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アクセンチュア・ハイパフォーマンスファイナンススタディ2014――保険業界レポート

アクセンチュアが実施したグローバル規模の財務担当者を対象とした調査と、保険業界のCFOに対するインタビューをもとに、保険業界の6つの重要課題を洗い出します。

概要

長引く金融環境の変化と、先行きに対する課題はありますが、保険業界では依然として成長が重要なテーマです。

2008年の金融危機が引き金となり、広範囲かつ継続的な規制の変化に加え、複雑性に起因する様々な問題がさらに増加しました。金融機関内では、複雑なレガシーシステムや組織モデルへの取組みが重要性を増しています。保険会社は、クラウドサービス、ビッグデータ、アナリティクスといった重要性を増すデジタルテクノロジーに対応する必要があります。これらはビジネスにおける課題であると同時にビジネスチャンスでもあります。

アクセンチュア・ハイパフォーマンスファイナンススタディ2014は、600人以上の財務担当経営幹部に対する調査で構成されており、その内13%は保険業界です。本レポートは、保険業界の回答のみを扱っています。我々は、多くの保険業界における最高財務責任者(CFO)とその他の上級財務担当者に対してインタビューを実施しました。

調査についてインフォグラフィクスでもご紹介しています。こちらもご覧ください。

「保険会社は、困難に直面しながらも、引続きビジネスの成長戦略を極めて重視している」 [PDF, 141KB]

調査に回答した保険セクターの財務担当経営幹部は、直面する課題の上位4項目のうち3項目がビジネスにおける複雑性に起因するものであると答えています。

分析

調査結果1:保険会社は、システム及び組織モデルの統合に、継続して取組みを実施します。
新たなリスク、規制、コンプライアンス要件といった重要課題への取組に関して、回答者はアプリケーションとプロセスの統合が不十分であることに問題意識を持っています。既存の財務/リスクプロセスの統合が不十分であることや、サイロ型の組織モデルおよびガバナンスも障害です。多くの保険会社は、リスク管理と財務の統合が不十分であることに苦慮し続けてきており、これら2つの機能をより効果的に機能させることが金融機関としての優先課題となっています。しかしながらデータとプロセスの一貫性の欠如がこれらの取組みの阻害要因となっています。

調査結果2:統一された全社的財務/リスク管理モデルへの移行が強く望まれています。
一般的に、調査対象となった保険会社では、財務・経理部門とリスク管理部門のリソースの一元化が比較的遅れています。多くの保険会社は、多数の業務分野を有しており、それぞれが財務・経理/リスク管理の関連グループを抱えていることが統合を困難なものとしています。現状、全社レベルで統一された財務、リスク管理のリポジトリーを保持していると回答した保険業界の回答者はわずか12%に留まっています。

調査結果3:その形はさまざまですが、ビジネスにおける複雑性は重要な課題となっています。
財務担当経営幹部として直面している課題について尋ねたところ、回答者は、複雑なレガシーシステムと環境が最も重要な問題であると指摘しています(これは生命保険業界でより顕著です)。複雑性のその他の側面も重要性を増しています。レガシーシステム、資本構成の最適化に次ぐ3つ目の重要課題は、多様な利害関係者から寄せられる複雑なニーズの管理です。調査対象となった保険会社は、複雑で新しいリスクの管理も重要な課題として挙げていました。

調査結果4:規制は今後も保険業界に大きな影響を与えます。
本調査に参加した保険会社の43%は、規制が財務・経理部門のパフォーマンスに大きな影響を与えていると回答しています。

調査結果5:保険会社は彼らが目標とする成長を維持しています。
コスト削減の取組みに注力する一方で、保険業界の回答者は成長に向けてのシフトを継続しています。成長戦略への投資を最重要視すると答えた割合は4分の3近くに上りました。また、その割合は今後2年間の見通しにおいては78%まで上昇します。損害保険会社は、成長機会を特に重視しています。

調査結果6:多くの保険会社は、クラウド、ビッグデータ、アナリティクスへの投資を拡大しています。
保険会社は、デジタルテクノロジーに多額の投資を行っていますが、損害保険会社と生命保険会社では大きな違いがあります。たとえば、調査対象となった損害保険会社の39%が今後2年間でクラウドコンピューティングとSaaSに投資を行うと答えており、25%以上の増加となっています。しかし、調査対象となった生命保険会社ではこの割合が61%に増加します。ビッグデータとアナリティクスに対する投資意欲も全般的に高くなっており、生命保険会社の回答者で特に顕著となっています(3分の1以上が同等の水準で投資を拡大すると回答しています)。

提言

財務・経理部門は、保険業界における金融危機の後、新たな環境への適応を強力に推進しています。

しかし保険会社は、システムと組織モデルの統合を今後、更に進める必要があります。大半の保険会社が一元的な全社的財務/リスクモデルへの移行を切望しています。CFOは、これらの変革を推進する上で重要な役割を果たす必要があります。また、CFOはビジネス上の様々な複雑性に対応するために財務・経理部門の能力を今後、更に強化することが求められています。一方、規制およびコンプライアンス問題への対応は、財務・経理部門のパフォーマンスにおいて今後も重要な意味を持つでしょう。

調査対象となった保険会社は従来と同じくコスト管理を実施していますが、彼らの関心はビジネスの拡大に向けられており、今後もこの傾向は続いていくでしょう。CFOは、金融機関の収益拡大に対して重要な役割を果たし、また、クラウド、ビッグデータ、アナリティクスへの投資の拡大等、テクノロジーに関する経営判断においても、より大きな影響力を及ぼしていきます。CFOが価値の設計者として効果的に活動できる保険会社は、成功に向けてビジネスを有利に推進していくことができるでしょう。