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アクセンチュア・ハイパフォーマンスファイナンススタディ2014――証券業界レポート

アクセンチュアが実施したグローバル規模の財務担当者を対象とした調査と、証券業界のCFOに対するインタビューをもとに、証券業界の5つの重要課題を洗い出します。

概要

証券業界は、金融危機の大きな打撃を受け、成長と再編の間でバランスを取っていくという課題に直面しています。

同時に、新たな規制とコンプライアンスの要求により、組織の内部構造への圧力が強まっています。リスク、財務、業務部門の各組織が縦割り構造になっているため、効果的な規制報告プロセスを確立することがますます難しくなっています。複雑性がもたらす他の面についても重要度が増しており、これには、複雑で新しいリスクの管理、複雑なレガシーシステムへの対処、各種利害関係者のニーズの管理が含まれます。こうした状況の下、CFOには事業全般を通じて、複数の変革要件を管理する役割が生じてきています。

アクセンチュア・ハイパフォーマンスファイナンススタディ2014は、世界中の主要業界600人以上の財務担当経営幹部に対する調査で構成されており、そのうち9%は証券業界に対する調査で構成されています。私たちは、証券業界の最高財務責任者(CFO)とその他の上級財務担当者に対してインタビューを実施しました。

調査についてインフォグラフィクスでもご紹介しています。こちらもご覧ください。

「困難に直面しながらも、証券業界は成長することに注力する」 [PDF, 134KB]

調査に回答した財務担当経営幹部は、直面する課題の上位4項目のうち3項目が複雑性に関するものであると答えています。

分析

調査結果1:金融機関は、成長と再編の間で慎重にバランスを取ろうとしています。
証券業界は、金融危機と規制対応の大きな影響を受けています。この業界は、収益と取引量の減少及び広範な新規規制要件に直面しており、組織をスリム化し、中核ビジネスに注力することでこうした課題に対処してきました。証券業界は、資本集約的な事業を引き続き減少させており、将来に向けた新たなポジショニングのためのビジネスモデルの変革を行っています。こうした取り組みの一環として、回答者の80%近くが中核ビジネスに投資を集中させています。

調査結果2:リスク、規制、コンプライアンスの新たな要求に対応する上で、統合が依然として大きな障壁となっています。
証券業界は、リスクと財務の統合により、意思決定と資本管理を改善し、ビジネスが直面する脅威と機会の基礎にある要因をより深く理解できると考えていました。しかし実際には、この統合を実現するのは困難でした。現在、規制圧力の高まりにより、このテーマが重要課題として復活しようとしています。

調査結果3:多くの金融機関が、規制対応に対して全社的なアプローチを行おうと強い意欲を見せています。
リスク、財務、業務の各組織が縦割りとなっており、規制報告プロセスに対するガバナンスが制約を受けていると証券業界の4分の1近くが答えています。今後2年間で、これらの課題への取り組みに伴い、この割合がわずか10%まで減少すると見込まれます。同様に、全社的なアプローチはさらに普及すると思われます。現在、全社的な規制報告のためのセンター・オブ・エクセレンス(CoE)を定め、統一したガバナンスモデルを導入していると答えた割合は証券業界の回答者のわずか9%でした。多くの回答者は、今後2年間でこうした状況を大きく変えることを目指しており、60%がこの水準を達成することを目指しています。

調査結果4:複雑性が最大の課題となっています。
証券業界は、より複雑性の増した状況に直面しています。金融危機の余波、ならびに国内外で次々と導入・強化される規制に対処しなければなりません。資本規制が大幅に強化されたため、銀行・証券業界は自らのビジネスモデルと戦略的な優先事項について再考を迫られています。同時に銀行・証券業界は、極めて厳しい市場環境において、収益・シェアの拡大、利益率の維持に対して株主からの圧力も受けています。

調査結果5:変革のための重要事項の数々は、依然として証券業界にとって重要課題となっています。
過去数年で、証券業界の多くが抜本的なコスト削減活動に取り組んできました。こうした活動には、アウトソーシングの拡大、シェアードサービスセンターへの業務移管及び一般管理費の更なる削減等の取り組みが含まれていました。しかし、業界ごとにばらつきがあります。金融危機で深刻な打撃を受けた証券業界は、コスト削減に対して非常に抜本的な対策を取ってきました。しかし、その結果として競争優位にたつ金融機関においてもまだその行程の初期の段階にあります。

提言

証券業界は、今後もしばらく予期せぬ未来に対する強力なコスト圧力に直面しますが、同時に収益と自己資本利益率を高めなければなりません。

CFOは、成長と再編の間でバランスを確保する上で重要な役割を果たします。CFOは、リスクと財務間の統合を実現し、リスク、規制、コンプライアンスの新たな要件に効果的に対処する必要があります。金融機関は、規制対応において、より全社的なアプローチへの移行を加速させています。

複雑性は今後も重要な課題となり、CFOはビジネスの推進により複雑性を管理する新たな方法を見出す必要があります。こうした手段には、プロセスの標準化と最適化による合理化、組織の簡素化などが含まれます。財務・経理部門は、ビジネス変革において重要な役割を担っていることを示してきました。金融機関が業界の大規模な変革ペースへの追随に苦労する中、財務・経理部門は変革における役割をさらに深めていく見通しです。CFOには、証券業界のビジネスの成功に向けて価値の設計者となる機会があります。