本稿をご覧になっている皆様の中にも、「弊社もAIを導入せねば世の流れに取り残されるのでは?」と焦燥感を募らせたり、「弊社も早急にAIを導入すべし」と役員から迫られたりされている方が多いのではないでしょうか。
しかし、「AIを導入する」という時のAIとはいったい何を指すのでしょうか?
AIという言葉は今では当たり前のように使われていますが、“システム”と同じくらい広範な意味を持つ用語です。
「AIを導入せねば」と考えている場合は、まずAIで何ができるのか?をきちんと理解した上で、AIでどのようなビジネスの成果を出そうとしているのか?を明確にする必要があります。
AIを一言で表すと、「学習(LEARNING)を繰り返しながら認識(SENSE)→理解(COMPREHEND)→行動(ACT)を行う処理プロセス」となります。
AIは複数の要素技術から成り立ち、その構成要素に依り、活用先に得意不得意(特徴)がでます。
例えば、同じGoogleのAIでも、α碁は囲碁は打てますが、誰が打っているかはわかりません。一方、Google Photoは自動で顔認識して写真にタグ付けし、検索することは出来ますが、囲碁は打てません。
上記は極端な例ですが、ビジネスでの活用シーンを見極め、最適なソリューションを識別する必要があります。
また、企業として投資を行う以上、成果を明確にしておくことは必須条件です。
AI導入については、従来型のシステム導入のように最初にROIを試算することは困難な面もありますが、仮説を立て検証するアプローチは必要です。
決してAI導入自体が目的ではなく、AIを活用してビジネス上の成果を出すことが目標であることを忘れてはいけません。
よく、トップダウンでAIを導入せよという指令の元、プロジェクトを開始してみたものの、成果が定義されておらず効果が不明確であったり、PoCを実施した結果ROIが見合わなかったりして頓挫してしまうというケースも最近では見受けられます。
AIを活用してビジネス上の成果を創出するためには、組織横断的に、顧客体験・従業員体験を設計し、活用シーンに応じた最適なAIを導入していくことが求められます。
AI導入に際しては、ユースケースの識別・選定を通して、ビジネスケースを設計し、優先順位をつけてロードマップを作製したうえで検証を行っていくサイクルを回していくことでビジネス効果をクイックに得ることが可能です。