概略

概略

  • 産業機械メーカーは、サービスを変革することによって事業の差別化を推進できると考えています。しかし、大半はそのための適切なプロセスを見いだすことができずにいます。
  • アクセンチュアの調査では、産業機械メーカーの収益の約29%がサービスによるものだということが分かりました。この割合は今後数年間で60%にまで拡大するとみられています。
  • サービスビジネスをまだ適切に展開できていない産業機械メーカーは、今すぐ変革を実現しなければライバルに後れを取ることになります。
  • 独自の調査とビジョンに基づき、アクセンチュアは産業機械メーカーにおけるサービス変革を支援する実用的なロードマップを策定しました。


サービス変革の必要性

顧客の期待は変化し続けています。顧客は今、産業機械メーカーに対し次のような問いへの答えを求めています:「どうすれば既存設備の寿命を延ばすことができるか?」「設備をより柔軟に活用し、製品提供のサイクル向上や製品のパーソナライゼーションニーズに応えていくにはどうすれば良いか?」「設備使用の対価を、享受したサービス分のみにするにはどうすれば良いか?」​つまり、産業機械メーカーの顧客の関心の多くは、製品を「買う」ことよりも製品がもたらす「成果」にシフトしており、そこではサービスやサポートに高い価値を見いだすケースが増えています。その結果、産業機械メーカーが差別化を図りながらキャッシュフローを安定させ、レジリエンスを高めていくには、適切なサービスの提供が重要な意味を持つことになります。

アクセンチュアはこのほど、世界14カ国の産業機器メーカーでサービスビジネスを担当する経営幹部748人を対象に調査を実施。サービスビジネスを変革し、成長に導くための最良のサービスマネジメントアプローチはどのようなものかを分析しました。調査の結果、産業機械メーカーはサービスを主体としたビジネスモデルを力強く推進することで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行前後の経済面の課題に適切に対処できることが明らかになりました。リモートサービスの需要の高まりを受けて、デジタルを基盤としたサービス提供を通じて、市場における確かなポジションを確立したメーカーが成長を持続できていることも分かりました。実際、調査回答者の60%以上はパンデミックの最中にサービスビジネスが拡大したと回答しています。

産業機械メーカーはパンデミック以前からサービスの変革によって事業の差別化を推進できると考えていました。しかし、その大半はそのための適切なプロセスを未だに見いだせずにいます。

正しくピボット(事業転換)を成し遂げることで、「チャンピオン」は収益におけるサービスの割合を60%まで引き上げることが可能です。​

サービス変革の実現に向けたピボットアプローチ

産業機械メーカーは今、サービスビジネスに変革を起こすべきピボット(事業転換)ポイントに立たされています。今回、私たちはメーカーの財務データを分析し、そのサービスマネジメントの成熟度を基に各社を「チャンピオン」「マスター」「ストライバー(努力家)」「トラディショナリスト(伝統重視派)」という4つのカテゴリーに分類しました。調査の結果、最も大きな成功を収めている産業機械メーカーは、コアビジネスと新しいビジネスのバランスを取りながら賢明なピボットを推進していることが分かりました。

日本の調査結果

当調査の日本の産業機械業界のみの結果を見ると、半数近くの企業がサービス事業の変革に取り組んでいるものの、これを成功させた企業は少数であるということがわかりました。さらに、日本の産業機械業界の企業の収入に占めるサービス関連の割合は未だ低く、製品からサービスへの変革の必要性が高いことを示しています。

  • 日本企業は全収益に占める製品由来の比率が比較的高く、サービス由来の収益を十分に あげられていない可能性がある。(サービス由来:日本25.6%、グローバル29.4%)
  • チャンピオンやマスターに分類される企業比率が低く、ストライバーズの比率が高い。 日本においては、サービス事業の先進化が遅れている可能性がある。
  • 日本での回答企業にはグローバル平均の3倍(46.0%対15.0%)の医療テクノロジー企業が含まれるが、チャンピオンやマスターといった、サービス先進企業の比率を高める結果にはなっていない。
  • グローバルでは新規サービスとして、「品質マネジメント」を最も多くの比率の企業(69.5%)が提供するが、日本における提供企業数比率は4番目に過ぎない。(48.0%)
  • 日本企業は、サービス提供プロセスの標準化が遅れている。既存サービスでは全プロセスの標準化が12.0%(世界平均22.6%)、新規提供サービスでは6.0%(世界平均12.0%) となっている。*全サービスに占める標準サービスの金額割合。

ピボットプロセスに潜む落とし穴

産業機械メーカーがピボットを実践するプロセスにおいて直面する大きな課題とは?

サービスケイパビリティの不足

4つのカテゴリーすべてにおいて、サービスの販売能力、デリバリースキル/リソース、デジタル/アナリティクス能力を構築することが大きな課題となります。

他社とのコラボレーションの欠如

4つのカテゴリーすべてにおいて、他事業者とデータの共有化や人員/役務の共通化といったコラボレーションモデルを構築するには至っていません。

投資の焦点が定まらない

ストライバーは投資の焦点が定まらない傾向があります。一方、トラディショナリストはIT環境が十分に成熟しておらず、新たなサービスを支援できていません。

サービスマネジメントを実践する能力の不足

ストライバーとトラディショナリストは効果的なサービスマネジメントを実践する能力が足りず、関連するKPI(主要業績評価指標)も不明確です。

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サービスの変革を成功させるための4つの重点領域

調査の結果、私たちは産業機械メーカーが価値創造を重視したサービス変革を成功させるためには、チャンピオンとマスターが焦点を当てている「重点領域」に目を向けることが重要だと結論づけました。

野心的な目標とそれを実現するためのサービス販売アプローチ

コストの透明性、製品とサービスの連携、サービスライフサイクルを通じたカスタマーインティマシー、戦略的なサービス販売を並行して実現。

デジタルサービスへの系統立った投資

デジタルでクラウドベースのITインフラへの系統立った投資により、長期的な収益性を踏まえた新たなサービスとリソースを体系的に開発。

効果的かつ拡張性に優れたデリバリー/クラウドデリバリー

サービスとデリバリープロセスの標準化、継続的な学習、顧客のセルフサービスケイパビリティに対するサポートを実現。

戦略的なサービスエコシステム構築

他社とのコラボレーションも視野に入れた、戦略的なサービス提供エコシステムの構築。

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変化はすでに始まっています。貴社の備えは?

産業機械メーカーは今後5~10年の間に、最大で収益の60%をサービスが占めるようになるとアクセンチュアは考えています。ただし、この割合は業種やメーカーの成熟度のほか、サービス変革のロードマップ通りに順調に進んでピボットプロセス全体を実践できるかによっても異なるはずです。

メーカーは今こそ、未来に備えるための準備に着手すべきです。ビジネス変革を実践してチャンピオンに追いつき、さらには追い抜けるメーカーだけが顧客が真に求めるサービスを提供できるようになり、不確実な市場環境においても収益性とレジリエンスを著しく改善することが可能です。

他社の試みをはじめ、貴社のサービスの変革に役立つ価値あるインサイトを、アクセンチュアの調査レポートでご確認いただけます。ぜひご活用ください。

著者について

Maxence Tilliette​

Managing Director​


Dr. Jiva Dimitrova-Micha

Principal Director​​


Urban Hofström​​

Principal Director


Matthias Wahrendorff

Thought Leadership Research Senior Principal – Accenture Research


Clara Weissenberger

Management Consultant​


Oliver Marti​​

Management Consultant​

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