/維持する自社の能力は平均以上と回答したリテール企業のCMOの割合。

成長の秘訣:顧客体験のカスタマイズ

私たちの調査では、リテール企業のCMOは共通の最優先課題を持っていることが明らかになりました。それは、顧客ニーズやコンテキストの変化に合わせてリアルタイムにカスタマイズされた顧客体験を、適切な方法で提供するということです。

CMOは強力なアナリティクスを活用することで、特定の顧客の、特定の瞬間のニーズに合わせて新たな製品・サービスを提供できるようになります。顧客にとって最も重要なタイミングを把握するスキルを身につければ、コンテキストベースでカスタマイズされた製品・サービスをオンデマンドで提供することが可能です。

こうした目標を達成できるリテール企業は「リビングビジネス」企業への変革を遂げ、変化し続ける顧客のニーズに柔軟に適応しながら持続的な成長を実現することができます。

優秀なCMOが成長を実現する方法

リテール企業の優秀なCMOは、人とテクノロジーという2つの重要なアセットを統合的に活用して成長を実現しています。両者を融合させた協働的な「ヒューマン+」チームを構築することで、補完的なスキルセットを開発しているのです。

また、ディスラプティブな成長を生み出しているCMOは、未来の人材ニーズを見据えて採用活動を行っており、ライバルの多くはこれを実践できてはいません。調査ではリテール企業のCMOの約半数が、ワールドクラスのマーケティングチームを構築するほどの予算がないと回答しています。また、適切な人材の獲得・維持の重要性を指摘するCMOは84%に上っているにもかかわらず、その点において自社に平均以上の能力があると回答した人は56%にとどまりました。

ブランドプロミスとカスタマイズされた体験を瞬時に提供しなければならない現代において、スピードとスケールの両方の実現を後押ししてくれるのがデジタルテクノロジーです。とはいえ、リテール企業は高い価値をもたらす顧客により一層フォーカスし、彼らを獲得/維持したいと考えますが、それによってAIに依存しすぎてしまうリスクもあります。しかし、ブランドの価値観を体現し、共感力を通じて人ならではの意思決定を下してブランドの目標達成をサポートできる人材がいなければ、顧客1人ひとりにとって最適な体験を提供することは困難でしょう。

リテール企業のCMOはマーケティングのような従来の業務は得意でも、ディスラプティブな成長に必要なタスクには精通していません。

新たな成長につながる新しい習慣

リテール企業のCMOがディスラプティブな成長に求められる新たな習慣を身につければ、それをもとに「伝統」と「革新」の絶妙なバランスを両立できるようになります。CMOがこの変革をスピーディに実現し、新たな分野へのシフトを慎重に推進していくためには、以下の課題に注力することが大切です。

伝統から革新へのシフトをコントロールする

リテール企業は伝統的なマーケティング業務のみに注力するのではなく、ディスラプティブな成長にも時間を割かなければなりません。今すぐ新たな分野に人材とリソースを配分し、既存の中核的なマーケティング業務とのバランスを取るようにしましょう。

シングルカスタマービュー:唯一の真実

データとアナリティクスを活用することで、ダイナミックかつ一貫性のある単一のカスタマービューを共有できるようになります。CMOは顧客との各タッチポイントから取得したデータから有意義なインサイトを引き出し、それを事業の変革に役立てることが重要です。

すべての顧客が同等の価値をもたらすわけではない

最も価値のある顧客は、CMOの戦略と事業の発展を後押ししてくれます。彼らから最大限の価値を引き出すためにも、CMOはオペレーティングモデルのシフトを推進し、彼ら1人ひとりとのインタラクションを改善していく必要があります。

顧客体験を創造する

多くのCMOは依然として、顧客体験を自ら創造するのではなく、顧客体験の創造プロセスに影響を及ぼすだけの立場にとどまっています。顧客データとインサイトの管理人ともいえるリテール企業のCMOは、部門/部署の垣根を越えて最適な顧客体験を積極的に創造していかなければなりません。

人材モデルを再構築する

新たな分野での成功を目指すのであれば、CMOは適切な予算を獲得して、明日のニーズにマッチした人材の採用を推し進める必要があります。また、従業員がより創造的な業務に注力できるようにルーチンタスクを自動化するとともに、重要なデータサイエンスのスキル開発に投資しましょう。

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新たな分野での成長を実現しているリテール企業のCMOは、「リビングビジネス」企業への変革を実現しています。彼らは最も価値ある顧客を事業のあらゆる側面の中心に据え、事業の目的や市場を明確に定義しています。

当然ながら、その成果は数字に表れています。正しいアプローチで新しい分野に挑み続けるリテール企業は、業界における成長を実現するためのルールを次々と刷新しているのです。

Andrew Carlisle

Managing Director – Accenture Digital Lead Retail, UK/Ireland


​Michael Swartz​

Senior Manager – Accenture Retail Marketing Services Lead, North America


Nevine El-Warraky

Co-CEO – Brand Learning, Managing Director – Accenture

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