素材・エネルギー本部で実施しているウェビナ―第1回目の開催レポートをお届けします。

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な拡大により、既存の生活様式は刷新を余儀なくされ、数多くの産業に甚大なインパクトがもたらされています。素材・エネルギー業界においても、それは例外ではありません。

今まで一般的に感染症によるパンデミックは100年に1度発生すると言われていましたが、近年ではその間隔が短くなっており、今後もCOVID-19のようなパンデミックが起こる可能性は考慮しておかなければなりません。しかし人類の歴史を振り返ると、感染症は恐ろしい災厄である一方で、社会構造を変えるきっかけになってきたことも事実です。近年の例を挙げれば、2002年から2003年にかけて中国でSARSが流行しましたが、それを機にアリババをはじめとするEコマースが飛躍的に成長しました。 今回のCOVID-19においても同様であり、様々な面で社会変動が起こりつつあります。こうした中で今後のビジネスに求められる「New Standard(新しい日常)」を創出するには、COVID-19の影響とパラダイムシフトを正しく把握することが肝要です。

COVID-19の影響は一様ではない

COVID-19による世界経済への影響は、リーマンショックなどの過去の危機と比較しても甚大です。日本を含む主要国は経済活動を減速せざるを得ず、民間消費が冷え込んでいます。旅行、娯楽などを中心とした選択的支出は回復までに時間がかかるため、企業は中長期的な視野での対応が求められます。

ただし、すべての産業が一律に影響を被っているわけではありません。例えば、オンライン化が難しい不動産、小売、金融などは継続的かつ大きなダメージを受けていますが、通信のように大きな影響を受けていない業界もあります。また、業界によっては影響が軽微、あるいは影響が大きくても一過性といったように、それぞれに状況は異なります。

COVID-19による業種・業態別の事業インパクト

このようにCOVID-19の影響は業界や企業ごとの差異が大きいという状況を踏まえ、素材・エネル ギー業界においても、自社の事業や顧客にどのような影響があるのか、細かに見ることが肝要だと言えます。

個人・企業・行政における新たな動き

ここで、海外や異業界の例も参照しながら、COVID-19がもたらした社会変化を見ていきましょう。まず個 人レベルでは、COVID-19によって購買習慣がオンラインに急速に向かい、サブスクリプション型とライブ コマース型のEコマースが台頭。在宅フィットネスやオンライン教育のようなサービスのバーチャル化も 進み、結果としてオフラインよりも個別化されたサービス提供がなされるようになっています。

また、今までにない変化としては健康や衛生意識の変化が挙げられます。かつては自分のバイタルデータを提供することに抵抗があった人も、COVID-19の感染リスクによって相対的に敷居が下がり、オンライン健康相談のようなサービスが拡大しています。

一方、企業レベルでは在宅勤務の標準化が進み、働き方の変革にともなって新しい社内制度や管理手法が生まれてきています。営業手法としてはオンラインセールスのサービスが急拡大しており、アメリカでは見本市などのカンファレンスをオンラインで完結するスタートアップも台頭しています。

製造側においては、日本、アメリカ、フランスなどで供給元の一極依存からの脱却や生産拠点の国内回帰が 進み、分散リスクに備える動きが生まれています。また、生産・物流の自動化も進んでいくでしょう。例と して、中国の浄水装置メーカーでは2013年から推進してきた工場無人化によってCOVID-19の拡大中も正 常稼働を続けることができ、今後は5Gを活用してさらなるスマートファクトリーの高度化をめざしていま す。

行政においても、自動運転や遠隔治療・教育などの規制緩和、行政サービスのオンライン化や無人化、国民 へのID導入といった流れが各国で起こっています。こうした規制緩和を受けて、中国ではテンセントとア リババが地方政府と連携して個人健康管理QRコードをリリースするなど、国民と行政との接点も変わりは じめています。

予測できない未来に備えるには

ピーター・F・ドラッカーは著書『創造する経営者』の中で、「未来は分からない」、「予測は無駄であ り、既に発生したことの未来における影響を見通すべき」といった言葉を語っています。

こうした「不確実な未来」に対処するには、既に起きたことに対する「頑強性(Robustness)」と、予測 できない未来に対応する「半脆弱性(Antifragile)」を高めることが重要です。

「頑強性(Robustness)」の獲得のためには、移動コストの極大化や強制的なデジタル化といった、COVID-19によって顕在化した予兆をしっかりと捉えた戦略を策定することです。

COVID19で顕在化した予兆例

そして、「半脆弱性(Antifragile)」については、予測不可能な変化に対してアジャイルに対応できるよ う、企業の体制を変えなければなりません。情報、組織・人材、業務、システムといった四位一体での大規 模な変革が必要になるでしょう。

素材・エネルギー業界のNew Standardとは?

COVID-19は多くの産業にダメージを与えましたが、デジタル化の加速や個人の意識の変化、行政の規制の 緩和などによって、新しいビジネスやサービスを生み出すパラダイムシフトも同時に創出しています。今回 のウェビナーでは、これらの内容に併せて実際の事例も紹介しています。

そして上記を踏まえた上で、素材・エネルギー業界における具体的な影響や「New Standard」のあ り方について、アクセンチュアで素材・エネルギー業界を担当し、各業界に精通した3名の専門家 が様々な事例を交えながら、ウェビナーではより踏み込んだ内容を解説しています。素材・エネルギ ー業界向けウェビナーはオンデマンド視聴が可能ですので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

 

中村 健太郎

ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ インダストリーコンサルティング日本統括 マネジング・ディレクター


中川 和彦

ビジネスコンサルティング本部 化学・素材 プラクティス日本統括 兼 石油・エネルギー プラクティス日本統括


中島 崇文

ビジネスコンサルティング本部 化学・素材産業担当 マネジング・ディレクター


田中 佑允

ビジネスコンサルティング本部 ストラテジー担当 マネジング・ディレクター

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