新型コロナウイルス(COVID-19)感染症は、未曽有のスピードと規模で近年の歴史にない世界的な健康危機を誘発しています。こうした中、各企業は従業員を保護し、事業の継続性を確保するために、ただちにその対処法を打ち建て行動に移す必要があります。ハイテク企業のリーダーは、サプライチェーン、市場の需要、従業員という3つの観点から、短期的な準備をする一方で、中長期的には事業の運営方法を変えるような新しいビジネスの可能性や社内の働き方を改革と経営バランスを取る必要に迫られているはずです。

ハイテク産業はこの危機を乗り切る上で、有利な立場にある

短期的には、供給の混乱により製造・組立能力が低下し、部品供給のぐずつきによる遅延で工場の再開がさらに遅れ、移動禁止令は労働力不足と消費者需要の激化が想定されます。但し、ハイテク企業は他の産業に比べてリモートワークに対応しているため、職場におけるカルチャーショック現象は比較的少なく収まると考えています。

ビジネスとしては、デジタル・コラボレーション・ツールを利用した在宅勤務へのシフトは、ハイテク製品の需要を牽引する可能性を秘めています。ビジネス向けクラウドコンピューティングや消費者向けブロードバンドサービスの利用増加を受け、この移行を支えるインフラに対する需要が高まり、業界に恩恵をもたらすと考えます。

セクター別の需要に対する影響

バリューチェーン各セクターごと、以下のような課題に直面すると考えます。

セミコンダクター

短期的な影響結果として、2020年の自動車部門とコンシューマ機器はマイナス成長が懸念されるものの、クラウドコンピューティングと在宅勤務テクノロジーの成長によりPCやサーバーのチップ需要が伸びると予想されます。クラウドやモビリティ・ソリューションの採用拡大により、長期的な需要増加が見込まれています。

エンタープライズ・テクノロジー

在宅勤務ソリューションのニーズにより、ノートパソコン、ルーター、クラウド・コンピューティング・ソリューションの需要が増す一方で、大規模なプログラムの導入は当面減少すると予想されます。エンタープライズ・テクノロジーに対する長期的予測としては、劇的な変動はないものと思われます。

コンシューマー・テクノロジー

景気後退の懸念と自由裁量所得の削減により、全体的な支出を減らす一方で、短期的には個人PCの購入に兆しがみられます。アフターコロナにおいては、我慢の反動による消費意欲の急激な回復が見込まれることから、長期的な需要予測としては最小限の変化に留まると考えられます。

コミュニケーション&ネットワーク機器

サプライチェーンや現場の労働力が回復するまでの当面の間、5Gやその他ネットワークの更新は延期されるものの、クラウドやモバイルの利用増加を支えるためにネットワークへの投資は維持されることが予想されます。長期的にはネットワークインフラへの投資は増え、在宅勤務や自宅でのエンターテインメント需要をサポートすると考えられます。

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これら明確なカテゴリーにおいては、各々のサプライチェーンもまた特有です。実態の詳細を把握するために、自社のコンポーネント、製品、サービス、顧客がそれぞれどのような影響を受けているか、調査・棚卸が必要です。

サプライヤー

ハイテクのサプライチェーンは、今年の初期に大きな混乱を経験した中国に依存していますが、現在は回復傾向にあります。しかしながら、新型コロナウイルスの感染サイクルを通じて、さまざまな地域や国レベルのフェーズで変化していく中で、一部サプライヤーの供給が一時的に危機に直面する、という現象が断続的に発生するでしょう。これにより、供給品の争奪戦が起き、高いコストが顧客に転嫁されるという異常事態が起きています。

製造業者

一部の国において労働問題や生産性を維持する上で必要な知的財産権の制限により、減産が余儀なくされることが予想されます。国によってはウイルスの影響で営業自体完全にシャットダウンされる可能性が、業種によってあると考えます。

物流

国境閉鎖や営業自粛といった店舗で販売するスタッフあるいは販売相手の顧客のいずれかがいなくなるような法的規制が起きると、エンドユーザーへの最終サービス段階も例外なく、物流全体に支障をきたすことが予想されます。その結果、顧客に直接配送することの必要性が一層高まると考えます。

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コロナウイルス危機に対する迅速な行動

多くのリーダーは、短期的な課題に備える一方で、持続可能な新しい能力や働き方を検討していかなければなりません。将来の課題に備えるための最善策の一つは、ビジネスニーズの変化に即して迅速に拡張可能なエラスティック・デジタル・ワークフォースを構築することです。

  • 場に応じた適切なツールの導入: リモートワークに必要なツールがまだ導入されていないのであれば、リーダーはIT部門と協力をし、全従業員がこうしたツールにアクセスできるようにするだけでなく、ツールを使いこなす能力やそのための適切なトレーニングを受けられるようにしなければなりません。またそれを幅広く導入するよう推進し、使用方法を型化します。事業継続計画は、デジタル対応可能な労働力の伸縮性だけではなく、労働力や出張の削減も可能性として考慮する必要があります。
  • 企業文化が移行を後押し: 強力な組織文化の中で稼働する企業では、たとえば適切な機器を従業員に分け与えるといった、エラスティック・デジタル・ワークフォースを支えるテクノロジーをあらゆる面で強化したり、あるいは置き換えたりすることができます。従業員や顧客が位置する場所と場所を繋ぐデバイスによるネットワークを補強し、その間を流れるデータのセキュリティ保護を保証しなければなりません。

世界には新型コロナウイルスの感染拡大の速度に追い付いていない機関や施設がいくつかあります。アジア、ヨーロッパ、北米の主要な商業拠点では、すでに地方自治体や医療施設が新たな需要への対処に腐心しているのを目の当たりにし、これからもっとその局面に立たされると予想されます。

ビジネスにおいても同じことが言え、迅速に行動することで、新型コロナウイルス(COVID-19)危機によるビジネスへの打撃を弱める一助となります。実際、エラスティック・デジタル・ワークフォースへの変革がもたらすポジティブな効果はすぐに実感できるはずです。

コロナウイルスとハイテク業界:将来に向けての計画

[2週間] 優先順位付け

サプライチェーンが現在どのようなリスクに晒されているかを理解し、需要と供給の両方の変化を想定したシナリオをモデル化します。自社の戦略に取り込める需要のエアポケットを見つけ、エラスティック・デジタル・ワークフォースを実現するためにどのケイパビリティがすでに実施されているかを確認してください。

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サプライチェーン

  • 即断・即決のマインドセットを持つ
  • エクスポージャーの理解と定量化する
  • 供給ネットワーク全体を俯瞰し、不備な部分の優先順位を選定し、処置を実施する
  • シナリオモデルのボラティリティ

需要

  • 異なる需要量をモデル化し、ビジネスモデルのストレステストを行う
  • 緊急性の最も高い安定需要のある顧客/業界/市場への供給と営業活動の優先順位付けを行う

エラスティック・ワークフォース

  • 現状のコラボレーションや在宅勤務テクノロジー、拡張能力を評価する
  • スピード感のある展開のために、技術計画を作成する
  • ワークフォース・コミュニケーションの展開、および計画の変更を行う

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[2か月以上] 検証&再構築

その後、実態は何なのかを見極め、必要に応じて対応策を見直していきます。例えば、ネットワークと在庫フローを再設計するための新たな機会が生じたか? 短期および長期の需要計画を改善するのに役立つインサイトを発見したか? 会社のあらゆるレベルで新しい働き方を展開しているか?などです。

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サプライチェーン

  • ダイナミックな調達と在庫
  • AI/MLによる需給計画
  • 長期的な需給安定性の向上
  • ネットワークおよび在庫フローパスの評価と再設計

需要

  • AIを活用した現金および運転資金管理
  • 需要計画とシナリオモデリング能力の向上
  • データ主導の需要セグメンテーション

エラスティック・ワークフォース

  • 既存および新規のテクノロジーを導入し、伸縮性のある労働をサポート
  • 会社のあらゆるレベルで新しい働き方やコラボレーションを実行

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[6ヶ月以上] 拡張および維持

半年後には、より永続的に変革することについて検討します。例えば、将来の混乱に直面した際のレジリエンス(不況、苦境からの復活力)を高めるためにサプライチェーンを多様化したり、需要の変化を予測するためにAIを活用したり、リモートワークの優れた部分を企業文化の一部として定着させたりする等の動きが挙げられます。

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サプライチェーン

  • 特定の国への依存度を緩和するためにサプライチェーンを多様化する
  • 直販ビジネスモデル/販売のさらなる推進を行う
  • デジタル・サプライチェーンとスマート・マニュファクチャリングへの投資をする

需要

  • ビジネスモデルを「アズ・ア・サービス」にシフトし、需要の変動を緩和する
  • 新しい在宅ワーク、医療技術、コラボレーション・ソリューションへの進出
  • デジタルとAIを活用した需要予測とプランニング機能への投資を実施する

エラスティック・ワークフォース

  • コラボレーションや働き方を恒久的に変革
  • 各分野でのサービスとカスタマーサポートを中心に、よりエラスティックな労働力を創出する

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新型コロナウイルス感染(COVID-19)は、100年に一度の危機と呼ばれています。この出来事をきっかけに、持続的に変化する従業員の期待や突発的に起こるグローバル規模での混乱への対応能力の向上に加え、採用が加速する人工知能や自動化が進んだ多様なサプライチェーンが見られるようになると考えます。

エラスティック・デジタル・ワークフォースの創出に今まさに投資を試みるハイテク企業は、ポストコロナ(新型コロナウイルス終息後の世界)に向けた準備がかなり進んでいます。

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