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New ITの活用による業務・システムの進化

最新技術や考え方の利用による “ひと中心”、“早く・効率的”なシステム構築・運用へ

長い時間をかけて作った業務・システムが使われない

大場庸平

製造・流通本部
シニア・マネージャー
大場庸平

製造・流通業界は、製造工程から販売工程まで様々な人がかかわり、複雑なプロセスで成り立っています。そのため、それらを支えるシステムは業務を支える重要な要素となり、店舗や取引先など利用者のために、長い時間をかけて作られることが多いです。
しかし、長い時間をかけて作った新業務・システムも次のようなことが発生するケースがあります。

  • 受注・発注・請求管理など、業務上必須な機能しか使われず、取引先の工程管理など本部が目指す業務を行えない

  • 店舗や取引先の業務利便性向上を目指して作ったが逆効果であり、“店舗の業務が逆に増えた/システムに縛られて業務がやりづらい”などの課題が発生した

  • 結果として、システムの改修要望をもらったが、直すまでに時間がかかる など

プロジェクト当初のスケジュール・予算通りに構築したシステムも使う人の役に立たなければ意味がありません。このような課題が起きないようなシステム構築方法が数年前から生まれています。本インサイトプログラムではそれらの考え方を紹介いたします。

“ひと”のためのものづくりへ


これまでは本部の業務改革の視点、新しい技術の活用、市場から求められることなどの視点から、さまざま商品・サービスが生み出されてきましたが、現在は利用者の行動・思想に合わせて商品設計を行うアプローチに変わってきています。
これは、人に直目した設計・テストの繰り返しにより、利用者視点での最適な商品・サービスができるなど様々な利点があるためです。
最も有名な例としては、Apple社のiPodが挙げられ、試作・フィードバックが何度も繰り返され、100以上のプロトタイプが制作されたともいわれています。

具体的なアプローチとしては、下記ポイントを伴ったデザインシンキングが挙げられます。

  • 誰か一人の意見ではなく、ブレスト形式での課題や解決策の出し合い

  • 人を中心としたサービス・業務設計

    ✓ これまで:どうやったら本部が工場の工程管理を行うことができるか?

    ✓ 今後:どうやったら工場の従業員が期日・予算どおりに働くことができるか?

  • サービス・業務の早期イメージ化、イメージをもとにしたユーザ合意

  • プロトタイプによるテスト・テスト結果による改善点洗い出しと改修 など

では、ITを作る・開発する視点では何が重要になるのでしょうか?

早く作り・何度も繰り返すIT : Agile/DevOps


製造流通業界は、人と業務が密接にかかわり、絶えず変化が発生する業界です。一方で普段慣れ親しんだ業務を変えることに対して、人は拒絶反応を起こすため、プロトタイプを通じて改良された業務・システムの展開が有効となります。
それらを実現する開発手法がAgile開発です。Agile開発は、“プロトタイプ作成→導入・フィードバック→プロトタイプへの反映計画→プロトタイプ作成”を繰り返すことで利用者が欲しい、使いやすいと思うITを作る方法であり、デザインシンキングとセットで利用されます。

この手法を実現するためには、開発チームと開発環境にこれまでと異なるポイントが求められます。

  • 開発チーム:開発サイクルをクイックに繰り返す機動力

    ✓ 一領域10人未満など、少人数でのチーム構成

    ✓ 開発者だけでなく、業務ユーザをチームに巻き込み

    ✓ なるべく全員が同じ場所で働き、意識統一

    ✓ ユーザフィードバックによる改善を前提にした開発プロセス(フィードバック:2週に1度、利用ユーザ:最低6名以上) など

  • 開発環境:資源の管理・リリースに加え、フィードバックや成果の収集

    ✓ 新しい資源のバージョン管理する機能

    ✓ 新しい資源を各環境に自動でリリースする機能

    ✓ セキュリティやパフォーマンスを確認する機能

    ✓ 業務ユーザのフィードバックを含めて、新しい機能の結果を収集する機能 など

ただでさえ、人手がかかるシステム開発に上記要件が加わっています。工数の低減が求められる中でより効率的に実施する方法はないのでしょうか?

機械に任せられる部分は任せて、人は考える部分にシフト


前述した内容は、数年前から言われていますが、昨今の技術進化によりこれらのサポート機能が充実してきています。
まずは、Automationの活用です。コールセンターなどではAutomationが顧客からの回答に答える機能を備え実用化されていますが、システム開発でも導入がスタートしています。
プロジェクトマネジメントやテストをはじめとして、重要な領域に人工知能を搭載した数人の仮想エージェントを配置し、進捗管理データやテストデータをもとにアドバイスをくれる仕組みが展開されています。
次いでアナリティクスの活用が挙げられます。デザインシンキングやアジャイル開発においては、フィードバックを適切に取り込むことが肝となります。
パイロット対象ユーザの声を直接聞くことが最も重要ですが、いつ、何を触ったか?などのログデータなどの分析結果などから得られる示唆をフィードバックに取り入れることが有用です。
短サイクル・低コストでの開発に向けては、最終的な判断は人が行いますが、上記を例にして機械に任せられる部分は任せていく姿勢も必要です。

“ひと”のためのものづくりへ向けた体制や環境などを簡単に記載しましたが、どこから入れていくのでしょうか?

まずは軽く始めるところから


これまで記載した方法論・技術は理想的ではありつつも、これまでの開発手法と大きくなるため、失敗時のリスクも加味して始めることが肝要です。

そのためには、”OSSとベンダー製品ならOSSを選択”、”カスタムとクラウドならクラウドを選択”など極力軽いアーキテクチャを選択すべきと考えます。
以前、OSS/クラウドは信用性やアーキテクチャ採用時の選択肢としてなり得ないことが多かったですが、OSSを用いた様々なアプリ開発や各ベンダーのクラウド進出により、現在では十分に選択肢としてなり得ます。
既存資産と新規アーキテクチャの共存をまずは前提として、軽く始めることが必須です。

様々な内容を紹介しましたが、具体的にはどのように活用されているのでしょうか?

導入事例 ~全てを同時に始める必要はない~

それではいくつかの導入事例を見てみましょう

店舗が利用するモバイルシステムを段階的に拡充

グローバルに店舗を展開する大手小売業では、出勤、実績確認、教育・評価など店舗で行うあらゆる業務をモバイルに集約しています。開発にもAgileやデザインシンキングの考えと取り入れ、全機能が全従業員に活用されることを実現しています

  • 実機ベースでの画面確認

    ✓ 紙ベースでの画面確認ではなく、実画面ベースでの画面確認により、見易さ・わかりやすさ・操作容易性に徹底的に拘ることを実現

  • 定期リリースによる機能拡充

    ✓ 一括リリースではなく当初から定期リリースを前提としたスコープ調整を行っているため、ユーザ要望と取り込んだ段階リリースを実現

  • 上記を実現可能とする開発体制

    ✓ デザイナー・画面開発者はオンサイト・クライアント常駐とすることで短サイクル・実機ベースでの要件確認を実現

    ✓ 一方でバッチはオフショアを活用するため、低コストでの開発を実現


APIを活用したレガシーラッピング/Agile開発の実現

他大手小売業では重厚長大な既存の販売管理システムを利用しつつも、営業のフロントシステムにデザインシンキング・Agile開発を取り入れためAPIを活用しています。

  • IF連携を介した従来型の開発方式

    ✓ 販売管理システムから他システムへ情報連携する際はIFを利用

    ✓ リアルタイムに在庫を把握することができない/開発効率が悪い等の課題

  • レガシーのラッピング化を意識した開発方式

    ✓ APIを利用して販売管理システムをラッピング。レガシーシステムを残しつつ、他システムと疎の関係へ

    ✓ 他システムはAIP経由でデータアクセスすることで、制約を受けず各システムが個々に開発可能。営業・エンドユーザが利用するシステムはデザインシンキング・Agile開発を取り入れ


事業特性に合わせたアーキテクチャ/オペレーティングモデル

国内で様々な損保サービスを提供している某大手では事業特性に合わせてシステムの作り方を工夫しています。

  • 将来的な成長が見込まれないレガシー事業には、徹底的なコスト効率化を

    ✓ 既存アーキテクチャを継続利用しつつ、回帰テスト、監視、トラブル対応などを始めとして、定型化可能な業務の自動化・シェアードサービス化を推進

  • 現在のビジネスを支える安定的な収益源泉を得るコア事業には多様性を

    ✓ 商品・機能の柔軟な組合せが可能なアーキテクチャを活用し、求められる要件に応じて適切な開発手法を選択

  • 本格展開が不透明なスタートアップ事業には俊敏性を

    ✓ Agile/DevOpsを活用した開発手法を用いて、クイックに展開

    ✓ アーキテクチャとしてはOSSを活用し、安価に構築

事例からもわかるようにすべてを対象にする必要はないと考えています。
既存資産も活用しつつ、適材適所の開発手法を取り入れることが重要と考えています。

人を中心としたITを作るためには、上記を例とした様々な施策が必要となります。
アクセンチュアでは、上記を含めた統合的な開発手段の体系化と具体化を図り、New ITとして取り纏め、お客様の支援を行っています。


図:【New ITの体系】

New ITの体系

お問い合わせ

お客様導入事例その他、開示可能な情報もあります。

詳細な資料をご希望の方はアクセンチュア製造・流通本部までお問い合わせください。

TEL:03-3588-4453 (製造・流通本部直通)