概略

概略

  • 新型コロナウイルス(COVID-19)によってメーカーは壊滅的な打撃を受け、影響の把握ならびに迅速な回復に懸命に取り組んでいます。
  • 一部の製品に対する需要が急激に変動するため、従業員やビジネスエコシステムおよびネットワーク資産への短期的な影響を判断しなければなりません。
  • アクセンチュアは、アジリティとレジリエンスの強化に向けて、メーカーが直ちに取り組むべき5つの重要課題を提案します。


新型コロナウイルス(COVID-19)による製造業への影響は?

新型コロナウイルス(COVID-19)による壊滅的な打撃によって、製造業のオペレーションやネットワーク、業績に深刻な影響が生じています。そのためメーカーは、リスクマネジメントや危機管理計画だけでなく、従業員の安全管理、製造現場のオペレーション、新たな働き方すべてにおいて、見直しを迫られています。

現在メーカーの経営者は、事業継続を最優先した緊急課題への対処に注力しています。緊急対策チームを結成し、製品に対する需要の変化、従業員支援に関する課題、サプライチェーンにおける制約の把握に努めています(「サプライチェーンのレジリエンス強化に向けたアクセンチュアの提案(英語)」 も参照)。

加えて、新たなテクノロジーソリューションを活用し、最大限将来を見据えたビジネスの構築が必要です。そうした戦略は、緊急時におけるレジリエンスの強化、オペレーションの維持、従業員のサポートにつながるだけでなく、今後経済が回復した際に、競争優位性を維持しながら急速に事業を成長させる基盤にもなります。

レジリエンス強化に向けて、現在そして今後取り組むべき5つの重要課題

1. 急激な需要の変化の把握

必要なものの優先順位が抜本的に変化しています。そのためメーカーには、次の3つのシナリオが想定されます。

  • 需要が急増している製品(例:人工呼吸器、個人防護具、缶詰、保存食品・冷凍食品等)の増産
  • かつての生産ラインを転用・再利用したコミュニティー支援物資の生産(例:蒸留酒業者による消毒液の生産)
  • 需要が激減した製品、サプライチェーンが崩壊した製品の減産や生産中止

いずれのシナリオにおいてもメーカーは、事業の継続や成長に不可欠な製品を早急に判断し、サプライチェーンを強化し、直近および将来の需要に対応したスキルを確保しなければなりません。

そのためには、次のような行動が必要です。

  • プランナーとともに顧客および市場の実際のニーズを把握し、不可欠な製品の需要をセグメンテーションして優先順位の変化に対応します。
  • 顧客層、顧客エリア、市場の販売チャネルを考慮して、市場予測をもとにオペレーションを区分けします。そのために需要が多い製品を見極め、オペレーションの転用、減産、生産停止、再販の必要性を判断します。
  • 速やかに需要・供給モデルを構築し、オペレーションの可否を確認します。
  • 供給を約束し、顧客の受け入れ能力を確認します。
  • 次の需要や生産ニーズの変化に備えたロードマップを策定します。

2. 従業員の安全性及び柔軟性のマネジメント

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症によって、従業員の働き方、安全性、生産性に関する様々な課題が生じています。体調不良や出勤拒否による欠勤が生じる恐れがあり、接触を抑えるための指針により、従業員に対する遠隔支援を求められる可能性もあります。それらの要因による生産性の低下が予想されるため、職場における健康管理やソーシャルディスタンスを徹底するための新たな作業プロセスが導入され、複数の職務を果たすためのスキルの見直しや新たな製品ラインの検討が始まっています。

「従業員ファースト」の理念を実現するためには、ソーシャルディスタンスの確保とともに、従業員およびその家族の安全のための個人防護具に関する独自の基準が必要です。従業員も健康と生産性を維持するためのサポートをリーダーに求めています。従業員のレジリエンス強化に向けたアクセンチュアの実務的な提案は、身体的な安全だけでなく精神的な安定、同僚とつながっていたいという思いに対処することによって、従業員からの信頼を維持しようとするものです。

具体的には、従業員および契約パートナーを支援するために、次のような行動が求められます。

  • フレキシブルな人員構成による増産や減産への適応
  • ソーシャルディスタンスの要件や従業員が新たな健康管理プロセスを守れる時間的余裕を考慮したシフトの最適化
  • 万一感染が確認されたときの行動など、安全性と事業の継続のバランスを図るリモートワーク方針の導入
  • 現場における新たな安全対策の実施。例:消毒場所の追加、現場に入る前の健康チェック、従業員同士のソーシャルディスタンスを保つための輸送ならびに現場作業の見直し、食事スケジュールの調整など
  • 頭部装着型ディスプレイ(例:ホロレンズ、リアルウェア)とモバイルデバイスの迅速な導入。それによる遠隔地の専門家や連携が必要な個人へのリモートアクセスによるオンサイトスキルの補完
  • 配置換え、オポチュニティ開発、キャパシティの充実が必要な別の事業ユニットとの協力による活用できていない従業員の再検証

3. ビジネスエコシステムの存続

通常、大幅な市場の混乱時のビジネスエコシステムは最悪の状況です。エコシステムに基づいてグローバルなサプライチェーンを構成しているメーカーにとって、これは大きな課題です。重要なのは、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響とともに、ビジネスエコシステムにおける重要なサプライヤー、契約企業、共同生産者、ロジスティクス担当者との状況を正しく把握することです。

具体的には、次のような行動が求められます。

  • 主要となる第一、第二の調達先の確認。需要/生産の複合的変化への対応能力を確認し、供給価格やデリバリーのリードタイムの変化を見極めます。
  • 共同生産者との連携の可能性とともにエコシステムの拡大が依然として実行可能な選択肢か確認し、それによる新たな需要/生産への対応の可否を探ります。
  • 現場を支える主要契約者に連絡し、安全確保のための対策、必要な作業プロセスの修正、現場へ入るための新たな要件を確認します。
  • 優先順位の高い市場へのデリバリールートを見極めます。その上で第三者やロジスティクスプロバイダーがそれらのルートでの作業継続が可能かどうか、可能でなければ別の仲介輸送業者を確保します。
  • 契約を再検証し、現在の状況を考えた上で必要な見直しがあるか判断します。

4. ネットワーク資産の見直し

需要/生産の急激な変化、労働力の確保やビジネスエコシステムの存続という課題によって、メーカーの物理的な生産ネットワークは今後大幅に変わってくる可能性があります。そのため、活用されていない資産の再配備、現在の資産の短期的な柔軟性向上(出荷スタイル、パッケージ量など)への資金投資ならびに対策に向けた意思決定が求められます。また、それらの判断が将来の成長の妨げにならないようにする必要があります。

そのためには次のような行動が考えられます。

  • 需要/生産、従業員、ビジネスエコシステムを分析し、重要な設備、機器、プロセスを明らかにします。
  • 重要でない資産については、使用目的の変更の可能性や規模の調整の必要性を探ります。
  • ネットワークの重要な資産と重要でない資産を分析し、適正な規模を想定します。
  • 有効な資産活用想定のための資金および価値を明確にする。
  • 長期的な柔軟性強化の必要性に対する資産のバランスを図ります。
  • 「生きている」ネットワークモデルを構築し、今後の資産行動やプロセスの改善に活かします。

5. デジタルの活用

製造業における迅速な対応やレジリエンスの構築にはデジタルの活用が不可欠です。需要とポートフォリオの分析や、需要と供給想定分析、労働力とスキルの決定やスケジュール調整、リモートワーク能力、エコシステム内の連携、ネットワーク分析など、デジタル能力はあらゆる場面で求められています。すでにデジタルプラットフォームを導入し、データ集積や高度な分析能力のあるメーカーは、新型コロナウイルス(COVID-19)による深刻な影響に迅速かつ正確に適切な対応ができるはずです。実際に比類ないスピードで工場や生産現場のリモートワークに取り組む動きもあるように、すでに動き出したデジタル化をさらに加速すべき時期に来ています。

現在、特に必要なのは次のような行動です。

  • 生産業務のレジリエンスを構築するための主要能力の評価。事例として、データに基づくアナリティクスとシナリオのシミュレーション/モデル構築、高度なネットワーク分析、モバイル/リモートワークの実現、リモートオペレーションの集約、エコシステムの連携、自動化とロボティクス化などが挙げられます。
  • デジタル戦略の構築、設計、導入。基盤となるオペレーションとともに深刻な影響を受けたオペレーションの柔軟性、信頼性、持続可能性、価値を高めます。
  • デジタルソリューションの配備によるレジリエンスの強化。積極的に小規模な試験を実施し、速やかに規模を拡大してネットワーク全般に配備します。

新型コロナウイルス(COVID-19)と製造業:将来の展望

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは、今後の製造業にも長期的な影響を与えると考えられます。メーカーが強い責任感を持ち、アジリティと対応力を高め、レジリエンスを強化しなければならないのは明らかです。

すべてのメーカーがエンド・ツー・エンドのオペレーションに目を向け、将来の危機的状況にどれだけ自信をもって迅速な対応ができるかを評価する必要があります。そのためには既存のオペレーションを厳しく検証し、どこが、どのように(なぜ)うまく機能しているのかを考え、旧来の働き方を変革し、多くの従業員、ビジネスエコシステムのパートナー、物理的な生産ネットワークの透明性とインテリジェンスを高めなければなりません。ほとんどのメーカーにとって、デジタル化の推進、レジリエンスの強化、アジリティのある組織構築に取り組み、パンデミックによる深刻な影響に対応するために成すべき仕事は、依然として道半ばであるといえます。

現在の難局は、メーカーにとって将来に向けた学習、進化、再構築のチャンスです。直ちに行動しましょう。

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