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すべてのビジネスがデジタルに [後編]

テクノロジーの進展が後押しする「ビジネスのデジタル化」とは。 「経営とIT」をテーマにしたフォーラム「IT Japan 2013」における程近智アクセンチュア社長による講演内容(後半)

ソーシャル、クラウドは企業に何をもたらすのか?
テクノロジーの進展が後押しする「ビジネスのデジタル化」とは? アクセンチュア代表取締役社長の程 近智が7つのキーワードで読み解く本連載の[後編]では、[前編]に続き、「ソーシャル」、「SDN」、「セキュリティ」、「クラウド」の4つに着目します。“経営とIT”をテーマにしたフォーラム「IT Japan 2013」(2013年7月3~5日、主催:日経BP社)における講演の記録です。


【講演者】
アクセンチュア株式会社
代表取締役社長
程 近智(クリックでプロフィールを表示)


【講演内容】
■ソーシャルメディアで組織やワークスタイルが変わる
すべてのビジネスがデジタルになる――。その背景と変化の本質をつかむ7つのキーワードのうち、[前編]では3つを説明しました。ここからは、残る4つについて詳しく見ていきます。

4つめのキーワードは、「ソーシャルは企業の形を変える」です。ソーシャルメディアというとB to C企業の斬新なマーケティング手法が取り上げられることが多いのですが、実はB to B企業や、企業の内部における業務スタイルの変革にも有効です。

実際に当社(アクセンチュア)でも、社内でソーシャルメディアを活用しています。最初に取り入れたのは、スマートシティなどの分野を担当するサステナビリティ・サービスグループ。そのメンバーは国内外のオフィスで働いており、日常的なコミュニケーションに以前は主にメールやWeb会議などを使っていました。

社内SNSの導入後は、それがコミュニケーションの主要なツールとなり、いまではすっかり定着しています。定着に成功したポイントはいくつかありますが、最も重要なのはしつこいまでのリーダーシップでしょう。グループのリーダーが自らSNSに頻繁に書き込む一方、メールで受けた質問には答えないことにしました。つまり、仕事を進めるにはSNSを使わざるを得ないという状況を作り上げたのです。こうした取り組みの経験を生かし、当社はさらに社内でのSNS活用度を上げていきたいと考えています。

ソーシャルメディアは、社内のコミュニケーションを変えるだけでなく“組織の形”にも大きなインパクトを与えます(図3)。多階層で部門の壁が高い従来型の組織は、意思決定の遅れや全体最適視点の不足といったデメリットが指摘されてきました。ソーシャルメディアを導入することで、こうした組織の抜本的な変革が可能になります。


図3 ソーシャルメディアを使えば、経営トップと現場がダイレクトにつながり、多階層型でサイロ化した組織の形を大きく変えられる。
(画像をクリックすると拡大画像が開きます)

ソーシャルメディアにより、トップと現場はダイレクトにつながります。部門横断型プロジェクトも機能しやすくなるでしょう。コラボレーションが促進され、企業のカルチャーも変わるかもしれません。

5番目のキーワードは、「SDNでITインフラの仮想化は完了へ」です。SDN(Software-Defined Network)は、ネットワーク分野で大きな注目を集めている仮想化の技術です。ハードウェアへの依存を無くし、ネットワークをソフトウェアで制御することが可能になります。ビジネスニーズに応じて、ネットワークをダイナミックに組み替えることもできます。

既にサーバやストレージの領域では仮想化がかなり浸透していますが、ネットワークはこの動きから取り残されていました。そのため今まではネットワークがシステム全体の柔軟性を低下させてしまうというケースも多かったのですが、そうした状況がSDNによって変わろうとしています。ITインフラ全体としての柔軟性と俊敏性は大幅に向上します。“仮想化のラストワンマイルがつながる”と表現することもできるでしょう。


■デジタル化されたビジネスでセキュリティは一層重要に
6番目に挙げるキーワードは、「セキュリティは一層重要な経営課題」です。[前編]の冒頭で述べたように、ビジネスのデジタル化はますます進展しており、セキュリティの重要性も高まっています。

以前であれば、企業システムという狭いエリアを「壁を高くして守る」といった防御型の施策だけでも有効だったかもしれません。しかし、その防御ラインは拡大する一方です。スマートデバイスはビジネス領域でも使われるようになり、ソーシャルメディアも企業内に浸透しつつあります。インターネットを用いて、他社とコラボレーションする機会も増えました。

こうした環境変化を受けて、企業にはよりアクティブな対策が求められるようになっています。例えば、アナリティクスを活用して攻撃のパターンを読み取り、予兆を察知する。あるいは、ユーザーの利便性を確保した形で、より強固な認証の仕組みを導入する。そうした対策です。ビジネスにおけるデジタル化の度合いが高まるほど、万が一の場合のダメージが大きくなってしまうことを認識しなければなりません。

最後のキーワードは「雲の先へどう進むべきか」です。いまやクラウドはビジネスにとって欠かせない存在。それは“注目のトレンド”ではなく、既に“当たり前のもの”になりました。いまは、クラウドの先を考えるべき時期です。

そこは、どのような世界でしょうか。そのイメージを表したのが図4です。はるか以前に構築した基幹システムなどをすべてクラウド化することは現実的には難しい。そうした既存システムとクラウドをシームレスに連携させて、その“裏側の仕組み”をユーザーが意識せずに利用できるような環境が求められています。

それは、スピードと柔軟性を備えたIT環境でなければなりません。プラグイン型で新たなシステムを追加・修正しながら、環境変化やビジネスニーズに対応する。それにより経営スピードを速め、さらには競争力を向上させる。クラウドをいかにビジネスに組み込むかについて、あらためて見直してみる必要があるかもしれません。

図4 IT環境は、既存システムとクラウドを連携したハイブリッド構成になっていく。

ここまで、7つのキーワードをもとにビジネスとITの新しい形を考えてきました。これら7つの要素を総動員することで、大きなビジネス変革を推進することができます。

では、自社には何ができるのか、何をすべきなのか。あるいは、どんな組織やサービスをつくるべきなのか。企業はこうした問いに正面から向き合う必要があります。それは、当社も同様です。最後に、アクセンチュア自身の取り組みの1つを紹介しましょう。

General Electric(GE)社は2013年6月、産業用機械をクラウドで管理するためのプラットフォーム開発について発表しました(参考リンク:GE社の報道発表資料(日本語の抄訳)をこちらからご覧いただけます)。このプロジェクトに、アクセンチュアはアナリティクス分野で参画します。世界中で稼働する産業用機械からネットワーク経由で集められる膨大なデータを分析することで、効果的な予防保守や稼働率の向上などが期待されています。

これはクラウドやアナリティクスといった要素をテコに、ビジネス価値を創出するためのチャレンジです。こうしたチャレンジを積み重ねながら、当社は新しい時代のビジネスをリードし続けたいと考えています。

すべてのビジネスがデジタルに [前編] ~ 7つのキーワードが照らす「新しい企業」の姿とは?
前編では、「十人十色の顧客関係を築く」、「デザインされたアナリティクスへ」、「データの速度に着目、経営にベロシティを」という3つのキーワードを解説しています。


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