調査レポート

概略

概略

  • ディーラーを通じた販売モデルは、顧客の嗜好の変化はもとより、新たなプレーヤーの市場参入によって崩壊しつつあります。
  • ディーラー自身も、既存のビジネスモデルが崩壊しつつあることに気づきながら、この先の変化に対する備えが十分にできていないケースが多く見られます。
  • ディーラーによっては、自社の利ざやと顧客への直接的なアクセスを犠牲にしてでも、サードパーティを利用する例もあります。また、自動車メーカーの支援を得ながら販売モデルの見直しを共同で進める例も見られます。


従来の自動車メーカーは、豊富な製品知識と地元市場での経験を生かして販売活動を展開するグローバルなディーラー網を有しています。しかし、こうした物理的かつ大規模なディーラー網は、果たして今でも競争優位性を維持できているのでしょうか?たとえば、米テスラはオンライン販売に加え、都市を厳選して小規模なショールームを設置・活用することにより、販売額を毎年更新しています。その一方で、依然として従来の販売モデルに固執する伝統的な自動車メーカーとディーラーを尻目に、現代の顧客はすっかり様変わりしています。NetflixやAmazonに慣れ親しんだ彼らは、煩わしい手続きを必要としないシームレスなデジタル販売体験を求めています。

未来のディーラーにとって、販売モデルの変革は必須課題

エンドカスタマーの実際の「ウォンツ」と「ニーズ」をディーラーの認識と比較してみたところ、ディーラーは既存の販売プロセスに欠陥があることをおおむね理解していることが分かりました。しかし、欠陥があるというだけの理由で、果たして実際の販売プロセスを見直すことができるでしょうか?答えは「ノー」です。残念ながら、多くのディーラーは欠陥に気づいていながらも、それに適切に対応するための準備ができていないのが実情です。

5社に1

自社のウェブサイトを持っていないディーラーの割合

4社に3

オンラインストアを持っていないディーラーの割合

5社に3

デジタル化への投資計画がないディーラーの割合

市場では革新的な販売モデルを導入する新たなプレーヤーが誕生し、ディーラーは早急な対応を迫られています。ディーラーはこれまで常に顧客のそばで活動してきましたが、卓越したオンラインプレゼンスとオムニチャネルのシームレスな販売プロセスがないままでは、顧客との接点をまたたく間に失い、売上も急降下するでしょう。

ディーラーは未来を厳しいものと受け止めている

ディーラーの半数以上は、ディーラー網の規模は今後5~10年の間に著しく縮小するだろうと考えています。調査からは、ディーラーが特に懸念している5つの側面が明らかになりました。

ブランド間の競争

新たなプレーヤーが市場に参入し、サードパーティプラットフォームによって価格の透明性が高まることで、競争が著しく激化する。

同一ブランドのディーラー間での競争

ディーラー間の競争によって利ざやが1~3%縮小する。また、顧客ロイヤルティの低下を背景に競争も激化する。

新たなモビリティサービス

カーシェアリングやサブスクリプションモデルといった新たなサービスの誕生により、業界全体が変化を余儀なくされている。

自動車メーカーからエンドユーザーへの直販

ディーラーの既存ビジネスモデルの大部分が廃れる恐れがある。

電気自動車

ディーラーのサービス/アフターサービスからの収益は20~30%縮小する。

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ディーラーとメーカーの多くは、適切なオンラインプレゼンスを確立できていません。そのため、現時点においては外部からの支援を求めざるを得ない状況となっています。ディーラーが自社にないデジタルケイパビリティをサードパーティ(英カーワウなど)から提供してもらい、自動車販売を行うケースはすでに全体の3分の1にも上っていますが、こうしたアプローチはリスクを伴います。たとえば、ディーラーはもともと低い利ざやをプラットフォームによって奪われるだけでなく、「顧客へのアクセス」というディーラーにとって最も重要な「資産」でさえも、プラットフォームに奪われることになります。従って、サードパーティプラットフォームとの協働は危険な選択肢であると思われます。

自動車メーカーによるイニシアチブ

こうした状況をメーカーもただ手をこまねいて見ているわけではありません。メーカーは、すでに販売網に対するコントロールを取り戻すべく行動を起こしています。たとえば、多くのメーカーが車種や地域を限定して、直販イニシアチブを試験的に導入しています。直販モデルにおけるディーラーの役割は、メーカーに代わって販売を行う代理店に近いものとなり、1台売るごとに手数料を受け取る形になります。

当然ながら、ディーラーはこのイニシアチブに対して複雑な思いを抱いています。ディーラーの主な懸念としては、売上減、セールスマンとしてのモチベーションの低下、最終的には直販に取って代わられることなどが挙げられます。ただし、多くのディーラーは今後の課題を踏まえてポジティブな側面にも目を向けているようです。直販であれば、コスト削減や財務上のリスクの低下、また国単位で自動車が在庫確保されることによる納入面でのメリットや、ブランド間の競争の低下といったプラスの効果が期待できます。

ディーラーはサードパーティプロバイダーと連携してオンライン販売を増やす、あるいは自動車メーカーの直販イニシアチブをサポートするか、いずれかを選択する必要があります。

ディーラーは自力で必要な変革を実現していくためのリソースが十分にないために、岐路に立たされています。サードパーティプラットフォームと協働することで顧客との直接のアクセスを犠牲にし、デジタルコンピタンスを確立するか。あるいは自動車メーカーの直販イニシアチブに参加することで、財務上のリスクとブランド間競争の大幅な緩和というメリットを手に入れるか、いずれかの選択を迫られています。

貴社は、どちらの道を選びますか?

Axel Schmidt

Senior Managing Director, Lead – Global Automotive


​Johannes Trenka

Managing Director – Accenture Strategy, Customer Insights & Growth Strategy

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