経理・経営管理領域にも押し寄せるデジタル化の波

Newテクノロジーにより企業内のあらゆる業務のオートメーション化、インテリジェント化が進んでいますが、経理・経営管理領域においても欧米を中心にデジタル化が加速的に進んでおり、「テクノロジー活用」がCFOアジェンダの大きな1つのテーマとなっています。テクノロジーの破壊的な進歩により、業務オペレーションの生産性が急激に向上しているだけでなく、人の判断が必要な業務においてもデジタル化が進んでいます。

デジタル・ボーダレス時代において、グローバルでの競争優位性を築くためには、Newテクノロジーを活用したデジタルオペレーション基盤(GBSおよびデータプラットフォーム)を構築し、これを“改革のエンジン”として継続的に「従来のマニュアル業務を自動化・省力化」し、創出された余力を「成長領域や利益につながる高付加価値業務」へシフトするーーこのようなデジタルトランスフォーメーションをCEO、CFO、CDO(Chief Digital Officer)で実現していく必要があります。

Digital Financeの実現:2つの方向性

①CoS(Center of Scale):業務自動化による生産性向上─人手をかけるのはもう時代遅れ─

RPAにより、起票・チェック・転記といった、マニュアル業務の自動化が普及しました。経理・経営管理領域では、RPAを適用できない業務がないといっても過言ではないほど、出納、販売会計、一般会計のほとんどの業務において自動化の余地があります。更に、本来デジタル化されていなかった業務もOCR+機械学習技術の進化によりデジタル化が進んでいます。例えば、販売会社における顧客からの入金消込処理の自動化プロジェクトでは、入金登録、振込名寄せ、消込・債権マッチング、消込、結果照合などの業務にOCRやRPAを活用したほか、人の判断も求められる例外的なマッチングルールを機械学習で自動化する仕組みを導入しました。結果、約90%もの業務工数が自動化され、従事者はオペレーションから解放されました。

また、事業部別のPL・売上報告資料などのレポーティング業務ともRPA/AIは相性が良いと言われています。これらNewテクノロジーは、複数システムや異なるフォーマットのデータ収集、加工、資料化を人よりも何倍もの速度で処理可能で、AIを活用すれば、分析軸となるデータの影響度からレポートの原因までも分析することが可能です。例えば「今月の売上が落ちたのは、A地域の競合イベントによりB商品の売上が低下したことが原因です」といった自然言語で考察を付記することができます。原因分析は、熟練分析官によるインプットによりAIに機械学習させることで精度を向上させることが可能です。RPAも、従来難しいとされていた判断機能の実装や非構造データへの対応、学習機能の実装といったコグニティブ化のステージに向かっており、さらなる“デジタルレイバー”化が進むのは確実と考えています。

②「インテリジェント機能による思考判断サポート」によるCOEの実現─「見えなかった」が見える世界─

非構造データから規則性を見つけたり、統計的な特異性を導き出したりするのはAIの得意分野です。デジタル化の流れでデータ化されていなかった情報のデジタル化が進むことで、分析分野も進化しています。従来⽬視や勘に頼った手法では見えなかったインサイトがNewテクノロジーの活用で抽出可能となった結果、予実管理のような後手の施策ではなく、実際の事象が起きる前に、ヒストリカル分析からの予測や複数因子による予兆分析で、予防措置を講じることができるようになりました。
分析精度はAIエンジンが学習することで進化するため、意思決定者は、結果を起こす因子(ドライバー)を注視し、いかにその因子を管理し、例外による影響度を最小限に抑えるかを念頭に置いて、テクノロジーへの投資を実行しています。
我々の経営コンサルティングサービスにおいても、2013年に設立したAI・アナリティクスを専⾨とする部⾨と連携しながら、先進テクノロジーを活用してデジタル変革を推進する取り組みが年々拡大しています。
下記図表に、高度化サービスの事例を示しました。

最後に

旧来の財務業務がデジタルテクノロジーの進化で工数ゼロ化していく中、これからの経理・経営管理部⾨の人材は、より事業に近い領域で経理、経営管理視点を持って貢献していくことが求められています。

その為の「改革を推進するプラットフォーム構築」や「リソース配分の転換」などの改革に向けた意思決定ができるか、企業/CFOとしての在り方が、今、問われています。

高塚 大然

通信・メディア・ハイテク本部
財務・経営管理グループ
マネジング・ディレクター


赤羽 浩平

通信・メディア・ハイテク本部
財務・経営管理グループ
シニアマネジャー

関連コンテンツはこちら


ニュースレター
最新コラム・調査をニュースレターで 最新コラム・調査をニュースレターで