調査レポート

概略

概略

  • アクセンチュアが世界中の消費者を対象に実施した最新の調査では、COVID-19のパンデミックをきっかけに人々の生活スタイルが劇的に変化しつつあることが明らかになりました。
  • これまでとは違った状況・環境下で、収入や余暇の時間に対する消費者の考え方や行動様式に変化が生じています。
  • 消費者は環境や健康面、コストを意識してショッピングを行うようになっており、地産地消や近隣の店舗での購入を選択する傾向が見られます。
  • デジタルコマースの爆発的な拡大は、パンデミック以降も続くとみられます。特に最近になってデジタルコマースを新たに利用するようになった消費者や、これまで利用頻度が低かった消費者の間でその傾向が顕著になると考えられます。


かつてないスピードで変化する消費者の行動

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらした世界規模のパンデミックは、消費者の生活に甚大な影響を及ぼしています。外出自粛の要請や全国的なロックダウンは緩和されつつありますが、収入や余暇の変化を含めた消費者個人の行動様式は、新たな環境によっても、価値観や人生の優先順位の見直しによっても、今後も変わり続けるはずです。

今回の調査では、世界中の消費者が新たな日常に適応しようとする中で、その考え方や行動様式、習慣がどのように変化しているかを分析。新しい日常において、消費者が何をどのような手段で手に入れているのか、さらに新たに生まれた習慣の中で、これから何が人々の生活に定着していくのかを明らかにしました。

新規あるいは現時点ではまだ利用頻度の低い消費者によるEコマースでの購入は、今後160%にまで拡大することが見込まれています。

新しい環境に適応しようとする消費者

消費者の収入や余暇の過ごし方が変化したことによって、彼らの考え方や行動、ショッピングの習慣なども大きく変わりました。たとえば、消費者の33%は可処分所得がパンデミックの前よりも減り、家計が圧迫されたことによって値段を気にするようになったと回答しています。これに対し、経済的に余裕のある26%は可処分所得も余暇時間も増え、新しい方法で余暇を楽しんでいると回答しました。

パンデミックが沈静化しつつある市場でも経済状況への懸念は依然として高く、人々の消費に対する意欲はまだ低いままのようです。健康への不安は徐々に解消されつつあるものの、公共の場に出向くことを躊躇する消費者が多いようです。ただし、食品スーパーやドラッグストアといった馴染みのある場所には、比較的抵抗なく行くことができると回答しています。

69%

パンデミックが沈静化しつつある市場の69%、悪化傾向にある市場の80%の消費者が、他者の健康に対して不安を抱いています

85%

パンデミックが沈静化しつつある市場の85%、悪化傾向にある市場の86%が、パンデミックが経済に及ぼす影響を懸念しています

購入に慎重なリテール企業の消費者

消費者は何を購入するかを以前よりも強く意識するようになっており、こうした傾向は今後も続くとみられます。消費者の大部分(75%)は食品の廃棄を最小限に抑えようと努めており、67%はより健康を意識した購入を心がけています。いずれの意識の変化についても、消費者の90%は新たな購入習慣を今後も続ける可能性が高いと回答しています。

また、地産地消へのニーズも高まっており、信頼できる生産者の商品を求めていることがうかがえます。効率性も重視され、ショッピングの回数を減らして1回の購入量を増やす消費者が目立ちます。

64%

政府と企業は今まで以上に環境への負荷に配慮した施策を講じるだろうと回答した消費者の割合

62%

気候変動や自らの行動が地球に及ぼす影響に配慮した生活に変わっていくだろうと回答した消費者の割合

デジタルコマースやオムニチャネルを積極的に活用するリテール企業の消費者

多くの都市でロックダウンが実施され、店舗が営業自粛を余儀なくされる一方で、Eコマース市場が急速に拡大しつつあります。これまでEコマースを利用していなかった消費者でさえも、特にEコマース自体が浸透していなかった食料品などの分野での利用が増えています。また、非接触型の決済やソーシャルコマース、バーチャルコンサルティング、カーブサイドピックアップ(オンライン注文後に店舗で受け取るサービス)など、オムニチャネルサービスを利用する消費者も増加しており、こうした新しい行動を消費者は今後も継続していくとしています。

New and low frequency ecommerce users are likely to continue using the channel into the future

Source: Accenture COVID-19 Consumer Research, conducted 17-27 April 2020

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在宅時間をクリエイティブに過ごす方法を模索する消費者

自宅で過ごす時間が長くなったことで、余暇の時間に新たなアクティビティに挑戦する消費者が増えています。半数以上(62%)は新しいレシピに挑戦し、51%は家のリフォームや修理を、48%は新たなスキルの習得/オンライン学習を始めたと回答しており、大部分の人がこれらのアクティビティを継続するだろうと答えています。

また、多くの人々が家族で過ごす時間が増えたことを好意的にとらえており、バーチャル環境を利用した交流も人気が高まりつつあります。在宅業務にシフトする従業員も多く、この新たな環境をプラスに捉えて今後も在宅業務を継続する、あるいは在宅勤務の時間を増やすといった回答も多く確認されました。

従業員の35%が在宅勤務の頻度が増える見込みだと回答。

社会的責任を果たし、レジリエンス(回復力)を高めながら、消費者の信頼を醸成する

リテール業界 は過去にも大規模なディスラプションを経験してきましたが、消費者の嗜好やショッピングのパターンが、これほどまでに急激に変化したことは一度もありませんでした。また、消費者が商品・サービスを購入する理由も、元に戻ることはないでしょう。したがって、リテール企業は今後は データドリブン のインサイトをますます活用しながら、消費者との関係を再構築していくことが重要です。

従業員と消費者の両方に社会的責任を果たす「レスポンシブル・リテール」が、新たな常識となりつつあります。経済が再開したとしても、消費者の購入意欲が停滞したままの状況では、企業は極めて困難な状況を強いられることになるでしょう。リテール企業は消費者との信頼関係を構築するために、目に見える形での安全・衛生対策を店内のスタッフと顧客の両方に対して講じるなどの努力が必要です。

意識が高く、環境と倫理に配慮した上で購入の意思決定を下す消費者が増える中、リテール企業は事業の中核にサステナビリティを掲げながら、新たな成長戦略を模索していかなければなりません。

また、リテール企業はオンラインとオフラインの両方でショッピングの効率性を向上させ、パンデミックの動向とともに急速に移り変わる消費者ニーズに常に応えられるようにすることが重要です。消費者のデジタル利用が今後も拡大することを踏まえ、オムニチャネルへの投資を大きく拡大させていく必要があります。

リテール企業は今、事業をリセットして再構築する絶好の機会を手にしていると言えます。消費者が現在のパンデミックと、来る第2波を乗り切れるよう効果的にサポートできるかどうかが、今後の成功を左右することになるでしょう。

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