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New ITがもたらすもの
破壊を機会に
~イノベーション創出に求められるもの~

2045年に何が起こるか? 人類が迎える“転換点”

近未来に起こると予想されている最も大きな破壊的変化は何でしょうか。私はAIの能力が人間を超える「技術的特異点」(テクノロジカル・シンギュラリティ)ではないかと考えています。

人類は過去に大きな転換点をいくつか経験しています。農耕の開始は富の蓄積を可能にして文明を生みました。産業革命による資本主義の台頭は都市への人口集中を起こし、現代社会につながっています。シンギュラリティは、これら人類が経験してきた大きな変化を超えた、転換点となり得ます。

ではシンギュラリティを目前にした我々は何をすべきなのでしょうか。2045年は少々先ですので、その少し手前を考えますと、2030年頃に自ら学習し、自律的な判断、行動ができるスマートマシンが普及してくるでしょう。

加えて「VUCAの波」が押し寄せている今日、我々はそうした変化にどう対処すべきなのか。そのヒントはNew ITにあります。人間並みの能力を持つ機械が普及する中、人間は何をするべきなのかを考えてみましょう。

日本は再び羽ばたけるか――AI活用による成長率は世界最高

アクセンチュア株式会社
デジタル コンサルティング本部
マネジング・ディレクター
アクセンチュア・デジタル・ハブ所長
保科 学世

日本は少子高齢化によって労働人口が減少しており、2030年には労働力が約1000万人分不足すると予想されています。女性の就業環境改善や外国人労働者の活用、若者の就業ミスマッチ解消などの取組みが進んでいますが、これらだけでは労働力不足を補えません。

日本はロボティクスやAIを取り入れる必要性に迫られています。しかし不足する1000万人分を単純に機械で埋め合わせようとするのではなく、「人間がやるべき仕事は人間が行うとして、機械は何を補うのか?」を考えなければなりません。機械やAIの得意な業務を具体的に考えてみましょう。

まず、決められた作業をルール通り実施するような作業は、今ブームとなりつつあるロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)で真っ先に自動化されるでしょう。そしてその次に来るのが、専門的な仕事ではあるものの、膨大なデータ、知識といったものに裏打ちされているような仕事。勘と経験が必要と言われる専門職は、実は本人が意識していなくても、統計的なデータによってそのスキルを代替できることが多かったりします。ビッグデータ分析のような大量データ解析やパターン検知などはAIが得意とするところですし、偏見や先入観、感情などを排除できるのも、AIの優れているところです。スピードや安定性がでは機械には敵わないのは言わずもがなでしょう。

一方、人間でなければできない仕事とは何でしょうか。モノゴトの価値判断、社会適合性の判定といった絶対的な正解が無いものについては人間が判断しなくてはいけないでしょう。また、弁護士、弁理士、会計士、税理士が実施しているような、法律等ルールに基づいた仕事が仮にAIに置き換わったとしても、ルール(法律)自体は人間が決めないといけないでしょう。他者への共感も重要な要素です。人間は、人から好かれたい、感謝されたい、共感を得たいといった本能を持っています。人間によるコミュニケーションそのものに価値が存在しているのなら、そこに人間としての仕事は残るでしょう。私自身、福祉現場にデジタル技術を導入する仕事もしていますが、いくらデジタル化、機械化しても、お年寄りに寄り添う気持ちは、最後まで残さないといけないと感じています。

では、AIを有効活用すると、どれほどの経済効果が見込めるのでしょうか。今後の日本経済は世界の先進国の中では最低レベルの成長率になると予測されています。しかしAIを最大限活用できれば、日本はアメリカの従来予測を超える規模の成長率が得られると期待されています。主要国の中でAIを利用することによる伸び率が最も高いのは日本であり、もはやAIの活用は日本の死活問題として避けられないといえます。(詳細はこちら

インテリジェント・オートメーションの進化

アクセンチュアでは様々なサービスを展開していますが、過去数年で2万人分以上の仕事量を機械に置き換えることに成功してきました。こうした機械による自動化、すなわち「インテリジェント・オートメーション」の進化には4つのステップがあると私は考えます。

①作業の自動化

②一連のプロセスの自動化(RPA)

③分析業務の自動化

④人間の認知機能をも代替する高度な自動化

①はExcelマクロやバッチ処理などで、これは既に多くの企業で活用していることでしょう。②は現在爆発的に普及しているロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)による取組みです。③はビッグデータ分析のような、大量データ解析やパターン検知を取り入れた自動化で、言わばこれまで高度な専門知識を持った人が行っていた作業の自動化です。我々も需要予測やそれに基づく自動発注を行うような仕組みを自動化し、サービスとして提供しています。

④は人間の認知機能を代替したり、人間とインタラクティブなやり取りをしながらニーズを引き出したり、課題解決を行うような領域で、アクセンチュア社内でも業務を支援する 「AIアドバイザー」を導入しています。

この領域では特に、お客様への「サービスデスク・バーチャルアシスタント」が現実のビジネスで有効だと実証されつつあります。現時点では、AIか人間、どちらか一方だけでカスタマーサポートが完結するよりも、AIと人間の組み合わせによって対応した場合に最も顧客満足度が高くなることが、我々の調査でもわかってきています。

AIを活用してイノベーションを創出するには? 陥りがちな誤解と要諦

AIを活用してサービスを作るには、どのようなポイントがあるのでしょうか。私が考えているポイントは3つあります。

① AIは万能ではない

現在のAI関連技術はまだ、特定目的向けの技術であり、画像認識や音声認識といった技術を選択し、組み合わせて利用するものです。したがってAIの導入においては、様々な技術を組み合わせ、全体としての振る舞いが目的に沿ったものになるように、組み上げていく必要があります。

② AI構築は適切なパートナーを見つけることが肝要

AIに関する技術の変化は激しく、市場には様々なプレイヤーが参入しています。そのため、高い技術を有するパートナーを見つけ、自社の強みを活かす形でその技術を導入することが肝要です。

アクセンチュアも常に先端技術に触れるべくAI領域に関わる200社近くをウォッチし、月次でAI技術を評価するレポートを作成しており、その中で、実際のプロジェクトへの応用や成果の共有を行っています。

③ AIは優れた技術/アルゴリズムだけでは完成しない

優れたアルゴリズムがあればAIに関する課題は解決するという誤解もありますが、特に、近年のAIブームを牽引している機械学習のアルゴリズムでは、良質なデータを取り込み学習させることが不可欠です。つまり、優れたアルゴリズムを持つことも大切ですが、良質なデータを保有することが企業としての価値となります。

日本に求められているもの

日本がAIを活用せざるを得ない状態にあることは冒頭にお話しした通りです。考え方を変えるなら、日本はAIを試せる良いフィールドであるともいえます。日本はサービス産業の品質が非常に高いので、特にサービス領域においては優れた学習データが豊富に存在します。

またAIはあくまで“頭脳”であるため、“手足”が必要となる場面が増えるでしょう。日本には高い技術力を持つ製造業企業が数多く存在しますので、互いの持てる技術を組み合わせ、日本でしか作れないAIサービスを構築することが期待されています。

このように、日本はアメリカに追従するだけでなく、“破壊を機会として捉え”ながら、独自の優位性とNew ITを組み合わせ、イノベーションを創出していくべきなのだと言えるでしょう。


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