財務の守り役:未来の経理・財務部門を牽引する
2021/02/09
2021/02/09
全社規模のディスラプションであれ、かつてない成長の実現であれ、CFOに求められる最優先の課題は組織の財務健全性を担保することです。
こうした責務を遂行するために、CFOの多くはテクノロジーに大規模な投資を行っています。しかし、現実には今日のビジネススピードに追随することができず、競合の後塵を拝することを余儀なくされているCFOも存在します。
多くのCFOは依然として、デジタルの強みを100%引き出して価値あるインサイトをスピーディに獲得し、組織としてのケイパビリティの幅を広げるといった課題に応えることができていません。こうしたCFOにとって、基本的なオートメーションをはじめとするテクノロジーの主な用途は、コスト効率の改善やレポーティングの精度向上など、「昨日の課題」の解決にとどまっているケースがほとんどです。
実際、将来的なリスクや機会を見極めるために過去2年間で高度な財務モデリングを活用したことがあると回答したCFOは、43%にとどまります。
クラウドアーキテクチャは、CFOの意思決定スピードを高める新たな機会をもたらします。クラウドを活用することで、シンプルかつ柔軟な環境で高度なコンピューティングを実現し、大規模なデータ処理が可能になります。
しかしながら、クラウドはいまだ十分に活用されていないのが現状です。
23%
新たなインサイトの獲得にクラウドを活用しているCFOの割合。
16%
新たな価値創出源を見いだすためにクラウドを活用しているCFOの割合。
「財務の守り役」という新たな役割を担うことで、CFOは組織の財務健全性を担保し、高度なテクノロジーがもたらす可能性を100%生かせるようになります。データリッチな環境であれば、CFOは組織の末端(エッジ)まで見渡せるようになり、組織のバリューチェーンの中で需要/供給シグナルに最も近い場所で何が起きているかを把握できます。
組織内でこれらの課題に対処できる人材を有し、さらに独自のインサイトを組織内の意思決定チームに提供できる唯一の部門が、経理・財務部門です。
「財務の守り役」というCFOの新たな役割は、「エッジコンピューティング」にも似ています。エッジコンピューティングは、リアルタイムデータを収集する分散化された複数のデバイスの近くでコンピューテーションとストレージを実行するテクノロジーです。
クラウドアーキテクチャはCFOにかつてない新たな可能性をもたらし、より重要なインサイトの獲得と、よりスピーディな意思決定を可能にします。
スピードとアジリティを備えたチームとしての成功を目指すCFOは、もはや従来の経理・財務のスキルの向上をそれほど重視しなくなっています。事実、CFOの75%は自社について、人々の働き方を根本から見直し、文化を再構築して、新たな行動原理とマインドセットを醸成する過渡期にあると考えています。
こらからの経理・財務チームが身につけるべき最も重要なスキルとして挙げられるのは、データ探索、データ分析、シナリオプランニング、ホライズン・スキャニング、イノベーション、そしてストーリーテリングです。
CFOが新たな価値創造を牽引するためには、以下の3つのアクションを起こさなければなりません。
高成長企業では、データを武器に経理部門が事業判断にまで介入する「データ駆動型経営管理モデル」を構築できるよう、CFOがテクノロジー活用を進めていることが判明しました。
日本では、データ駆動型経営を実現している会社とそうでない会社で大きく差がついています。
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