Skip to main content Skip to Footer

LATEST THINKING


IIOTが加速させるソフトウェアの時代

限界を迎える設計開発の「聖域化」カギを握るのは「設計開発」の「工業化」

「モノ」のインテリジェンス ~ 重要さを増すソフトウェア作り

製造・流通本部
マネジング・ディレクター
相馬 修吾

X.0を味方につける

IIoT(Industrial Internet of Things)が議論される中で、センシング機能としてのモノという側面がクローズアップされています。しかし、最も革新的なことは、モノがセンシングつまりデータを収集する端末になるということ以上に、情報通信によってモノがモノ自身を緻密に制御することにあります。

例えば、ドイツが提唱している「インダストリー4.0」においては、部材とFA機器との交信から、より動的に製造工程や作業工程を変更できることが大きな付加価値となります。これはモノがインテリジェンスを持つということに他なりません。このような次元のモノづくりでは、インテリジェンスのソースであるソフトウェアに付加価値の比重が移ることは明らかです。これからはソフトウェアを組み込むことを前提としたモノづくりにシフトしていかざるを得ないでしょう。

日本の製造業では伝統的に「メカ設計が回路設計」より、「回路設計がソフトウェア設計」よりも優先される傾向にあります。しかし今後は、自社のソフトウェアがいかに付加価値を生むかが、製品設計開発においても重要なファクターになるはずです。優秀なソフトウェアエンジニアにとっては活躍のしがいがある時代とも言えるでしょう。

製造業におけるソフトウェア作りの実態 ~ 「聖域」の限界

実際の製造業におけるソフトウェア設計開発の現場はどうでしょうか。企業によってレベルは異なるものの、総じてソフトウェアにおける付加価値創出に十分にはエンジニア人材を振り向けられてはいません。競争力を高めるような新規アプリケーションや汎用性の高いプラットフォームの開発よりも、むしろ量産開発や派生開発における既存ソースコードの軽微な修正、およびその修正に伴う膨大なテスト業務に、多くの貴重なエンジニア人材を充てているのが実態です。

これまで日本の製造業における設計開発領域は「聖域」と見なされ、付加価値を生み出す源泉であり、エンジニアの枠にとらわれない自由な発想こそが、新たな価値ある製品を生み出すと信じられてきました。「すりあわせが価値を生んだ時代」にはそれが特別に機能してきたと言えますし、今も魅力的な製品を作るためには自由な発想は欠かせないでしょう。しかし、そのことを踏まえた上でも、設計開発はすべて聖域化されてしかるべきなのでしょうか。
一言で設計開発といっても、そのバリューチェーンには付加価値の生み方が異なる様々な種類の業務が混在しています。例えば「研究開発」「技術開発」から「次世代製品開発」といった新規性が求められる業務のほか、「量産開発」やその中でも「派生開発」となると、新規性や発想力よりも業務上の制約を守ることの方が重要となる仕事が多くなるなど、多岐にわたります。加えて、「派生開発」など技術難易度が低くなるにつれて、反比例的に業務量が増加する傾向にあります。その結果、本来は新しい技術開発に携わるべきポテンシャルの高い若手エンジニア人材が、量産・派生開発業務の中でも付加価値のあまり高くない仕事に従事しなければなりません。その膨大な仕事量をこなすだけで日々忙殺されるという事態に陥ってしまうのです。

近年製品の開発サイクルは短くなっていく傾向にあり、既に膨大となっている量産・派生開発業務は今後も増加の一途を辿るはずです。しかも将来的には日本の少子化および理系学生の減少も予測されています。現在、設計開発の上流に人材を割けていないわけですから、このまま設計開発を「聖域」として放置することは、ソフトウェア作りを中心としたモノづくりにおいて致命的とさえ言えます。

設計開発でのオフショアリソース活用 ~その失敗

このような業務量増加に対する国内エンジニアリソースの不足によって、一時期ブームとなったのが、「設計開発のオフショア化」、つまり海外のエンジニアリソースによる補完です。この潮流は、今後益々加速することになるでしょう。中国やインドなど単価の安い新興国のエンジニアリソースに業務を移行する動きは10年以上も前から取り組まれています。今後も優秀なエンジニアを低付加価値業務から解放するため、グローバル化の流れにおいても、さらに求められていくはずです。

しかし、これまでの設計開発におけるオフショア化の多くは、言語や文化、物理的な距離や時差などの障壁ゆえに「業務をきちんと教え込むことができない」「Q&Aが大量に発生して開発が止まる」「品質が上がらずに手戻りが多い」といった課題もありました。結果、現地に大量の日本人エンジニアを送り込む必要が生じるなど、「余力を生む」効果には至らない事例も多く見受けられました。加えてコストにおいても同様に、一定の業務量に対してどの程度コストがかかっているのか、きちんと把握しているケースは稀でした。オフショアの「単価の安さ」にのみ着目するあまり、生産性が悪化することにより日本人で業務をこなすよりも高コストになっていることに気付いていない。コスト効果の刈り取りどころか、そもそも総コストさえ把握していないケースがほとんどとなっていたのです。

かつて日本の製造業は、製造工程においては海外への工場移転を成功させてきました。なぜ設計開発でオフショア化に失敗するのか。キーは「工業化」にあるのです。

「設計開発の工業化」 ~製造工程における工業化に倣う

日本の製造業が隆盛を極めた理由の一つに、製造技術・生産技術においての工業化に秀でていたことが挙げられます。ソフトウェアにおいて製造工程は単なるROMへの焼き付けであり、そこに技術差別化要因は入り得ないことは明白です。ソフトウェア作りが中心となるいま、求められているのは製造ではなく「設計開発の工業化」、つまりソフトウェアエンジニアリングを工業化するということです。ここでの工業化は、すなわち、作業の可視化と整流化(技術的な知見が必要な「判断」と、判断に従って決められた業務を行う「作業」の仕分け)による属人化の排除となります。

製造工程を担う工場では、各作業が微に入り細にわたって可視化され、厳しく工程が管理されています。このように、ソフトウェアの設計開発工程でも付加価値の低い業務は「聖域」と認めず、「属人化を排し」「技術的な判断を伴わない“作業”を切り出し」、「反復可能な工程に落とし込む」、つまり工業化が求められているのです。

この設計開発の工業化ができてはじめて、オフショアリソースとの協業を成功させることが可能になります。特に量産・派生開発の中でも付加価値が高くない定数変更や簡単なコード修正、テスト業務などに工業化を適用することが必須なのです。工場と同様に、海外の安くて豊富なエンジニアリソースの活用が実現することで、そこから余力が生み出せてこそ、エンジニアとして自由闊達さが生きる開発業務に、優秀な自社エンジニアを振り向けることがようやく実現できるのです。

「設計開発の工業化」 ~製造工程における工業化に倣う

日本の製造業が隆盛を極めた理由の一つに、製造技術・生産技術においての工業化に秀でていたことが挙げられます。ソフトウェアにおいて製造工程は単なるROMへの焼き付けであり、そこに技術差別化要因は入り得ないことは明白です。ソフトウェア作りが中心となるいま、求められているのは製造ではなく「設計開発の工業化」、つまりソフトウェアエンジニアリングを工業化するということです。ここでの工業化は、すなわち、作業の可視化と整流化(技術的な知見が必要な「判断」と、判断に従って決められた業務を行う「作業」の仕分け)による属人化の排除となります。

製造工程を担う工場では、各作業が微に入り細にわたって可視化され、厳しく工程が管理されています。このように、ソフトウェアの設計開発工程でも付加価値の低い業務は「聖域」と認めず、「属人化を排し」「技術的な判断を伴わない“作業”を切り出し」、「反復可能な工程に落とし込む」、つまり工業化が求められているのです。

この設計開発の工業化ができてはじめて、オフショアリソースとの協業を成功させることが可能になります。特に量産・派生開発の中でも付加価値が高くない定数変更や簡単なコード修正、テスト業務などに工業化を適用することが必須なのです。工場と同様に、海外の安くて豊富なエンジニアリソースの活用が実現することで、そこから余力が生み出せてこそ、エンジニアとして自由闊達さが生きる開発業務に、優秀な自社エンジニアを振り向けることがようやく実現できるのです。

インダストリーX.0インサイト・プログラム -その他の記事

事例

変革に向けて
全力チャージ

シュナイダーエレクトリック社の
新デジタル・サービスを生み出した
スマートなプロセスとは。

お問い合わせ

お問い合わせは、下記リンク先のフォームよりご連絡ください。