「次世代グローバルビジネスサービス(GBS)」を構築する上で重要な要素の一つにEnd to End視点のプロセス改革があります。ここではそのEnd to Endプロセス改革の効率化効果と統制強化に関する具体的な事例を紹介します。

部門単位のプロセス改革の限界

これまで主流だった部門単位での業務・システム設計によるプロセス改革は、部門内でのクイックな効果が得られやすい反面、プロセス全体で見た場合には情報の断絶や業務の重複、過剰業務品質が発生するケースがあるため、抜本的な業務効率の向上を阻害する要因にもなり得ました。シェアードサービスやアウトソースを活用した場合も、業務プロセスが“虫食い状態”のまま移管されることで現場の混乱を招くケースも多く、部門単位のシステム構築により経営情報のタイムリーな把握も阻害されがちでした。

GBSの提供価値を最大化する部門横断型のEnd to End視点のプロセス改革

こうした弊害を解消するための手法として、事業活動の取引の発生から終了までをEnd to Endの視点で捉え、部門横断型で業務を標準化し全体最適を行うEnd to End型プロセス改革があります。改革の効果として、業務効率化と統制強化の両面が挙げられますが、End to Endのそれぞれのプロセスモデル単位でのアプローチでその効果は最大化させられます。

5つのEnd to End視点のプロセスモデル(製造業を想定)(図1)。

  1. 営業活動から契約まで (OTO : Opportunity to Order)
  2. 受注から回収まで(OTC : Order to Cash)
  3. 調達から支払まで(PTP :Procure to Pay)
  4. 人材の採用から退職まで(HTR:Hire to Retire)
  5. 記録から会計報告まで(RTR:Record to Report)

① End to Endの業務効率化 PTPの購買支払い ─重複排除とリスク抑制事例─

A社では申請部門は受領した請求書が発注内容・検収内容の整合をチェック後支払依頼をする一方、経理部門でも申請内容と請求書内容をチェックして支払を実行しており、照合業務が重複していました。

改革では、取引の実在性を担保できる申請部門が全件チェックを担当し、経理は高額申請や税務リスクなどのチェックのみを重点的に行うプロセスに変更し、業務の重複を排除しました。また、経理規程もEnd to End視点へと改変、プロセスオーナーが全体を監視するルール・体制としました。さらに支払先からの請求書も紙ベースから、自社の検収情報を活用した被請求書ベースとしたことで、電子データによる電子帳票プラットフォーム上での伝達・チェックが可能となり、紙の排除と電子データ使用によるチェック自動化を同時に実現しました。

このようにEnd to Endの視点で重複排除および一元管理されたデータ活用をすることで、プロセス全体の効率性向上とリスク抑制のバランスの実現が可能になります。

② End to Endによる統制強化事例

B社では従来、OTCプロセス、PTPプロセスのいずれも国/事業/個社ごとに体制・役割がばらばらで、その業務ごとに管理主体の部門やシステムが分散されており、シェアードサービスやアウトソースの活用も限定的でした。その結果、営業、購買のそれぞれで自部門の利益や利便性が優先されてしまい、コーポレート部門によるチェックプロセスが機能しない深刻な課題が生じていました。また、取引データがばらばらに管理されていたことから、不正の検知が遅れるという統制リスクにも直面していました。

これらの課題に対して、図2で示したEnd to Endでプロセスを再設計し、OTC/PTPの各センターにオペレーションを集約して、現場と業務オペレーションの切り出しを行いました。また、第三者による規定、手続き、ルールの逸脱がないようチェック機能を強化し、現場の意思だけで調整が効かないよう統制機能を強化、さらに、業務オペレーション機能の各センターではマニュアルや紙作業をデータ化することで、データ・ドリブンでの統制強化も実現した。

End to Endプロセス改革の要諦

このようにGBSによる効率面・統制面の両効果を最大化するためには、部門を超えてプロセスを再設計する必要があります。ただし効果の最大化を狙う上では、セクショナリズムが大きな壁となり得るため、部門横断で改革を進めるためには組織の責任・権限・評価の再設計が重要です。

高塚 大然

通信・メディア・ハイテク本部
財務・経営管理グループ
マネジング・ディレクター

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