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一例としてのBoston Scientific 医療から健康、食へ

デジタルおよびアナリティクスによる変化の波は、患者および医療をとりまく環境をも変えようとしています。

医療から健康サービスへ

山崎 丁巳生

製造・流通本部
プリンシパル・ディレクター
山崎 丁巳生


藤黒 倫子

製造・流通本部
シニア・プリンシパル
藤黒 倫子

今日の医療は、患者の特定の症状に対して「治療」と「薬」を提供してきました。しかしながら、これまでの枠組みでは、医療施設や医薬品メーカの収益は、個別の診断・治療および薬剤の提供量と連動しており、医療費の軽減につながるサービスを提供する強いインセンティブは必ずしも存在しませんでした。結果として、社会というエコシステム全体の医療における負担が高騰しているのが現状です。

しかしながら、患者・消費者の観点からみると「健康」になることが医療費への最大の対価であり、また患者が健康になることこそが、社会全体の医療負担の軽減につながります。米国・欧州では、アウトカム(医療行為の成果)ベースで医薬品の価格を設定する仕組みを既に導入しており、日本でも2016年よりその取り組みが試行的に実施され始めています。医療ビジネスはいま、診療/投薬行為のボリュームではなく、患者・社会にとってのアウトカム、つまり、医療サービス・医薬品・医療機器のバリューが問われる時代にシフトしています。

これらの動きは何を意味するのでしょうか?
このような時代の変化の中で、患者を取り巻く新しいサービスの形が求められています。新しいサービスとはすなわち、患者に「健康」というアウトカムを提供するサービスであり、それは個別の診断・治療・薬などの提供に留まらず、日常の生活習慣改善の支援や食生活の改善支援なども含む、患者向けの予防・診断・治療・予後にいたるまでのトータルサービスです。そして企業がトータルサービスを提供するためには、今まで患者に「治療」「薬」を提供してきていた病院(医師・医療スタッフ)・製薬企業・医療機器企業というプレーヤーの垣根を超えた新しい枠組みが必要になるとともに、今まで協業してこなかった新たなプレーヤーとのコラボレーションも必要になってくると考えられます。

患者向けの予防 ・ 診断 ・ 治療 ・ 予後にいたるまでの ト一タルサ一ビス
患者向けの予防 ・ 診断 ・ 治療 ・ 予後にいたるまでの ト一タルサ一ビス

アウトカムを追求する世界へ


アウトカムとは何か、また、どのように追求すればよいのでしょうか。「健康」というアウトカムの定義は、年齢や健康状況、疾患、治療ステージにより千差万別であり、統一的な見解はまだありません。例えば、小児や成年にとって「健康」とは「運動しても疲れない」ことだとしても、高齢者であれば「日常生活に対処できる」ことが「健康」の定義ということもありえます。つまり、アウトカムをベースとしたサービスを提供するには①患者のデータをタイムリーに取得/収集し、②プレーヤー間で情報を数値化・可視化することに加えて、③各個人によって異なるアウトカムに基づいたパーソナライズされたサービスを統合的に提供する必要があるということになります。

① 患者のデータをタイムリーに収集:ウェアラブル、センサー、スマートフォン向けアプリ等の技術を活用し、運動・睡眠などに関する活動情報や血圧・心拍数等の生体情報をリアルタイムに収集。

② プレーヤー間で情報を数値化・可視化:収集したデータをバックボーンとなるプラットフォームに集積し、プレーヤー間で必要な情報を共有。

③ アウトカムに基づいたパーソナライズされたサービスの提供:蓄積したデータを分析し、患者にとってのケア・サイクル全体を通した最適な治療やサービスを企画/デザイン。それらを製品/サービス化し、個別の患者の状況に合わせてカスタマイズの上、適切なタイミングで提供。

医療機関、医薬品・医療機器メーカ、デジタル・アナリティクスプレーヤーが組み合わさったアウトカムベースのサービス提供


アウトカムベースのサービスは既に提供され始めています。医療機器メーカのボストン・サイエンティフィックは、センサー機器ベンチャー、医療施設およびアクセンチュアと協業し、End to Endでの患者サービスを実現し、価値を創出しています。*1

心疾患にまつわるコスト構造の分析により、米国において心疾患の入院患者の20-25%が30日以内に再入院してくるということ、心疾患関連コストの80%は病院で発生していることを解明しました。そこで、現状で多くのコストが費やされている患者と、短サイクルで再発を繰り返している患者にフォーカスしたパイロットを実施し、特に退院後7日以内のケアを手厚くし、個々の患者の状況にあわせた食事や運動等の指導を適切に行ったところ、患者の治療成績が飛躍的に改善、全体の15%の患者をケアして病状悪化を防ぐことで80%のコスト抑制につながりました。これらの成果の創出は、以下の3つのソリューションにより実現されています。*2

① 患者のパスウェイ分析院内の動態分析:病院内での患者の動態や、診療行為の各ステップで費やしている時間を分析し、より効果的/効率的なサポートができないか検討し、改善を提案

② ケアマネジメント:患者の生体情報やリスク分析とあわせて、患者の診断・治療・モニタリング及び退院後のケアをどの医療スタッフがどれくらいの頻度で実施したかを分析し、患者マネジメントを最適化

③ 患者のエンゲージメント:在宅療養に関する、入院中・退院時の生活指導のコミュニケーションの内容と、それに対する患者の順守状況や、患者の病状の変遷などを分析し、患者に求められるコンテンツを把握してエビデンスに基づき最適化

医療機関、医薬品・医療機器メーカ、デジタル・アナリティクスプレーヤーが組み合わさったアウトカムベースのサービス提供

当取り組みにおいて、アクセンチュアはアナリティクスのプラットフォームを提供し、患者中心のデジタル化された新しいヘルスケア革命を支援しています。

今後の展望


上記の事例はまだ医療機器メーカ、センサー機器ベンチャー、医療施設、およびアナリティクスプレーヤーの四者の協業のみに留まっていますが、今後は、更に多様なプレーヤーを巻き込んだ、アウトカムを提供するためのトータルサービスが台頭することが予見されます。例えば、病院や患者から収集した体調情報などとUber/UberEATSなどの配車・宅配システムと連携させ、病院までの車いす対応の車を配車したり、糖尿患者向けの食の宅配などを手配するということも考えられます。また、生活習慣病の予防のために、スマートフォン向けアプリを通じて個人にカスタマイズされた適切な食事メニューや運動プログラムを提案するというサービスは一部提供され始めています。

今後は、複数の異業種のプレーヤーを取り込み、包括的なサービスを提供できるコンソーシアムを編成したプレーヤーが、より多くの患者およびそのデータを囲い込むこととなり、結果としてより多くのデータ・エビデンスの分析に基づいた最適なサービスを患者に提供できる力を持つことになると言えるでしょう。

*1:Boston Scientific: Data-driven digital health solution
https://www.accenture.com/us-en/success-boston-scientific-develop-digital-health-solution?src=SOMS(最終閲覧日:2017/7/24)

*2:Improving care for patients with acute heart failure
http://www.oxfordhealthpolicyforum.org/files/reports/ahf-report.pdf(最終閲覧日:2017/9/8)

お問い合わせ


お客様導入事例その他、開示可能な情報もあります。

詳細な資料をご希望の方はアクセンチュア製造・流通本部までお問い合わせください。

TEL:03-3588-4453 (製造・流通本部直通)

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