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「顧客参加型プラットフォーム」から「経済圏」の創出へ

近年注目される顧客参加型プラットフォームの成功の要諦とは、またその発展形としての「経済圏」創出の可能性を考察します。

なぜ顧客参加型プラットフォームが必要なのか

佐々木 尊浩

製造・流通本部
シニア・マネジャー
佐々木 尊浩


野末 佳孝

製造・流通本部
シニア・マネジャー
野末 佳孝

現代の企業にとって、ユーザーのニーズを把握し、個々の消費者に対しいかにパーソナライズされた体験を提供できるかが勝負の鍵となっています。そのため、ユーザー情報の詳細な把握が課題として強く認識され始めています。

一方、ユーザー側に目を向けると、従来のマーケティング手法による、一方的に企業から提供される情報だけでなく、自分と同じような趣味・嗜好・体験を持つユーザーの声を重要視する傾向が強くなっています。*1 特に最近では、スマホ等のデジタルデバイスや、さまざまなWeb/アプリサービスのUI/UXの向上により、ユーザーは生活情報を簡単に記録かつ他者に対して開示しやすい環境が整っていることから、ユーザー間で価値観の共有・共感できる場が広がっています。

ユーザーが参加するプラットフォームは、旧来のものは企業がインセンティブ(共通ポイント等)を提供し参加してもらうものが主でしたが、上述のとおりユーザーの意識変化により、ユーザー同士を結び付ける中心にあるのは、ユーザー自身の趣味・嗜好・体験を軸にするものになってきており、顧客参加型のプラットフォームの必要性が高まってきています。

*1:PGF 生命調べ 「シェアリング・エコノミーと所有に関する意識調査 2016」

顧客参加型プラットフォームの成功の要諦


では顧客が価値観を共有・共感できるような積極的な参加型プラットフォームを成功させるためにはどうすればよいのでしょうか。

1) プラットフォームに明確な価値観を設定する

  • 顧客参加型プラットフォーム形成において、重要なポイントの一つ目は、例えば「食について有意義な情報を共有しあう」というような明確でコアとなる価値観を設定し、共感するユーザーに提示することが重要です。
  • FacebookやInstagramのようなSNSも一つのプラットフォームですが、これらは巨大なプラットフォームであるものの、日常の出来事など近況報告から、友人・知人同士の情報共有の場など使い道の自由度が高く、前述のような明確でコアとなる価値観を目的でユーザーが集まっているプラットフォームではありません。
  • 今後は、日常などの接点が多くまたユーザー数が多い“面を抑えるプラットフォームプレイヤー”と、テーマや用途がはっきりしている、または機能的に生活に溶け込むプラットフォームプレイヤーと二分されていくでしょう。これは単にユーザー数がいる事だけが重要なのではなく、そこに集まるメッセージ性が顧客参加を促す重要な要素となることを意味しています。
  • 見方をかえれば、プラットフォームに集まる顧客が持つ価値観が明らかであればあるほど、企業の立場からすれば、どのような商品・サービス・体験を提供すればよいかがわかりやすくなるわけです。
    • 例えばFun Japan!という日本好きの外国人を対象にしたソーシャルプラットフォームでは、海外の日本への旅への思い、良かった思い出の共有など、一定の目的や、価値観が近いコミュニティを形成しており、このため特定のマーケティングが可能なデータを大量に保有しています。
    • 旅行というテーマであれば、「どこに行く予定か」「なにをしてみたいか」「一緒に行く人は誰か」などです。そういった情報を共有されていることで、旅行ルート上の小売からの提案、関連する体験の提案、同行する家族知人への提案など、企業もユーザーも相互のニーズにマッチしたコミュニケーションが円滑にできるようになります。
  • コアとなる価値観を起点に、共感するユーザーがどんどんと増やし、それらを満たす商品・サービスを提供する企業もどんどん増える、といった正のスパイラルを能動的に起こしていくことが求められています。

2) ユーザーに“心地よさ”を提供する

  • 顧客参加型プラットフォーム形成において、ユーザーが積極的に参加する工夫が二つ目のポイントとなります。インセンティブをきっかけに単に参加させる方法もありますが、自発的なユーザー稼働がみられなければ、情報収集・提供するという役割としては、費用をかけアンケートで情報収集することや情報提供する活動となんら変わりません。
  • ユーザーの心地良さとは何でしょうか。“食”という価値観設定されているプラットフォームとして食べログを例示してみます。単に外食を評価するサイトから、最近は投稿者ごとのページができるなど、食に特化したSNSとして活用されるようになりました。
  • 日記や投稿に対する感謝/共感コメントが交わされる場として、また食事ジャンル(ラーメン、ステーキなど)ごとの統計や、本人の好みの食事や、制覇したいエリアを考えるなど、ユーザーが自ら参加したくなる仕組みがあります。今までの評価の投稿は、日常の記録として頻度が増やせ、また投稿者に対しての互いのコメントが送られてくるような仕組みになっています。
  • ユーザーへの心地よさを与えることができた顧客参加型プラットフォームサービスは、ユーザー自ら積極的にデータ提供することによって、リアルタイムかつ深いニーズを把握することができます。このデータはマーケティング観点でいうと非常に強いデータとなるでしょう

3) エコシステムを拡張させる仕組みを持つ

  • 顧客参加型プラットフォーム形成の三つ目のポイントは、利便性をあげるためサービス提供力をどのように加速させるかです。業界・企業の垣根を超え、ユーザーに利便性の高いサービスを提供しようとした場合はサービスの開発期間も運用体制も利便性の向上も1社で全てをカバーするのは困難です。
  • 例えば、福岡銀行であれば、口座作成からローンなどの借り入れ、クレジットなどの決済の仕組みなど、現行の基本的なサービスをアプリでできるようになっていますが、例えばなんのために貯金しているのか、その目的や状況や、いくらまで貯蓄すればいいのかというデータがあれば、目的が旅であればそのまま予約する連携が。目的が記念日など食事であれば地域のレストランとの連携が。といったように一括した流れでサービス提供ができればユーザーの利便性は飛躍的に向上します。
  • そうした場合、同じ価値観を持った多くのユーザーと、ユーザーニーズを大量に保有したデータベースをオープンにし、そのデータを使ってビジネスをしたい企業を集めることでおのずと利便性の高いコンテンツが増えていくスパイラルを作ることができます。これがエコシステムを拡張させる工夫です。
  • そのためデータアクセスするためのAPIや、ユーザーへの提案するプラットフォームなど用意するものはあるが、それらを準備することでユーザーへのサービス提供力がエコシステム化によって完成に向かいます。


顧客参加型プラットフォーム成功の要諦

プラットフォームから「経済圏」への発展の可能性


  • 同じ価値観を持つユーザーが集まり、またそれらに価値を提供しようとする企業群も集まる。それはつまり「経済圏」として発展していくことを意味しています。
  • 経済圏の発展には2つのパターンがあります。一つは “食”や“旅”、“趣味”などのテーマ軸でコミュニティを形成し、顧客参加型のプラットフォームを用いて全国横断的にビジネス展開することで経済圏として発展していくパターンです。
  • 今までは一つのテーマにおいてユーザーを集める事と、利便性を向上させることが有効な手段でしたが、銀行の例のように口座情報から旅行やレストランと連携するプラットフォームや、旅行の例のように旅行の意見交換から航空や施設と連携するプラットフォーム、他にも携帯料金から電気/水道/ガスなどの固定料金・インフラ情報からその他生活サポートに関わる企業と連携するプラットフォーム、健康情報から美容や食事、医療と連携するプラットフォームと、各社が自社データと多くのサービスを連携するプラットフォームが増えていきます。
  • また、経済発展のもう一つのパターンとしては、地域機軸での経済圏の創出。つまり、特定のエリア・地域で複数のテーマを抱えながら経済圏が創出させることです。
  • 一番わかりやすいのが「地域愛」を共通の価値観とした経済圏の創出です。例えば、北海道の地域共通ポイントカードEZOCAを運営するリージョナルマーケティング社は、北海道世帯普及率25%以上にあたる144万人を会員として保有し、提携先企業は約100社600店舗。これだけ聞くと、単なる共通ポイントカード事業のように思えるが、同社の事業目的は「地域が輝くプラットフォームづくり」としています。*2
  • 道民を対象とした趣味やスポーツ交流を目的としたコミュニティ創出、活動を支援していたり(EZO CLUB)、提携企業が会員と直接に交流できる各種イベントの開催・サポートを行ったり、さらには提携企業同士のコラボレーションのきっかけづくりなども行っており、全てがネットで完結しない近隣店舗、近隣住民との関係性が必要不可欠な我々の生活をこういった地域プラットフォームが支えている事例です。
  • このように、テーマ軸でも地域軸でも顧客参加型のプラットフォームを作り上げ、経済圏として発展させるためには、自社データや1テーマに確執することなく、ユーザー利便性を常に考え続け、エコシステム化に向けたハブ機能をいち早く作り展開していく事が重要だと考えています。

    *2:アクセンチュア調べ サツドラホールディングス株式会社「2017年決算説明会」資料より
プラットフォームから経済圏へ

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