日本のナショナルアジェンダとして地方創生が掲げられてすでに6年以上が経過しましたが、過疎地域の拡大や地域経済圏の衰退には歯止めがかかっていません。人口減少よりも早いスピードで生活インフラである食品小売店の閉店や撤退が進んでおり、過疎地域ではフードアクセスが一層困難化しています。
コロナ禍のような感染症拡大に限らず、大規模災害などの有事の際の優先課題は心身の安全と食の維持であることから、フードアクセスの確保は社会の持続性の観点でも必須事項となります。
視点を世界へ向けると、タンパク質危機に代表される食糧危機はますます深刻化しています。世界では6億9000万人が慢性的栄養不足状態であり、SDGsでも飢餓の改善が第2の目標* と位置付けられています。このことは世界のリーダーたちが食料に関する強い危機感を持っていることの証左です。事実、2020年にはWFP(国連 世界食糧計画)がノーベル平和賞を受賞しています。
*³ アクセンチュア調査:「平成29年度輸出戦略実行事業」 食品に関する電子商取引(EC)の各国調査報告書」2018年3月
「平成29年度輸出戦略実行事業」食品に関する電子商取引(EC)の各国調査報告書
*⁴ SDGsジャーナル:「SDGs|目標2 飢餓をゼロに|8億人を飢餓から救う」
SDGs|目標2 飢餓をゼロに|8億人を飢餓から救う
日本・世界を問わず、食にまつわる問題は市民の生きる権利、安心できる生活維持の権利を脅かす問題であるといえます。
この環境変化における事象は以下の通りです。
- 過疎地域から小売店が減り、住民はフードアクセスに課題
- 有事の際、日々の食料確保に不安
- 世界的な食料不足、タンパク質危機