調査レポート

概略

概略

  • バイオファーマ企業は、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえて、治療法の発見や開発手法に対する期待値を見直しています。
  • 世界のヘルスケアエコシステムにおいて価格へのプレッシャーが高まる中、迅速かつ大幅なコスト削減が求められています。
  • アクセンチュアの調査は、研究開発の生産性を向上させ、研究開発にかかるコストを現在の数十億ドルから数百万ドルにまで削減しながらイノベーションを加速する方法を示しています。


ヘルスケアのエコシステムは、医療制度と患者の双方から非常に強い価格抑制圧力にさらされています。患者のアフォーダビリティ(いわゆる、支払い能力)も厳しい状況にあります。

3,000億ドル

先進国市場における患者のアフォーダビリティの格差は、2028年までに3,000億ドルに達すると予想されています。

30%

米国の患者の約30%が、コストを理由に処方された通りに薬を服用していません。

これらの傾向により、バイオファーマ企業の収益は圧迫され、売上目標の達成はより困難になりつつあります。バイオファーマ企業のリーダーたちは、経済的な理由で今後、市場への新薬の提供を続けることが難しくなるのではと危機感を募らせています。



中心的な役割を果たす研究開発

67億ドル

新薬を成功裏に上市するための開発コストは、資本コストおよび失敗コストを含めて26億ドルから67億ドルの範囲と見込まれます。

7%

承認された新たな治療法当たりの研究開発費の増加率は、過去10年間に年間7%上昇しています。

疾患領域、治療モダリティ、疾病の複雑さによって異なるものの、新たな治療法を上市するための開発コストは26億ドルから67億ドル(資本コストおよび失敗コストを含む)の範囲と見込まれます。ヘルスケアのエコシステムに対する価格抑制圧力の高まりは、このコストを現在の数十億ドルから数百万ドルにまで削減する必要があることを意味します。

こうした経済上の課題に対応するための中心的な戦略となるのが、新薬の研究開発手法の変革です。データや高度なアナリティクス、そして先進テクノロジーを活用することで、研究開発を最新化し、イノベーションと生産性向上を促進することができます。バイオファーマが変革のために取り組むべき戦略とは次の3つ:ニューサイエンスポートフォリオ、デジタル&データ主導型研究、そして開発の迅速化・スマート化です。

バイオファーマが変革のために集中するべき戦略的な戦い方は、ニューサイエンスポートフォリオ、デジタル&データ主導型研究、そして開発の迅速化・スマート化です。

研究開発コストを数十億ドルから数百万ドルへ

17億ドル

これらの戦略を実践することで、新たな治療法の研究開発コストを1件当たり12億ドルから17億ドル削減できます。

45,000万ドル

アクセンチュアの試算では、新たに1億5,000万ドルから4億5,000万ドルの収益機会がもたらされます。

アクセンチュアの試算では、新薬の開発コストを1件当たり12億ドルから17億ドル(資本コストおよび失敗コストを含む)削減することができ、加えて新たに1億5,000万ドルから4億5,000万ドルの収益機会がもたらされます。

市場投入時期の早期化による追加収益機会

新たな治療法の研究開発コストを数十億ドルから数百万ドルにまで削減するための施策

  1. デジタルバイオロジーを活用したPTRS*の向上による失敗コストの削減
  2. ターゲットバリデーション、リード識別・最適化を対象にしたAI主導の予測アプローチ採用による研究コスト削減
  3. 患者利益の最大化、試験の簡略化および規模・期間の最適化を実現する臨床試験イノベーションによる開発コストの削減
  4. 規制改革への対応**による臨床開発コストへのインパクト
  5. ニューサイエンスのPTRS*向上による失敗コスト削減
  6. ポートフォリオを進化させオペレーションモデルを変革することによる、PTRS*向上と失敗コストの削減

*PTRS:Probability of technical and regulatory success、技術・規制面での成功確率

**規制改革への対応はコストを大幅に削減するものではないが、収益機会に大きなインパクトを与えるため施策に含む

トランスフォーメーションによる価値の実現

これら3つの戦略を効果的に実践する環境を築くには、バイオファーマ企業はサイロ化された段階的な変化から離れ、研究開発パイプラインとオペレーションを以下の方法で抜本的に変革することが求められます。

1

全社レベルでの戦略・予算の監視体制を確立し、予算再配置と実現価値のトラッキングをする

2

患者とビジネスに価値提供をするためのアセット中心のチームを設置する。企業はチームのオペレーションを進化させ、アセットの成果に応じたインセンティブを設計する必要がある。

3

現在のケイパビリティ成熟度を評価し、戦略的な戦い方を拡大するために企業横断で連携の取れた投資を実行する

バイオファーマ企業は“圧縮された変革”を行うことで、より大きな価値を迅速に達成できると考えています。これは、従来は段階的、サイロ化されたプログラムであった研究開発組織とポートフォリオの変革を5つのケイパビリティにわたって同時並行に行うことによって実現されます。そのためには、クラウドを活用したビジネスの再構築、デジタル技術や自動化技術の導入、オペレーションモデルの変革、人材の再教育を同時に行う必要があります。

バイオファーマ企業はすでにイノベーションを推進する体制が整っています。今こそ、戦略を転換し、新たな“未来的”研究開発組織を構築する時です。

結論

研究開発を変革するための最新かつ包括的なアプローチは、新たな“未来的“研究開発組織を生みだす戦略的な戦い方を実現させます。アクセンチュアの調査は、この投資が研究開発コストを数十億ドルから数百万ドルに引き下げられることを示しました。これは生産性の方程式を書き換え、価格の引き下げを実現し、来るべきニューサイエンスによる治療へのアクセスとインパクトを最大化するでしょう。

Nicole Paraggio

Managing Director – Life Sciences, R&D Strategy Lead


Nicole van Poppel, PhD

Managing Director – Life Sciences, R&D Data-led Transformation Lead


Selen Karaca-Griffin

Senior Principal – Global Life Sciences Research Lead

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