調査レポート

概要

概要

  • アクセンチュアの「Capital Markets Vision 2025」では、キャピタルマーケット業界が未曾有の事態に直面した1年間で得た収益を、未来に向けた戦略にどのように投資していけばよいか、2025年までのアクションプランを示しています。
  • セルサイドのリーダー企業は、デジタルを活用した経営モデルを構築し、コストを抑えながら、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)とエンプロイーエクスペリエンス(従業員体験)を強化するでしょう。
  • バイサイドのリーダー企業は、テクノロジー駆動型でデータ活用を進めることで、クライアントを中心に据えた価値を提供するでしょう。
  • マーケットインフラのリーダー企業は、データの収益化やクラウド、デジタルアセット、人工知能(AI)などを活用したデジタルトランスフォーメーションに適応するでしょう。


短期的な収益性から長期的な価値へ

数年にわたり低成長が続いていた世界のキャピタルマーケット業界にとって、2020年はつかの間の安息の年となりました。セルサイドと取引所セクターが市場のボラティリティを原動力に過去最高水準の収益を達成し、バイサイドの運用資産も順調に成長しました。またキャピタルマーケット業界の多くのプレーヤーで短期的な収益性が向上しました。

未来のビジョン

キャピタルマーケットのリーダー企業にとって、今こそ、昨年の出来事によって引き起こされた短期的なリバウンドを、より持続的な未来のビジネスに変えるチャンスです。それを実現するには、画期的なテクノロジー、新しいビジネス、人材戦略に投資する必要があります。

この業界は、数年にわたり、テクノロジーを活用したイノベーションと新たなデジタルバリューチェーンの構築という重大な課題に直面してきました。パンデミックによって変化の余地が拡大した今、キャピタルマーケットのリーダー企業は新しいビジネス手法を取り入れることに前向きになっています。

しかし、大きな疑問が残っています。2025年のキャピタルマーケット業界はどのように変わっているのでしょうか。そして、そこから逆算し、企業は何に備え、何に投資するべきなのでしょうか。

2020年のキャピタルマーケット業界のセクター別収益内訳

Graph: Breakdown of capital markets industry revenues by sector, 2020

Source: Company Financial Statements, Accenture Research

セルサイド:投資銀行

投資銀行における人とテクノロジーへの投資: 2025年には、人とテクノロジーが会社の重要な資産であることを認識し、それらに投資した投資銀行が、業界をけん引します。

2025年に価値を生み出し、成功を収める投資銀行は、グローバルプレーヤーかニッチなスペシャリストです。

グローバルプレーヤーとニッチなスペシャリストのどちらの企業にも、市場で価値を生み出す余地があります。企業規模やターゲット市場を問わず、成功を収めるすべての企業の共通点は、俊敏性に優れ、選択した戦略に明確に注力することです。それを実行するには、デジタルを活用した経営モデルによって、コストを低く抑えながら、顧客体験と従業員体験を強化する必要があります。

2025年までに真に競争力のある企業になるか、その後を追う企業になるか、その命運を分けるのは、人とテクノロジーです。投資銀行が成功を収めるための短中期的な取り組みについては、アクセンチュアのレポート「Capital Markets Vision 2025」の全文をご覧ください。

バイサイド:アセットマネジメント/ウェルスマネジメント/プライベート・マーケット

デジタルの導入および活用を進めることで、2025年までに、今以上に顧客を中心に据えた企業に成長を遂げることができます。

アセットマネジメント

データとアナリティクスを活用することで、コストの抑制と高い業務効率を実現しながら、イールドとアルファの追求で優位に立つことができるでしょう。

ウェルスマネジメント

機敏で柔軟なエンドツーエンドのデジタルモデルを構築することで、シンプルでコスト効率の良い中核的な経営モデルと優れた顧客体験を実現することができるでしょう。

プライベート・マーケット

投資プロセスを強化、促進することで、自社、ポートフォリオ、持株会社のコストを削減することができるでしょう。

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アセットマネジメントにおける新たな戦略の策定: 2025年までに、アセットマネジメントのプレーヤーはAI、データ、アナリティクスを中心とした新しいデジタル戦略を推進する必要があります。商品のみならず価値提供の能力を重視し、コスト削減を進めながらクライアント体験の向上に取り組み、データ戦略をしっかりと見極めることで、未来に向けた準備を整えることができます。

ウェルスマネジメントにおける顧客中心のビジネス変革: 今後成功を収めるために、テクノロジーとデータを活用し、顧客を中心に据えた価値提案を行う新しいビジネスモデルを導入する必要があります。そのためには、収益性の向上、顧客とアドバイザーの体験の強化、経営モデル全体のデジタル化を同時に実行できる新しい方法を模索しなければなりません。つまり、高度なパーソナライゼーション、商品とサービスの多様化、(デジタルと人によるアドバイスを組み合わせた)ハイブリッド・アドバイス、ディストリビューションの改革、エンドツーエンド(E2E)の業務のデジタル化に注力することが求められます。

プライベート・マーケットにおけるデジタル活用: ますます多くのプライベート・マーケットのプレーヤーが、プラットフォームベースの視点を取り入れ、投資ライフサイクル全体を見渡す術を構築・提供できるようになるでしょう。そうした企業になるには、デジタル経営モデルにより、リアルタイムデータを活用し、社内の専門知識を駆使して高い経営効率を維持し、投資機会を最大限に生かす戦略を実行する必要があります。

マーケットインフラ:取引所およびアセットサービシング

取引所における完全自動化とデジタル化: 大きな成功を収めるためには、ブロックチェーン技術を利用したトークン化によって取引を完全に自動化し、高コストのメッセージングとリコンサイルを業界から排除する必要があります。一部の取引所はまもなくデジタル取引所のサービスを開始することを発表しており、これにより現在の取引市場が一変する可能性があります。

ビジネスモデルを変化させ、デジタルトランスフォーメーションに適応し、クライアントとの距離を縮めることのできた取引所が2025年に成功を収めているでしょう。

そのような取引所は、データの収益化、環境保全に連動した証券商品、デジタルアセットなどにサービスを拡大します。そして、成功を収めているマーケットインフラのプレーヤーと同様に、クラウド、AI、アドバンスドアナリティクスを最大限に活用し、コストの削減と新たな収益機会の創出を同時に実現します。

アセットサービシングにおけるデジタルアセット・カストディ: 今後、アセットサービシングのプレーヤーは、現在重点を置いているクリアリングやセトルメントといったポストトレードのサービスから、デジタルアセット・カストディに移行するかもしれません。投資家からの需要が高まるにつれ、デジタルアセットの保護とそれに関わる検証可能な認証フレームワークの構築がますます重要になります。

キャピタルマーケットの未来を創る

今、ビジネス戦略とテクノロジー戦略は1つになりつつあります。キャピタルマーケット企業の成功は、この2つをどのように組み合わせ、統合するかにかかっています。今こそ、「クラウド・ファースト」企業への変革や、適切なスキルを持った適切な人材の確保など、適切な一手を打つときです。成功を収めるために実行できるアクションの詳細については、アクセンチュアのレポートをご覧ください。

アクセンチュアは、未来に備える企業をいつでも支援します。

著者について

Matt Long

Managing Director – Capital Markets, Europe Lead


Laurie McGraw

Managing Director – Capital Markets, North America Lead


Nicole Bodack

Managing Director – Capital Markets, Growth Markets Lead


武藤 惣一郎

ビジネス コンサルティング本部 コンサルティンググループ キャピタルマーケット プラクティス アジア太平洋・アフリカ・ラテンアメリカ・中東地区統括 兼 日本統括 マネジング・ディレクター


Nicholas Tilson

Managing Director – Capital Markets


Schira Lillis

Principal Director, Lead – Global Financial Services Research

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フルレポート(英語)

所要時間:約20分

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エグゼクティブ・サマリー(日本語)

所要時間:約8分

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