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オペレーショナル・エクセレンス実現への道 前編

素材・化学企業を取り巻く環境は、原料の高騰や新興国の成長など大きく変化しています。各社に共通する3つの対応策を踏まえ、解決策となるグローバル・オペレーションの高度化を具体的に解説します。

~素材・化学企業が環境変化へ適応するための3つの対応策とは?~

多極化世界に“対向”する 「グローバ ル・オペレーティングモデル(GOM)」 セミナー 窪川講演記録

素材・化学企業を取り巻くビジネス環境は、大きく変化しつつあります。アクセンチュア 素材・エネルギー本部 エグゼクティブ・パートナーの窪川和志は次の5つの要因を指摘します。

「原材料価格の高騰、プロダクト・ライフサイクルの短期化、各国・地域における環境規制の強化、新興国市場の成長、人材争奪戦の激化。これらの大きな変化に、各社とも対応を迫られています」

これに対応するための戦略は一様ではありませんが、各社に共通する部分もあります。窪川は大きく3つのポイントがあると言います。

環境変化に対する3つの対応策

「第1に財務体質を強化し、投資能力を高める。特に、オペレーションコストの削減は大きな課題です。第2にグローバリゼーション。ここでは海外での原料調達、新興国マーケットへの進出という2つの側面があるでしょう。第3に次世代事業の創出。例えば、環境規制の強化にいち早く対応して、新しい製品分野にチャレンジする。変化はチャンスでもあります」

方針や戦略を明確にした企業にとって、次にカギを握るのは実行力です。

「いかに素早く実行するか、いかに効率的に実行するか、いかにグローバルの広い範囲で実行するか。オペレーションの力が問われています」(窪川)

グローバルでのオペレーショナル・エクセレンスをいかに組織に埋め込むか。先進企業の事例を交えながら考えてみましょう。

現地市場を攻めるマーケティング

まず、マーケティングにおけるオペレーショナル・エクセレンスです。この分野で定評のあるグローバル企業A社は消費財と生産財の両方を扱っています。新興国など新しい市場に進出する際、A社は勝ちパターンを持っていると窪川は言います。

「新市場に入り込むとき、A社はまず教会への消費財の無償配布といったプレマーケティングを行い、徐々にブランドを醸成します。同時に、消費財ビジネスの可能性、生産財に求められる価格帯や機能要件などを検証するのです」

消費財のプレマーケティングからスタートして、着実にビジネスを成長させる。これがA社流のスモールスタートですが、様々な事情から「最初の一歩がなかなか踏み出せない」という企業もあるかもしれません。

また、素材・化学メーカーの場合、日系の川中・川下メーカーへの素材供給は行っていても、ローカルマーケットにはほとんど対応していないというケースも見られます。現地にいかに踏み込むかは大きな課題。窪川は次のように話します。

「ローカルマーケットに参入する際、様々なマーケティング戦略があり得るでしょう。ただ、最初に実行すべきことは同じです。つまり、現地マーケットの可視化です」

現地のバリューチェーンがどのような構造になっているのか、川中・川下メーカーがどのような課題を抱え、どのような素材を求めているのか。こうしたニーズを把握することから、マーケティング戦略はスタートします。このようなマーケット可視化の段階から、アクセンチュアは素材・化学メーカーをサポートしています。

「アクセンチュアの持つ現地企業との関係をフル活用し、時にはお客様の製品サンプルを抱えて、私たちのチームは現地のメーカーを訪問し、現地マーケットの可視化を進めてきました。こうしたプレマーケティングを含めて、アクセンチュアはお客様の戦略策定や現地でのオペレーションを支援しています」と窪川。アクセンチュアによるサポートが、潜在顧客の発掘や商談につながったケースも多くあります。

プライシング・マネジメントの収益へのインパクト

営業オペレーションの高度化も重要な課題です。 その一例として、窪川が挙げるのがプライシング・ マネジメントです。フォーミュラ・プライスを 適用している事業はもちろん対象とはなりませんが、 品種×顧客が多大な事業においては効果の大きい 施策と言えます。

「当社は国内で20以上の事業について、プライ シング・マネジメントの高度化を支援しています。

様々なプロジェクトを通じて分かったことは、プライシング・マネジメントの巧拙により、営業利益ベースで3~14%ポイントの収益の取り逃がしが発生しているということ。プライシング・マネジメントによってそのすべてを収益化できるわけではありませんが、私たちの経験では概ね2~10%ポイントの営業利益率の改善が見られました。同じような改善の機会は、海外マーケットにもあるはずです」

プライシング・マネジメントの高度化余地は、具体的には次のようなところにあります。

  • 原材料スプレッド―原材料の変動分を価格に反映できているか。

  • 過剰な値引き―代理店への過剰な値引きや販売手数料を支払っていないか。

  • 価格のばらつき―同一製品(群)の価格が顧客や販売経路によってばらついていないか。

  • 過剰コスト―顧客に必要以上のコストをかけていないか。例えば、保守品の保管費や現場直送の頻度などは適正か。

以上のような観点に注意しながら、アクセンチュアは取引の実態を可視化することで、プライシング・マネジメントの高度化をサポートしています。

取引実態を可視化すれば、リベートや値引きが経営にどの程度のインパクトを与えているのかが見えてきます。

「マイナスのインパクトが分かれば、現場の人たちはそれを何とかしようとします。そんな日本企業の強みを引き出すためにも、まず可視化に取り組む必要があります」と窪川は強調します。

今回は営業、マーケティングの分野を中心にオペレーショナル・エクセレンスへの道を考えました。後編では、サプライチェーン・マネジメントとグローバル・ガバナンス、組織や人材などについて課題解決へのアプローチを探ります。

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