ここで、海外や異業界の例も参照しながら、COVID-19がもたらした社会変化を見ていきましょう。まず個 人レベルでは、COVID-19によって購買習慣がオンラインに急速に向かい、サブスクリプション型とライブ コマース型のEコマースが台頭。在宅フィットネスやオンライン教育のようなサービスのバーチャル化も 進み、結果としてオフラインよりも個別化されたサービス提供がなされるようになっています。
また、今までにない変化としては健康や衛生意識の変化が挙げられます。かつては自分のバイタルデータを提供することに抵抗があった人も、COVID-19の感染リスクによって相対的に敷居が下がり、オンライン健康相談のようなサービスが拡大しています。
一方、企業レベルでは在宅勤務の標準化が進み、働き方の変革にともなって新しい社内制度や管理手法が生まれてきています。営業手法としてはオンラインセールスのサービスが急拡大しており、アメリカでは見本市などのカンファレンスをオンラインで完結するスタートアップも台頭しています。
製造側においては、日本、アメリカ、フランスなどで供給元の一極依存からの脱却や生産拠点の国内回帰が 進み、分散リスクに備える動きが生まれています。また、生産・物流の自動化も進んでいくでしょう。例と して、中国の浄水装置メーカーでは2013年から推進してきた工場無人化によってCOVID-19の拡大中も正 常稼働を続けることができ、今後は5Gを活用してさらなるスマートファクトリーの高度化をめざしていま す。
行政においても、自動運転や遠隔治療・教育などの規制緩和、行政サービスのオンライン化や無人化、国民 へのID導入といった流れが各国で起こっています。こうした規制緩和を受けて、中国ではテンセントとア リババが地方政府と連携して個人健康管理QRコードをリリースするなど、国民と行政との接点も変わりは じめています。