調査結果1:金融機関は、成長と再編の間で慎重にバランスを取ろうとしています。
証券業界は、金融危機と規制対応の大きな影響を受けています。この業界は、収益と取引量の減少及び広範な新規規制要件に直面しており、組織をスリム化し、中核ビジネスに注力することでこうした課題に対処してきました。証券業界は、資本集約的な事業を引き続き減少させており、将来に向けた新たなポジショニングのためのビジネスモデルの変革を行っています。こうした取り組みの一環として、回答者の80%近くが中核ビジネスに投資を集中させています。
調査結果2:リスク、規制、コンプライアンスの新たな要求に対応する上で、統合が依然として大きな障壁となっています。
証券業界は、リスクと財務の統合により、意思決定と資本管理を改善し、ビジネスが直面する脅威と機会の基礎にある要因をより深く理解できると考えていました。しかし実際には、この統合を実現するのは困難でした。現在、規制圧力の高まりにより、このテーマが重要課題として復活しようとしています。
調査結果3:多くの金融機関が、規制対応に対して全社的なアプローチを行おうと強い意欲を見せています。
リスク、財務、業務の各組織が縦割りとなっており、規制報告プロセスに対するガバナンスが制約を受けていると証券業界の4分の1近くが答えています。今後2年間で、これらの課題への取り組みに伴い、この割合がわずか10%まで減少すると見込まれます。同様に、全社的なアプローチはさらに普及すると思われます。現在、全社的な規制報告のためのセンター・オブ・エクセレンス(CoE)を定め、統一したガバナンスモデルを導入していると答えた割合は証券業界の回答者のわずか9%でした。多くの回答者は、今後2年間でこうした状況を大きく変えることを目指しており、60%がこの水準を達成することを目指しています。
調査結果4:複雑性が最大の課題となっています。
証券業界は、より複雑性の増した状況に直面しています。金融危機の余波、ならびに国内外で次々と導入・強化される規制に対処しなければなりません。資本規制が大幅に強化されたため、銀行・証券業界は自らのビジネスモデルと戦略的な優先事項について再考を迫られています。同時に銀行・証券業界は、極めて厳しい市場環境において、収益・シェアの拡大、利益率の維持に対して株主からの圧力も受けています。
調査結果5:変革のための重要事項の数々は、依然として証券業界にとって重要課題となっています。
過去数年で、証券業界の多くが抜本的なコスト削減活動に取り組んできました。こうした活動には、アウトソーシングの拡大、シェアードサービスセンターへの業務移管及び一般管理費の更なる削減等の取り組みが含まれていました。しかし、業界ごとにばらつきがあります。金融危機で深刻な打撃を受けた証券業界は、コスト削減に対して非常に抜本的な対策を取ってきました。しかし、その結果として競争優位にたつ金融機関においてもまだその行程の初期の段階にあります。
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