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エネルギー業界の変革期デジタル時代のパートナーとしてイノベーションに挑む ー 後編


宮脇良二

素材・エネルギー本部
公益事業部門統括
統括マネジング・ディレクター
宮脇良二


宮脇良二

シニア・アドバイザー
環境・エネルギー問題
竹内純子

「サーキュラエコノミー」実現に向けた支援のあり方

宮脇

この分散型電源時代における集中型電源は、原子力はさておき、火力になるのでしょうか。今後なくなることはないのでしょうか。

竹内

なくなることはないでしょう。社会にとってどれくらいが適切な量なのか、誰が責任を持って判断してその量を確保するのか、という制度設計の話になってきますが。

宮脇

アクセンチュアとしては、2つの領域で貢献したいと思っています。一つはデジタルプラント。これは高効率火力につながるのですが、IoTを導入して効率化をさらに高める取り組みです。火力発電所の運転や、そこに関わる人の最小化を含め、IoT技術を使いながら運転の最適化や高効率化をさらに進められるような支援をしていきたいなと思っています。

もう一つは、サプライチェーン全体の最適化。経済合理性から考えた時に、どの発電所を、どういうタイミングで立ち上げるのが良いか。あるいは、立ち上げた電源を、売るのが良いのかどうか。こうした判断の最適化がテーマとしてあります。




竹内

アクセンチュアが変数の中に入り、マネジメントできるようにするということですね

宮脇

はい、きっと実現できるはずです。集中型電源も分散型電源もある中での最適化となりますが、ソフトウェアとしてのエンジンの開発や検討も支援できるだろうと思っています。




竹内

運転の最適化や効率化に関して言うと、今までエネルギー事業者は総括原価でやっていたので、設備を壊れるまで使うことをやっていません。それが、日本の驚異的な停電率の低さにつながっているわけですが、どこまで行けばコストダウンと、電力の安定供給のギリギリのところなのか。そのノウハウが十分に蓄積されているのかというと、私は疑問を持っています。

それらをデジタル化して細かく見ると、今まで10年毎に取り替えていたパーツを分化して考えて、「この部分は10年で変えたほうが良いが、こちらのパイプは20年使える」といったことが恐らくいろいろ出てきます。そのような設備更新の最適化という点でも、相当コストダウンに貢献できると思います。

宮脇

資源の有効活用になり、地球環境に対して役立つ。そういうものをアクセンチュアでは総称して「サーキュラエコノミー」と呼んでいます。「サーキュラエコノミー」の実現に向けた支援や業務プロセスの検討が、これからいろいろとできるのではないかと思いますね。

今後、どういう社会になるのか、正直全然予想がつかない。正確には、予想はできても、当たるかどうかわからない。そういう中で、いろいろなものをつなぎ合わせて考えていく能力は、とても大事になると思います。引き出しの多さがアクセンチュアの強いところなので、ある意味、これもオープンイノベーションかもしれません。




デジタルイノベーション時代のパートナーになる

竹内

デジタル化社会において、プラント、送配電、分散型電源、全部がつながる時代になります。そこでセキュリティが重要になってくると思いますが、宮脇さんはどのように見ていますか。

宮脇

サイバーセキュリティについては、おそらく日本の電力事業者の皆さまが想像しているよりも、多くのアタックを既に受けているはずです。電力会社の幹部の方で「うちにはアタック来ていませんから」とおっしゃる方もいて非常に驚いた事がありますが、それは気づいていないだけで、ものすごい数のアタックは既に来ている。幸いにして、大事故に繋がるような制御系の侵入にこれまで至らなかったものの、もしかしたらもう侵入されているかもしれない。

今後さらに、日本が標的にされるようなサイバーアタックも増えると想像しています。もう待ったなしに電力事業者が取り込まなければいけないアジェンダだろうなと思っていますし、コストの問題はあるにせよ、しっかり今から対策を打つべきです。

その意味でも、北米やイスラエルだとか、そういうところの連携は重要で、さらにはエネルギー事業者社内に、しっかりとサイバーセキュリティの専門家を育成していかないといけない。しかも想像している以上の人数が必要になる。アクセンチュアとしては、サイバーセキュリティの専門家の育成もですが、一緒に取り組んでいくというところを重要視しながら、さまざまなご支援をしていきたいと思っています。

特に、アクセンチュアは北米で最先端のセキュリティ会社をいくつか買っているんですね。それらの知見を日本に持ち込まないと、日本の電力網に対する危機をサポートできないのではないかと危機感も抱いています。

電力網だけじゃなく、発電も同様です。サイバーアタックは日々起きている。さらにビットコインなど電子マネーの時代になってきた時には、金銭的な損害も簡単に受けるようになるでしょう。

ところで、最近非常に重要だと考えていることとして、サイバーセキュリティにしても、デジタルにしても、これからは「内製化」が求められる時代です。デジタルの時代には、自社で人材を抱えていないと対応できない。言い方を変えると、今までのシステム開発は、仕様書を作成してベンダーに投げ、返ってきたものを受け入れる技術が社内にあれば問題がなかった。

これは、数年という長いサイクルの中だからできたことで、デジタルの時代には数ヶ月単位でサービスを導入していかなければいけない。あるいは、試しながらサービスを作っていかないといけない。そういう点で「内製化」は必須となってきます。




竹内

なるほど。サイクルが短くなり、波のようになっていく感じですね。




宮脇

はい。それが、デジタル化社会の一つの特徴です。そのためには、やはり「内製化」が一つのキーワードになると思います。つまり、今までとITプレーヤーとの関わり方が変わるわけですね。

そこで、事業者と業者という上下関係から、一緒に取り組んでいくパートナーに変わる。パートナーシップの時代にITが大きく変わりつつある。パートナーシップを組みながら、事業者側は自社で対応できる人材を育成していかないといけない、という時代になるのだと思います。

サイバーセキュリティの分野も、デジタルの時代もそう。そこでアクセンチュアは、「デジタルイノベーション」と掲げて、グローバルの様々な場所にお客様と一緒にイノベーションを起こす施設の構築を急いでいます。日本ではイノベーションハブという空間をつくりました。海外でも例えばアイルランドに「The Dock」という空間をつくっています。そこにはAIの専門家がおり、デザイナーやアナリティクスの専門家もいる。隣には違う事業者がいたり、オープンイノベーションができたり、そのようなことをやろうとしています。アクセンチュア自身も今大きく変わろうとしているのです。

お客様の「パートナーになりたい」と私は思っていますし、「なれる」というのが一つの方向性。そのため、私たち自身のシステム開発や方法論を変えようとしており、「_FORM_」という方法論を導入しようとしています。「The Dock」はいろいろな専門家が集まっている場所で、「_FORM_」はデザインシンキングとアジャイルをベースとしたシステム開発方法論です。そういうことを試みながら、「お客様のパートナーになろう」というのが今のアクセンチュアの方向性ですし、先ほどの分散型電源や新しい需給構造、電力業界とモビリティの融合などに対して貢献できるような体制、方向性を試行しています。

一緒にパートナーシップを組みながら、最適化社会だとか低炭素化社会に貢献できるんじゃないかなと思っています。