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オペレーショナル・エクセレンス実現への道 後編

多極化世界に“対向”する 「グローバ ル・オペレーティングモデル(GOM)」 セミナーの講演記録。素材・化学企業の課題とアウトソーシングという選択について説明します。

~素材・化学企業の課題とアウトソーシングという選択~

多極化世界に“対向”する 「グローバ ル・オペレーティングモデル(GOM)」 セミナー 窪川講演記録

サプライチェーンにおけるオペレーショナル・エクセレンスも大きな課題です。米国大手素材メーカーB社の中国事業のケースについて、アクセンチュア 素材・エネルギー本部 エグゼクティブ・パートナーの窪川和志は次のように説明します。

「B社の中国事業が抱えていた課題は、販売予測プロセスがなかったことです。営業担当者が『売れそうだ』と思えば、それが生産計画に反映されていました。注文を取れなかったときも、当初の計画通りに生産して在庫が積み上がります。そして、在庫を減らすための値引き販売が頻繁に行われていました」

B社はアクセンチュアのサポートを得て、サプライチェーンの改革を進めました。B社は中国事業のトップを入れ替え、BPRに取り組みました。その内容は、日本企業にとっては珍しいことではありません。

例えば、営業担当者の需要予測を集計し、それをもとにグローバルで需給調整を行う。週次や月次などの決められたサイクルで意思決定しながら、オペレーションの改善を図る。ある意味では当たり前のことですが、窪川は「当たり前のオペレーションをグローバルの拠点に根付かせることが重要。それが大きな成果につながります」と話します。

次に、グローバル・ガバナンスの強化に取り組んだ米国化学メーカーC社の事例です。C社のプロジェクトには、3つのポイントがあったと窪川は言います。

「第1に実態に即したデータを収集し、それをコンテクストとひも付ける。拠点によってデータの定義が異なるというケースは少なくありませんが、それでは集計・分析しても意味がありません。定義を統一した上で、C社はそのデータの意味や位置付けを明確にしました」

第2のポイントは、あえて非自動化のプロセスを埋め込むことです。

「例えば、あるローカル市場の成長性などは、現場のつかんだ情報や感覚も重要です。1年後、3年後の需要予測のような数字があったとしても、それだけに基づいて判断するのは危険です。ときには、あえて自動化しないことも重要です」

続いて、窪川が指摘する第3のポイントは分析に注力することです。

「データ洗浄や標準化などについてはアウトソーシングを活用して、C社はできるだけ分析に集中する体制をつくりました。どの業務を外部化するかも重要なポイントです」

事業本社と地域本社の役割分担
グローバルな組織体制づくりに悩む経営者も多いのではないでしょうか。端的に言えば、グローバル本社と事業本社、地域本社の役割分担をどのように切り分けるかという課題です。

「米国の大手電子機器メーカーD社は、事業本社と地域本社というマトリックス組織で運営されています。事業本社は事業ごとの戦略や営業・マーケティング、R&D、SCMなどを担い、日米欧におかれた地域本社は域内マーケティング機能と域内事業シナジーの創出に注力しています。この2系統に加えて、D社はインドに第2グローバル本社を設置しました。そして、ここにグローバルの調達を集約するとともに、注力分野についてのR&D機能、さらに新興国事業全体の責任を持たせました」

こうした組織改編の結果、D社の新興国事業は大きく成長しました。グローバル展開する日本企業の中には、事業本社の海外移転を進める動きもあります。権限と責任をどのように分担すべきかについて、窪川は次のような見方を示します。

「それぞれの事業によって、事業本社の適地は異なります。すべてを東京に集中させるのではなく、適地に事業本社を置くことも含めて、責任と権限のあり方を見直してはどうでしょうか。様々な議論があるでしょうが、その中から役割分担のあるべき姿が見えてくるのだと思います」

アウトソーシングは有力な選択肢

間接部門のオペレーショナル・エクセレンスを 目指す企業にとっては、SSC(シェアード・サー ビスセンター)化が1つの選択肢です。欧州の化 学メーカーE社はアジアパシフィック17カ国の経 理と人事、ITの機能をマレーシアのSSCに集約 しました。

「業務集約と標準化、効率化によるコスト削減は大きな目的の1つでしたが、それ以上にE社が重視したのは共通プラットフォームの構築です。新会社をつくる度に、あるいはM&Aの度に間接部門を設置したり、仕組みをつくり直すのはムダです。共通プラットフォームにより、事業展開のスピードを速めようというのがE社の狙いです」と窪川。SSCを設置する際には、将来を見据えてオペレーションを構築する必要があります。窪川はこう続けます。

「SSCの人材のスキルアップを図りつつ、その人材のキャリアパスを用意することが重要です。外部アウトソーサーの活用も含めて、SSCのあり方を検討する必要があるでしょう」

特に新興国市場では、人材の採用も大きな課題。優秀な人材を集めるには、現地の事情に通じたアウトソーサーに任せるのも一案です。

アクセンチュアは人材採用のアウトソーシング・サービスも行っています。現地のネットワークを持つアウトソーサーのリクルーティング機能を活用することで、ビジネスのスピードを高めることができます」(窪川)

最後に、ITアウトソーシングについて。グローバルビジネスを支えるITのあるべき姿とは、どのようなものでしょうか。

「地域ごとにITの開発や運用を行うのは非効率です。それをグローバルで統合してアウトソーシングする動きが加速しています」と窪川は言います。地域ごとにビジネスが閉じていた時代には、地域単位のITが適していたのかもしれません。

しかし、グローバル化が加速する中で、地域縦割りのITではビジネスニーズへの対応が難しくなっています。スピードや運用コストなどの観点で、ITの課題を感じている企業は多いのではないでしょうか。そんな課題を解決する上で、グローバルでのITアウトソーシングは有力な選択肢です。グローバルで一括してITの開発や運用を受託するケースは、アクセンチュアでも増えています。

以上、グローバルでのオペレーショナル・エクセレンスを実現に向けたアプローチを見てきました。いずれの分野でも、アクセンチュアは様々なソリューションを用意しています。お客様に提案するサービスメニューはますます増えています。

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