素材・エネルギー本部で実施しているウェビナ―第8回目の開催レポートをお届けします。

市場の定義や社会の構造が根底から問い直されている時代において、今までのロジックや価値観にもとづいた方法ではイノベーションを生み出すことが難しくなってきています。そこで今、新しいビジョンを描く「アート」や、社会における企業の存在価値を言語化した「パーパス」の重要性が高まっています。

今回のウェビナーは今までのものと少し趣向を変え、アクセンチュア インタラクティブに所属する4名のメンバーが「パーパス&アート」についてトークセッションを実施。本レポートではそのダイジェストをお届けします。

アクセンチュア インタラクティブとは

アクセンチュア インタラクティブは、エクスペリエンスを起点にクリエイティブからサービスデザイン、コミュニケーションまで一貫したサービスを提供する組織です。インタラクティブ本部の最高戦略責任者である内永太洋が「今までのアクセンチュアのイメージとは違うはず」と語った通り、従来の「コンサルティングファーム」とは異質のケイパビリティを持った組織であると言えます。

2019年、世界有数のクリエイティブエージェンシーであるDroga5(ドローガ5)を買収したニュースが業界を驚かせたように、アクセンチュア インタラクティブは数々のM&Aや積極的な採用活動を行い、多くのブランドや人材が集結しています。クリエイティブ領域でも既に数々の名だたる賞を受賞しており、世界的に認知を広げつつあります。

アクセンチュア インタラクティブの紹介

なぜ今、「パーパス&アート」が必要なのか

アクセンチュアが定義する「パーパス」とは、正しい社会の実現をめざすための企業の存在目的を指しています。そして「アート」は、「既存の枠組みを破壊して新しいビジョンを生み出す力」と定義されています。かつて「デザイン思考」がビジネスの文脈に持ち込まれましたが、「パーパス&アート」は、さらにその先にあるものとして位置づけられます。

しかし、なぜ「パーパス」と「アート」が必要なのでしょうか。その背景には、市場環境の変化とIoT&ロボティクスの進展があります。デジタルによるビジネスモデルの多様化、GAFAに代表されるグローバルプラットフォーマーによる市場のディスラプションが進み、市場の再定義が求められる中、今までのビジネスプランニングの手法では新しいものを生み出せない時代が到来しています。同時に、従来の経験と論理思考を軸とした方法論はIoTやロボティクスに集約され、人間や社会の領域でのインサイトが差別化の源泉となります。

さらには、社会全体の変化も大きな要因のひとつです。環境問題の深刻化、格差の拡大などに代表される資本主義の危機、民主主義の危機といった社会変化が進み、生活者の価値観も変わってきています。自社の利益のみを追求する姿勢では、社会から取り残され、生活者から「古い企業」と見られてしまいます。新しいビジョンを持ち自らを改革し、生活者に支持されるためにも、「パーパス&アート」の重要性が増しています。

なぜ「パーパス&アート」は必要なのか - ビジネスぷラニング手法の進化について

企業に社会的意義・パーパスを求める生活者

アクセンチュア インタラクティブはFjord(フィヨルド)というデザインスタジオを擁しています。Fjordは2001年にロンドンで創業したデザインファームであり、2013年にアクセンチュア・グループに参画。2019年には東京スタジオがローンチしました。

そのFjordでは世界中のデザイナーがこの1年で企業が抑えておくべきデザイントレンドを1つのレポート「Fjord Trends」としてまとめ、毎年発表しています。昨年発表したFjord Trends 2020のメタトレンドは「原理原則の再考」でした。社会環境問題の広がりや生活者の行動変容を受け、人々から選ばれるブランドになるためには利益追求型のビジネスモデルに変革が求められていることを示唆しました。その流れはCOVID-19により、加速したことは言うまでもありません。

現在の生活者の多くは体験価値(CX)と同じくらいブランドのパーパス(存在価値)を重視しており、社会に対する姿勢やパーパスを明確にするだけでなく、それを体現することを企業に求めています。特に、素材・エネルギー業界は、社会や地球環境への影響力の大きさから、より一層社会への姿勢やパーパスを求められることが想定されます。

なお、今年発表したFjord Trends 2021では、COVID-19の影響によって世界全体で「歴史的転換」を経験し、人々が物事を体験する場所や方法が大きく変わり、従来の方法ではブランドやサービスを認知・利用してもらうことが難しくなっていると述べています。つまり、これまでの顧客像は存在しないことを企業は認識した上で、顧客体験を再構築する必要があるのですが、その活動において、社会に対する姿勢やパーパスを明確にし、それをブランドやサービスに反映させる動きをさらに加速させる必要がある、私たちは考えています。

企業が体現するパーパス(存在価値)が選択の決め手

顧客体験を軸に企業全体を変革する「BX

これまでのように顧客への体験価値「カスタマー エクスペリエンス(CX)」の向上に取り組むだけでは、新たな生活者の支持を得ることは難しくなってきています。単に見た目を改善し、導線を変え、顧客とのタッチポイントを最適化するだけでは本質的な価値を提供することはできません。

これから新しい価値を創出するためには、社会性や地域性、多様性も包括して考える必要があります。そこで軸とすべき考え方は「ビジネス オブ エクスペリエンス(BX」です。これは、生活者の期待を満たす体験を継続的に提供するための企業全体の変革を示しています。

変革テーマの例としては、パーパス型のブランド戦略の立案、プラットフォーム型の新規サービス企画、イノベーション組織の立ち上げとM&A・実行支援、理想的な従業員体験(EX)のデザインと人事制度改革など、多岐にわたります。そのほかにも変革テーマは無数にのぼりますが、共通して言えることは、見栄えのいいクリエイティブを作るだけではなく、刻々と変化する社会やマーケットに対応し、継続的に価値を提供し続けるということです。

「カスタマー エクスペリエンス(CX)」の向上に取り組むだけでは、新たな生活者の支持を得ることは難しくなってきています。これから新しい価値を創出するためには、社会性や地域性、多様性も包括して考える必要があり、軸とすべき考え方は「ビジネス オブ エクスペリエンス(BX)」です。

ウェビナー終盤の質疑応答でも質問がありましたが、「パーパス&アート」の効果は定量的に図れるものばかりではありません。思いもよらない形で価値を生むことも珍しくはなく、中長期的な視野に立ち、変革に取り組むことが必要です。

また、ウェビナー本編では素材・エネルギー業界の企業における「パーパス&アート」への取り組み方や、GAFAとの戦い方なども語られました。ご興味をお持ちの方は、ぜひオンデマンド版もご視聴ください

内永 太洋

インタラクティブ本部 最高戦略責任者 アクセンチュア・ベンチャーズ マネジング・ディレクター


番所 浩平

インタラクティブ本部 マネジング・ディレクター 兼 Fjord Tokyo共同統括 グループ・ビジネス・ディレクター


久田 祐通

インタラクティブ本部 マネジング・ディレクター


柳田 淳一郎

インタラクティブ本部 シニア・マネジャー

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