
新型コロナウイルス(COVID-19):消費者トレンドがCPG企業にもたらす影響を理解する
2020/08/13
2020/08/13
アクセンチュアが7回にわたって実施した消費者調査によると、CPG業界にはCOVID-19による甚大な影響がもたらされています。この影響は永続的なものになるかもしれません。人々の暮らし方や働き方は大きく変化し、これまでとは違ったものを、違った方法で購入するようになりました。それだけではありません。消費者そのものも劇的な進化を遂げています。市場では新たな消費者のアーキタイプが生まれており、CPG企業にはこの事実と向き合って、スピーディに対応することが求められています。
CPG企業は従来の消費者セグメント、またセグメンテーションの根拠となっていたインサイトを見直して、消費者の新たな行動や嗜好を反映したものに定義し直す必要があります。CPG企業は、進化し続ける新たな消費者セグメントについて改めて学び、消費者がいかに変化し、どのような価値観を抱くようになったかについての理解を深めなければなりません。
COVID-19は「健康」の意味を再定義し、健康を求める人々の気持ちをより一層高めました。消費者はもはや、1つのニーズしか満たせない製品をいくつも所有することを望んでいません。彼らが求めているのは、自らの健康に関するすべてのニーズに応えてくれる包括的なヘルスケア&ウェルネスソリューションです。CPG企業はエコシステム全体(テクノロジー、ヘルスケア、CPG)におけるパートナーシップを強化することで、健康に関する一時的なトレンドを追うのではなく、ヘルスケアおよびウェルネス関連の多種多様なニーズを総合的に満たせる製品やサービスを開発することができます。
消費者は「最高の自分」を目指している
59%
の消費者は今後も健康を意識した買い物を続けると回答。
2人に1人
の消費者は今後もエクササイズに一層励み、セルフケアや心の健康のために多くの時間を費やすと回答。
79%
の消費者は今後も手洗いを頻繁に行うと回答。
3人に1人以上
の消費者は今後もテクノロジーを活用したヘルスケアサービス(遠隔医療など)を利用すると回答。
消費者の不安は4月初頭のピーク期に比べれば和らいでいるかもしれません。しかし、健康や雇用の保障、経済全般の状況に関する問題に取り組む必要もあり、大きな不安が蔓延している状況であることに変わりはありません。
全体として見ると、消費者は各種の規制が適切に緩和されつつあると感じています。とはいえ、公の場に出向くことに対する意欲が回復するまでには至っていません。小売店舗の利用規制が緩和された市場でも、生活必需品以外の店舗の利用は低迷したままです。感染の拡大が沈静化した国々でも、消費者の63%は公の場で過ごす時間を依然として抑制している状況です。
出典:アクセンチュア新型コロナウイルス(COVID-19)消費者調査(6月2~8日実施)
CPG企業の主戦場は「自宅」にシフト:消費者の67%は、人との交流を自宅で楽しむことを計画しています。人々の消費パターンは変化しており、オンラインでつながることが増えたほか、新しい余暇の過ごし方を模索していることがうかがえます。CPG企業は中期的な視点に立ち、消費者の家時間へのシフトに備え、それに見合った事業計画を立てなければなりません。また、この機会を生かして、新たな交流の場や創造の場にふさわしい製品/サービスを提供することも可能です。たとえば、外出体験を再創造するような新たな製品を提供することができます。
公の場に戻ることに対する消費者の意欲を高めるには、公共の場のスタッフと消費者の両方にマスク着用を求めるといったような措置が不可欠です。CPG企業は、自社の顧客基盤の消費意欲に最も大きな影響を与える措置を最優先するべきです。安全は優先課題の1つですが、同時にインセンティブを提供するなど、優先課題の組み合わせは企業によって異なります。ここでは、たとえば限定商品の提供といったアプローチが効果を発揮しています。
消費者の考え方、買い物の仕方、行動は変化しました。感染の拡大は多くの意味で、CPG企業が革新的な方法で消費者に訴求し、エンゲージメントを結ぶための新たな機会をもたらしています。この新しい時代に消費者がより良い自分への変化を模索しているように、企業も同様の目標を掲げるべきだといえます。現代は未来がもたらす可能性へのフォーカスが、何よりも重要な時代なのです。