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グローバル調査レポート:アウトソーシングで十分な成果は本当に得られているか

本調査により、アウトソーシングの利用企業がビジネス成果を得るために解消すべき「人材のパラドックス」が浮き彫りになりました。課題解決に向けて、BPOの委託側企業が講じるべき策を提言します。

概要

HfS Research社は、アクセンチュアの支援を受けて、アウトソーシングに関する新たなレポートを発表しました。本レポートでは、次のことを明らかにしています。すなわち、アウトソーシングによって持続可能な価値を生み出すには、アウトソーシングを委託する側の企業(クライアント)とアウトソーシング・サービスを提供する側の企業(プロバイダ)が、アウトソーシングの対象となる業務やプロセスのパフォーマンス向上に直結するような人材の育成に、十分に投資することが不可欠だということです。

本調査は、アウトソーシングを利用する世界の大手企業282社を対象に行われました。この結果から、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を委託するクライアント企業のうち2/3以上はBPOの成果が単なるコストの削減や業務効率の改善にとどまっており、「真のビジネス価値の創出」に苦戦していることが明らかになりました。また本調査では、アウトソーシングを請け負うプロバイダ企業を管理する人材や、エンドユーザー向けの業務や機能を担う人材に対して、企業があまりにも少ない投資しか行っていないことが浮き彫りになっています。

本レポートでは、トップレベルにある多くの企業が“人材のパラドックス”に陥る理由を探っています。そして、BPOのクライアント企業が、人材のパラドックスから抜け出し、戦略的かつ持続可能な価値の創出に向けてプロバイダとの関係を管理するために、BPOプロジェクトの管理者が講じるべき対策を提案しています。

背景

アクセンチュアは2012年に、大手調査会社と協業して、ハイパフォーマンスBPOに関する包括的な調査プログラムを開始しました。BPOに関する信頼性と中立性が高い知識ベースを構築するためです。このプログラムが高く評価された結果、アクセンチュアはBPO業界のリーダーとして、また“スチュワード(番人)”として、その地位を確固たるものにしました。

プログラム実施にあたり、まず、業界全体にわたる調査に基づいて、BPOのパフォーマンスを測るためのベンチマークを定義しました(Everest Group社と共同で実施)。また、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE:London School of Economics)のアウトソーシング・ユニットと共同で、ハイパフォーマンスを実現してきたBPOのクライアントとプロバイダの関係を詳細に分析した結果に基づいて、ハイパフォーマンスを創出するためのBPO管理手法を見つけ出しました。

調査から得られた知見

今回の調査から得られた知見としては、以下の事柄が挙げられます。

  • ほとんどのBPOプロジェクト・チームのスキル・セットは、一昔前の戦術的な優先順位に基づいている。そのため、BPOを利用するクライアント企業の多くは、アウトソーシングによって大きなビジネス価値を実現できずにいる。

  • BPOのクライアント企業は、アウトソーシングに関する管理を適切に行えるようなチームを構成する教育に、十分な投資を行っていない。

  • BPOプロバイダの多くは、クライアント担当窓口やサービス提供の実働を担うチームを育成する教育に十分に投資しておらず、人材を「いつでも手に入る資源」だと見なしている。

  • アウトソーシング業界では、スキル向上のための投資が軽視されていることが1つの理由となって、価値の創出が全般的に抑制されている。

  • トップレベルに位置する一部のクライアント企業や質の高いプロバイダは、進むべき方向性を把握している。つまり、クライアント側は、変革をもたらすアウトソーシングのリーダー的な人材を採用し、プロバイダ側は、自社の人材のスキルの向上と育成に投資している。

また、今回の調査からは、次のことも明らかになっています。すなわち、クライアント企業におけるBPOプロジェクトのリーダーは、アウトソーシング・プロバイダの有能な人材と対等レベルで業務に取り組めるように、自社のスタッフの育成に焦点を当て、スタッフのレベルを引き上げる必要があるということです。

提言

今回の調査結果から、アウトソーシングを利用するクライアント企業に対して、以下の事柄を提案します。

  • BPOプロジェクトを所轄するチームを、1つの事業部門のように管理する。

  • そのチームの人材を育成する際には、プロバイダのスキルを模倣することではなく、自社の中核的なビジネス・スキル(事業を成功させるための中核となるスキル)を強化することに主眼を置く。

  • プロバイダの戦略的能力を慎重に評価する。

  • BPO導入時に自社の社内に残した業務を担当するチームに対し、求めるスキルをあらためて定義し直す。

  • 戦略的スキルを開発し、現場に投入するように促進する成長目標を定め、プロバイダと共有するとともに、その目標を定期的に見直す。

著者について
Phil Fersht氏は、HfS Research社の創設者です。

Tony Filippone氏は、HfS Research社で調査担当エグゼクティブ・バイスプレジデントを務めています。