これからのビジネスで成長を目指すには、「より良い製品の提供」戦略から「総合的な体験の提供」戦略への明確なシフトが不可欠で、「良い製品を開発すれば顧客はついてくる」という従来型のアプローチでは、もはや競争優位性を生み出すことはできない、という考え方が日本企業にも浸透しつつあります。そのような中、製造業はIIoT(インダストリアル・インターネット・オブ・シングス)を活用する動きが加速しており、IIoTは2030年までにグローバルで14兆ドル以上の経済成長を生み出すと言われています。*1
ほとんど全ての製造企業がコネクテッドデバイス、データ、プロセスを用いたIIoTにより、「サービスとしての製品(PaaS)」、つまり製品ライフサイクル全体を通じて顧客の期待に応える体験の提供を実現しようとしています。
しかしながら、多くの企業において、この実現に向けた土壌作りが成し遂げられていると実感できていないのではないでしょうか。事実、グローバル企業の70%以上の経営幹部は、IIoTを活用したサービスイノベーションにより、収益性を担保した成長を達成できていないと考えています。*2
では、達成できない要因は何なのでしょうか。3つの要因が考えられます:
- サイロ化され、断片化された組織構造
サイロ化された組織構造は、エンド・ツー・エンドのプロセスが達成できず、新規のサービス・製品間における体系的なシナジー創出を阻害してしまいます。 - 依然、製品中心主義で顧客中心主義ではない発想
特に日本企業はモノづくりの優等生と言われ続けている反面、製品史上主義のサービス・製品開発となっています。そのため、顧客を中心としたサービスを生み出す思考や組織体系になっていないのです。 - インキュベーションとアナリティクスの専門知識/スキルが不足している
未だ旧来のモノづくりのためのスキル人材のままで、今後の価値創造に必要なインキュベーション型の人材や顧客データから示唆を出すアナリティクスのスキルを備えた人材が不足しているため、デジタル時代のサービスを生み出すことを困難にしています。
*2 同上