物流企業は、既存のテクノロジーを刷新しかつデジタルな「コネクテッド」エコシステムへと進化させる際に、大きな課題に直面することが珍しくありません。時代遅れのテクノロジーを基盤に構築され、スパゲティ状にもつれたインターフェースを用いた、20年も30年も昔の古いメインフレームシステムを今なお使い続けているためです。

残念ながらこのようなレガシーシステムでは、クラウドストレージや高度なサイバーセキュリティ、アプリケーションプログラムインターフェース(API)といった最先端技術を活用した、効率的なソフトウェアの展開を実践することはできません。

レガシーアプリケーションのモダナイゼーションを推進することにより、企業はインフラストラクチャ関係費を前年比15~35%節約し、アプリケーション保守・運用費の30~50%削減を実現できます。

COTSにつきものの課題

過去10~15年にわたり、多くの物流企業ではIT戦略として、商用オフザシェルフ(commercial off-the-shelf、COTS)ソフトウェアソリューションを購入し、自社のIT環境の刷新を図るというアプローチを取ってきました。COTSなら新たな機能を直ちに活用できるから、というのがその理由です。しかしながら現実には、その過程は期待したほど容易ではありませんでした。

大抵のCOTSソリューションは、グローバルにビジネス展開し、大規模な資産を抱える物流業界ならではの独自のニーズに合わせてカスタマイズされた、豊富な機能を備えていません。そのため、ソリューションの実装プロセスが複雑化するという欠点があります。実際、企業によっては実装プロセスがあまりにも難しく、当初計画のごく一部しか実装できずに終わるというケースもあります。ある大手物流企業では、新しいソフトウェアプラットフォームの導入を完全に断念し、約4億ドルの損失を計上することになりました。

袋小路からの脱出

COTSソリューションにつきまとう実装の複雑性やコストの問題を解決するべく、業界では新たなコンセプトが牽引力を増しつつあります。ソリューションを刷新するのではなく、モダナイゼーションというコンセプトです。

アクセンチュアでは現在、クラウドへの移行のような革新的アプローチを活用して自社のレガシーアプリケーションのモダナイゼーション推進をサポートしています。移行後は、アプリケーションを最新のコードベースを基盤として運用できるので、新たな機能をより迅速に展開できる他、統合接続性も向上し、クラウドへのデータ移行も一層スムーズに実行することが可能になります。結果として物流企業は、開発費と保守費の両方を削減しながら、顧客が求める新たなデジタル能力の活用も実現できるようになります。

COTSソリューションにつきまとう実装の複雑性やコストの問題を解決するべく、業界では新たなコンセプトが牽引力を増しつつあります。ソリューションを刷新するのではなく、モダナイゼーションを進めるというコンセプトです。

レガシーアプリケーションのモダナイゼーションを推進するべき理由

  • インフラストラクチャ関連費を前年比15~35%節約できる
  • アプリケーションの保守・運用費を30~50%削減できる
  • 新たなテクノロジー/ビジネスチャネルを導入できる
  • 規制順守やコンプライアンスをサポートできる
  • 顧客満足度を向上できる

モダナイゼーションの成功事例

アクセンチュアは大手運輸企業と協働し、人を中心としたデザイン思考を基に、同社の中核的なドキュメンテーションシステムのモダナイゼーションを推し進めています。運輸業界では受注から資金回収までのプロセスの中心に船積み書類があり、この書類が顧客との合意から運輸業務の実行、支払い代金の回収に至るまでの工程を結んでいます。つまり業界では、重要な船積み関連データの処理プロセスを合理化するという、大きな機会が残されていると考えられます。そこで同社は、既存のソリューションの見直しを計画しましたが、COTSソリューションは現在も利用中の多くの機能が備わっていないという理由で導入を却下。代わりに、既存のコードをモダナイゼーションをベースとしたコードにに更新することで、莫大なコストをかけることなく、より短期間で、将来的にも機能を追加していけるような施策を推進しています。

企業がたどるモダナイゼーションの行程は、既存のプロセスやシステム、ITインフラストラクチャの内容によってまちまちです。しかしながら、近代化を目指す具体的な工程がいかなるものになるにせよ、果たしてモダナイゼーションが自社にとって適切な選択肢なのかどうかを判断する上では、全ての企業が検討するべき共通項目が何点かあります。

モダナイゼーションへの適性を検討する。

第1のステップとして、自社のビジネスが本当にシステムのモダナイゼーションを必要としているかどうかを検討します。

  • 既存のシステムは、セキュリティやデジタル能力、運用費といった領域での目下のニーズを満たしているか?
答えが「ノー」なら、新時代のIT環境に移行するための最適なアプローチの検討を開始するべきでしょう。

自社のIT環境を評価する。

アクセンチュアでは、お客様が古いプログラミング言語のうちのどれを、どのような方法でモダナイゼーションのプログラミング言語に移行するべきか、容易に評価するためのツールを提供しています。このツールキットでは以下を行います:

  • お客様の現在のIT環境を分析する。
  • お客様がどの程度のモダナイゼーションを必要としているかを把握できるよう支援する。

COTSソリューションかモダナイゼーションか?

COTSソリューションへの交換でも十分な領域もあります。

  • インボイス発行など、一部のプロセスはCOTSソリューションを利用した更新も可能。
  • 業務/資産管理システムなど、一部のアプリケーションはよりカスタマイズされたソリューションでなければ更新が不可能。
  • 場合によっては、COTSソリューションとカスタムソリューションを組み合わせたほうがよい。

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次なるステップ

物流企業はアプリケーションのモダナイゼーションによって大きな機会を手にすることができます。例えば、インフラストラクチャ関連費や保守費を削減し、実装時間を短縮し、イノベーションの基盤を築き、各種機能を改善して、最終的には顧客満足度を一層高めることができます。

新たな分野を切り拓く時代が訪れたいま、システムのモダナイゼーションなどの様々な選択肢を正しく選ぶことで、未来においても競争優位性を維持することのできる、より強固なポジションに物流企業を位置づけることができます。

Sarah Banks

Managing Director – Freight and Logistics Industry

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