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エンタープライズビジネスにおけるAI活用の要は「調教」と「目利き」

エンタープライズビジネスにおけるAIの活用 ~EinsteinとFullforceを活用したトランスフォーメーションとは~

マルチスピードITと、あるべきアーキテクチャ

企業のトランスフォーメーションを実現するための手段としてAIへの期待が高まっています。特に人の意思決定や判断を支援する「デジタルアシスタント」の活用が他社と差別化する要因となるでしょう。デジタルアシスタントの実現に最適なセールスフォース・ドットコムの最新AI「Einstein」など、“ライトなAI”をいかにして活用するか、そのポイントである「調教(トレーニング)」や「目利き力」などのほか、「日本企業が陥りがちな失敗と、それを回避するAccenture Fullforceソリューション」まで、昨今のAIトレンドを幅広く解説します。


   テクノロジーコンサルティング本部
クラウドファーストアプリケーションズ
アジア・パシフィック統括
マネジングディレクター
篠原 淳


近年のエンタープライズビジネスにおける大きな関心事のひとつとして「AIの活用」が挙げられます。企業がAIを本格的に活用するには、どのような取組みが必要となるのでしょうか。そのキーワードは「マルチスピードIT」です。

IT組織はERPやホストコンピューター、レガシー環境など既存のIT(SlowなIT)を維持しながら、スピードへの要求に応える迅速・軽量・安価なアーキテクチャを持つIT(FastなIT)を利用し、ビジネスのニーズを満たさなければなりません。それは考え方や基準、開発手法、アプローチなどのまったく異なる2つの世界を両立させる必要があります。

IT投資の約70%が既存システムの保守運用に使われる一方、新規の戦略的システムへの投資は30%程度であるという統計があります。マルチスピードITはこれらをどのように再配分するのか、いかにして過去のテクノロジーを維持しながらモダナイゼーションするのかといった、これからのITを考えるうえでの重要なコンセプトです。

マルチスピードITを実現するために必要な次世代のアーキテクチャは3層構造となっています。

最下層は「コアIT」である基幹系システムを中心とし、クラウドによる軽量なインフラやデータ活用の基盤となるデータレイクを揃えます。表面層はSalesforceに代表されるライトなアプリケーションやマルチデバイス環境、アジャイルで効果を創出するためのアーキテクチャで構成されます。中間層はしっかりとデータ連携するためのAPIやインターフェースとなります。

AIはこの図式において、インフラ層・プロセッシング層・デジタルアシスタントが垂直に並ぶ形に位置づけられます。ユーザーとのコミュニケーションによって意思決定を支援するAIは「デジタルアシスタント」と表現されており、セールスフォース・ドットコムが発表した最新AI、「Einstein(アインシュタイン)」などの“ライトなAI”がこの実現に貢献します。

AIを活用するには「目利き力」「調教能力」
「現行システムとの接続」が必要

AIというと、ビジネスパーソンの多くは人間の質問に何でも回答できるような重厚長大なAIを想像しがちです。しかし、それらの“ホストコンピューター的AI”は、高度な専門知識とケイパビリティをもった“AI調教師(トレーナー)”の管理のもと、莫大な時間や投資によるラーニングを経なければ有効なアウトプットを生みません。

一方、近年のグローバルマーケットでは、ライトなAIの検討・導入が活発化しています。これらのライトなAIは「ブティックAI(専門店AI)」と呼ばれ、BtoCに特化したAIや、社内データを取り込んで活用を促すようなAI、画像の解析や処理に強いAI、人材マッチングなど人に関することに専門性をもつAI、特定業界に特化したAIなど多様化しています。これらのAIの多くはスタートアップ企業が手掛けていますが、今後は買収により、既存のSaaSベンダーに取り込まれていくでしょう。

重厚長大なAIとブティックAIには、それぞれ得意・不得意があり、目的に応じた使いわけが必要です。企業のIT部門やビジネス部門は、「AIを使って何をしたいのか、どのような方法でAIを使いたいのか」と、目的に対して適切なAIを選ぶ“目利き力”が重要となります。

IT部門の担当者はAI活用の本格化を前に、自社の目的に最適なAIを選別できる「AI目利き力」のほか、「AIを育成・調教する能力」、「現行システムとつなぐ能力」を兼ね備えることが必要です。そうした能力を獲得し、ブティックAIの価値を引き出すための準備とはなんでしょうか。それは「鮮度・量・精度の適切なデータの準備」、「モデリングの重要さへの理解」、「AIがビジネスに与える価値の理解」などが挙げられます。

4段階あるAI・ロボティクス活用の潮流

先述の通り、日本のマーケットでは高度なAIへの注目度が高い一方、グローバルの先進企業ではライトなAIのほか、簡易な判断を伴うRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入が活発です。AI・ロボティクスの実用化は下図のような4段階で成されます。

①ミニボッツ Excelマクロや簡易な自動化ツールによる作業の効率化。
②RPA 条件判断を行いながらデータの収集・加工・自動入力等を行う。
③デジタルアシスタント 人とのコミュニケーションや、作業者へのアドバイスが可能な業務支援のAI。
④AI/コグニティブ・コンピューティング 自然言語を理解する大規模なAIで、「デジタルバトラー(執事)」として高度な支援を実現する。

先進企業ではマニュアル操作を必要とした業務の自動化が盛んです。下図の①と②はルールベース、③と④は自己学習による成長が可能な仕組みをもっており、前者はプロセス改善による業務効率化のメリットがある一方、後者は企業に大きな価値をもたらすトランスフォーメーションを実現します。

セールスフォース・ドットコムの「Einstein」は、③の「デジタル補助」の実現に貢献し、業務担当者に「次に何をすべきか(Next Best Action)」の示唆や、情報の提供、判断の支援をデジタル的に提供します。

AIを構成する要素技術

ここまで、「重厚長大なAI」と、「ライトなAI」を区別しましたが、AIは複合的な関連技術の統合であり、AI活用領域を識別するには、これらの技術への理解が不可欠です。AIはマシンラーニングなどのファンクショナリティに下支えされて、情報の知覚と理解を経て行動に移る構成となっています。

  • 知覚(Sense)
    コンピュータービジョンによる画像・映像認識や音声認識、各種のセンサーといったコンピューターの目・耳などを使って情報を知覚します。

  • 理解(Comprehend)
    自然言語解析やナレッジを用いて知覚された情報の解釈を行います。文書や文献、医療情報、特許情報などのナレッジが利用されます。

  • 実行(Act)
    インターフェースとして推論エンジンや、ルールベースのエンジンといったものを使い、判断結果を実行へと移します。

    とはいえ、AIそのものはただの“仕組み”に過ぎません。AIを活用するにはいかにしてAIを調教(トレーニング)するかが必要となります。

4つの活動モデルでAIの適合領域を考える

エンタープライズビジネスにおけるAIの適合領域は何でしょうか。現状のAIの活用範囲を見極めるための方向性として、4つの活動モデルが考えられます。

そのモデルには「自動化(Automation)」と「増強(Augmentation)」の2つの方向性があり、「データ/情報の複雑性」と「仕事の複雑性」の2軸で整理できます。

  • 自動化
    ルーティン業務は自動化によって生産性向上、パフォーマンス改善が可能。
    ルールベースで処理可能な業務は自動化の対象。

  • 増強
    非定型業務、非構造データを扱い、人の判断が介在する余地の大きい業務に対しては、作業者への支援を行い、組織の業務能力の増強を狙います。

  • 効率性モデル
    ルールベースで処理でき、構造的で少量のデータを取扱う業務は自動化によって劇的な効率化が可能になります。RPAに最も適している領域。

  • 有効性モデル
    非構造の大量データを扱う領域では、AIが作業者とコミュニケーション可能なパーソナルアシスタントとして機能。成果を創出する能力を向上させます。

  • エキスパートモデル
    医師、弁護士、財務アドバイザーなど専門知識や経験に基づく活動をAIが支援。高度な分析やアドバイスによって人の意思決定をサポートします。スキルやノウハウの蓄積・継承にも貢献します。

  • イノベーションモデル
    生物学者、デザイナー、シェフ、音楽家、起業家など創造性やアイデアに基づいて仕事を行う職種への支援。AIは代替案の発見や最適化、意思決定をサポートします。ビジネスにおいては人の気づかなかった新たな顧客セグメントの発見などを行えるでしょう。

この4つの象限を具体的なビジネスに当てはめてみましょう。適合ケースとしてヘルスケア業界と金融(銀行)業界を想定しています。

エンタープライズがAIの効果を発揮する秘訣

セールスフォース・ドットコムのアプリケーションは多種多様ですが、Salesforce Einsteinが中間のレイヤーに入り、Platform全体の共通機能としてデジタルアシスタントの効果「Next Best Action」を効率的に提供できるような構成をしている点がセールスフォース・ドットコムのAIの特徴です。

AIを通じてNext Best Actionが提示されるという使い方が、ユーザー企業にとっては効果的なセールスフォース・ドットコムのAIの活用法だと言えます。業界ごとに異なるデータ活用のノウハウを熟知しているコンサルティングファームであるアクセンチュアが、お客様のAI活用を強化します。アクセンチュアは世界で最も多くセールスフォース・ドットコムの認定エンジニアが在籍している企業であり、お客様のビジネスにおけるAIの適合を手厚く支援します。

AIを組み込んだエンタープライズアーキテクチャは、New ITをしっかりと具備できるアーキテクチャでなければいけません。そうでなければ、こうした潮流に乗り遅れてしまいます。CIOやCTO、IT部門の責任者は、自社が導入できるAIは何かをしっかりと見極めることと、AIを使える人材・組織を育成することが必要です。

量と精度の整備されたデータとAIの調教を担当する人材を揃えて「使い倒す(More Use, More Value)」」ことが、エンタープライズビジネスにおけるAI活用の要となります。アクセンチュアはお客様のエコシステム・パートナーとして、AI活用を含むトランスフォーメーションを実現します。

日本企業が陥りがちな失敗を回避する
Fullforceソリューション

日本企業がセールスフォース・ドットコムの活用とその先に予定されるAIの実装において陥りやすい失敗は大きく2つあります。

  • アドオンとカスタマイズ
    日本企業でもっとも多いのが、セールスフォース・ドットコムの標準機能の活用が不十分なまま、業界や自社の要件に合わせて過度なカスタマイズを重ねてしまうケースです。 セールスフォース・ドットコムが本来もつ機能を十分知らずにカスタマイズしてしまうため、将来的な機能追加やバージョンアップによるメリットを享受できなくなる可能性が高いと言えます。

  • 「やること」ベースのロードマップ
    自社のシステムをどのように高度化していくのか、次世代へのパスを明確に描けていないケースがしばしば見られます。SaaSやSalesforce Einsteinをどのように取り入れて価値を実現していくのか、意義のあるロードマップの作成が欠かせません。しかし日本企業のIT部門が描くロードマップは「何々を導入」「何々をつなぐ」といった、「やることベースのロードマップ」になりがちです。

真に描くべきは「X年の上半期にこの価値を提供」「X年の下半期にはこの価値を提供」「Y年初頭には業界内で先進的な取組みの発表」といったように、顧客に対する価値をベースにした計画・遷移であるべきです。 特に前者の解決に対して、アクセンチュアが提供するAccenture Fullforceソリューションはセールスフォース・ドットコムのケイパビリティを存分に発揮しつつ、業界特有のニーズに応えることが可能となります。

Fullforceソリューションはセールスフォース・ドットコムの標準機能にアペンドする、オーソライズ済みの業界パッケージです。お客様が独自にカスタマイズするよりも効果が高く、迅速に利用可能など、グローバルなハイパフォーマンス企業に追いつき、追い越すための切り札となるソリューションです。

アクセンチュアはそうした計画のプランニングとビジネスソリューションアーキテクチャの構築において、グローバルでお客様をご支援しています。特に次世代システム構築を成功させるガバナンスを共に考え、トランスフォーメーションの実現をお手伝いしていきたいと思います。


お問い合わせは、下記リンク先のフォームよりご連絡ください。



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