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データサイエンティストの不足への対応策:外部リソースの有効活用

データ活用の重要性がますます高まる中、データサイエンティスト不足への有効な対策が外部リソースの活用です。

圧倒的に不足するデータサイエンティスト
激しさを増す人材獲得合戦

 

デジタルコンサルティング本部
アナリティクス部門
マネジング・ディレクター
林 素明

デジタル化の潮流を受けて、様々な産業が大きく変貌しつつあります。IoTをテコに新規分野に攻め入ろうとする企業もあれば、新たなプレイヤーの出現により危機感を高めている企業もあるでしょう。いずれにせよ、データの活用は避けて通れないテーマです。新たなサービスを創出する、あるいは既存ビジネスの強化を図る上で、カギを握るのがデータです。

いうまでもなく、データを蓄積するだけでは価値は生まれません。企業の持つデータ量が急増しているいま、アナリティクスの重要性は高まるばかりです。

多くの企業がデータ活用を通じて、新たな価値創造への取り組みを加速する際、大きな課題がアナリティクスを担うデータサイエンティストの不足。これは日本だけでなく、世界的な傾向です。

では、データサイエンティストとはどのような人物でしょうか。一般的に認知されている人材像はコンピュータサイエンスや統計、数学などのバックグラウンドを持つ専門家でしょう。アナリティクスの最先端技術を駆使して、膨大かつ複雑なデータを扱い分析することで、何らかの有益な示唆を導き出せる人材です。

データサイエンティストには多様なスキルが求められます。統計や定量分析、ツールに関する高度な知識はもちろん、年々新しくなるプログラミング言語や大量データ処理の技術にもキャッチアップしなければなりません。現実社会の問題を解決するためのモデル作りには、業界知識やビジネスの勘所を押さえている必要もあります。加えて、分析から得られた示唆を他部門の人たちに伝えるために,コミュニケーションやビジュアリゼーションの能力も欠かせません。

オンライン人材会社のモンスター・ワールドワイド社のデータサイエンティストであるジャン・ポール・イッソン氏が述べるように、データサイエンティストとは「単にデータを解釈するだけでなく、ビジネス上の課題、データから有意義かつ実行可能な示唆を得て、役立つ発見をビジネスサイドへ伝える人物」なのです。

しかしながら,優秀なデータサイエンティストの獲得は極めて困難です。アナリティクスの最先端国であるアメリカにおいても,グーグルやアマゾンといった一握りの一流・先進企業でない限り,トップクラスの人材を採用できないのが現状。先端的IT企業や業界のトップランナーは、様々な工夫や仕掛けを導入して、激しい人材獲得合戦を繰り広げています。

先端的IT企業や業界のトップランナーの場合
コンペティションも活用して、人材獲得のルートを強化

最近、欧米企業の先端的IT企業や、業界のトップランナーの間ではコンペティションを有効活用しようという動きが広がりつつあります。コンペティションによって特定の課題を解決するだけでなく、優秀な人材の獲得につなげようとしているのです。

コンペティションにいち早く注目した企業として有名なのが、米国の映像ストリーミング配信事業会社「Netflix」です。2006年当時、DVDレンタルが事業の主力だった同社は、会員の好みに応じた作品を推薦する独自のレコメンデーションシステム「Cinematch」の精度を改善するため、優勝チームに100万ドルの賞金を提示して「Netflix Prize」というコンテストを開催しました。*1

186ヶ国から参戦した4万チームは1億件の匿名データを受け取り、レコメンデーションシステムのアルゴリズムを競いました。最優秀のアルゴリズムは、既存システムに対して10%以上高い精度を実現。これを採用して、Netflixは売上を増加させることができました。同社のレコメンデーションアルゴリズムは革新的に進歩し、一流国際会議において複数論文が採択されています。(その後、ストリーミング配信が主流になったため、「Cinematch」はその役目を終えました)

データサイエンティストと企業との出会いの場も生まれています。米国のベンチャー企業、Kaggle(2017年にGoogleが買収)はGEやWalmartなど多くのグローバル企業を顧客に持ち、こうした企業が提供するデータセットと世界中のデータサイエンティストをつないで、オープンイノベーションを支援しています。

NetflixやGEは多くのデータサイエンティストを社内で育成していますが、内部リソースだけに頼るのではなく、コンテストなどを通じて外部の知恵を積極的に取り込もうとしています。また、コンテストで実力を証明し、コンテストを呼びかけた企業に誘われて入社を決めるデータサイエンティストも少なくありません。

データサイエンティストの不足を解消するにあたって、こうしたトップランナーと同じレベルの魅力的な環境や、個々人の能力に見合った報酬を提供するのは容易ではありません。では、人材不足、スキル不足という課題を抱えている多くの企業は、この課題に対していかに向き合うべきでしょうか。

人材獲得・育成に課題を抱える一般的な企業の場合
データ分析部門変革における最初のステップ:効率化

トップランナー以外の多くの企業においても、人材の獲得や育成をは急務であり、アクセンチュアは各社固有の状況(事業における分析業務の位置づけ、実現までのスピード感、内外製方針、組織・人事制度の柔軟性など)を踏まえたうえで、様々な変革の支援実績がございます。一般的な企業におけるデータ分析部門の変革ステップは大きく2つに分けられます。

1.分析業務を徹底的に効率化するため、分析業務の定型化・セルフ化(コンサルティング・アウトソーシングの活用)

2.保有データを利活用した既存事業の抜本的変革・新規事業の創出(社外データサイエンティストのスキル・先端アセットの活用)

人材獲得・育成に課題を抱える一般的な企業の場合 データ分析部門変革における最初のステップ:効率化

一般的な企業における分析プロセスには、定型分析やアドホックに行う随時分析、新規事業の創出・既存事業の抜本的変革に向けた高度なモデリングなどの業務があります。しかし、実態はどうでしょうか。ユーザ部門からの様々な「分析依頼」、実際のところはデータ加工集計作業に追われているデータ分析部門が多いように見受けられます。そのような環境の中で、自社のデータ分析部門の力を最大限活用して事業の競争力を高めるためには、限られた自社の分析人材が行っている業務の棚卸しが欠かせません。そのうえで、1.分析業務の徹底的な効率化により貴重な時間を捻出し、2.外部の専門家の力を活用しながら、自社の事業の抜本的変革、新規事業の創出に向けて動きだす必要があります。 定型分析については、事業としてモニタリングすべきKPIの明確化が最初のステップ。本当に可視化が必要な指標だけに絞りこむことが重要です。現状では、多くの企業がエクセル等を用いた定形レポートの作成に膨大な工数をかけています。このようなプロセスをオンラインのツール上に移行し、レポート作成業務を自動化・外部化することで工数の大幅な削減が可能です。 アクセンチュアは様々な形で分析業務の効率化・自動化を支援しています。必要に応じて、あるべきレポート体系・フォーマットを定義する、あるいはエクセルレポートのツール化の支援も行っています。また、業務全体をBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)として、 一括受託することも可能です。 業務部門から求められる随時分析への対応が、データ分析部門の負荷を高めている現状の見直しも重要です。課題解決の方向は、業務部門の分析力を底上げするとともに、セルフ化ツールを整備すること。分析業務のセルフ化により、業務部門は仮説検証のPDCAサイクルを高速化し、事業のさらなる強化を図ることができます。一方、業務部門からの分析依頼が減ることで、データ分析部門はより高度な分析にシフトすることができます。このような手法により分析業務の効率化を進めたうえで、事業の競争力強化や新たな価値づくりへの貢献を目指す。既存事業の抜本的変革、あるいは新規事業の創出をサポートする分析部門へと生まれ変わるのです。 アクセンチュアはツールの導入やトレーニングをサポートする一方で、分析手法や報告の仕方などユーザ部門の意識・業務の変革をナビゲートし、定着化モニタリングの支援も行っています。

データ分析部門変革における次のステップ:高度化
アクセンチュアのデータサイエンティストとアナリティクス分野のアセット群の活用

既存事業の抜本的変革、新規事業の創出は容易ではありません。そのためには、外部のトップデータサイエンティストの力と、最先端のアセットを最大限活用する必要があるでしょう。

優秀なデータサイエンティストにとって、現状は極端な売り手市場です。こうした人材が職場を選ぶ際、重要なポイントがいくつかあります。報酬だけではありません。

「どのようなデータセットを扱えるか」「チャレンジングな課題はあるか」「優秀な仲間がいるか」「新しいアルゴリズムに触れられるか」などの要素が、データサイエンティストにとって大きな意味を持ちます。

クライアントから多種多様なデータセットと課題が持ち込まれるアクセンチュアはこれらの条件を高いレベルで満たしており、このことが人材の厚みにつながっています。また、MIT等の大学や研究機関とのアライアンスを通じて最先端のAnalyticsを取り入れ、実ビジネスに適用してきました。こうした活動で中心的な役割を担っているのが、アクセンチュアが世界23ヶ所以上に設置したAnalytics Center Of Excellence(専門家集団)です。

クライアントとともに多数のアナリティクスプロジェクトを推進することで、アクセンチュアの保有するアセット群は進化し続けています。これを活用し、世界レベルのベストプラクティスを迅速に提供することも可能です。

アセットの一例が、Accenture Insights Platform(AIP) *2です。これはクラウドベースの分析基盤のマネージドサービスで、手続き開始から1-2週間で利用可能。分析処理における各レイヤ(Cloud・Storage・ETL・Analytics・Visualization)の機能を有し、OSSを中心とした最新且つビッグデータ処理が可能な環境を提供します。

また、自動車などのエンジンや各種機器から取得したセンサーデータを分析し、時系列データの特徴を短期間でとらえることができるAccenture Model-building Engineもあります。これは時系列データから自動生成した多量の特徴量をもとに、重要なものを自動で選択する波形特徴量抽出エンジンで、現在特許出願中。予防保守や修理サービスの効率化などの用途に適用され、すでに多くの企業にて成果をだしています。

幅と深みを増すソリューション
豊富なデータを持つ企業との協業も推進

データサイエンティスト不足という課題に対するアクセンチュアのソリューションは多種多様です。分析業務の定型化・セルフ化をコンサルティング部隊が支援し、分析業務の徹底的な効率化を推進する。また、分析業務のアウトソーシングサービスを提供するとともに、トップデータサイエンティストと先端アセットを生かして、企業が保有するデータを利活用した既存事業の抜本的変革・新規事業の創出の支援などを行っています。

新たな取り組みとして、アクセンチュアのアナリティクス領域におけるブランドと豊富なデータを保有する企業のデータセットとを組み合わせ、データサイエンティストを中心とする人材採用力の強化、分析ノウハウの内部蓄積及び高度化を推進するという試みも始めています。その一例が、KDDIとアクセンチュアが共同で設立したARISE analytics*3 です。ビッグデータ分析に特化した専門家集団としてJV(ジョイントベンチャー)に参画し、アナリティクスによる既存の事業の高度化や、ネットと実店舗を融合させる「オムニチャネル」の推進やIoT関連の事業創出などを手掛けています。

アクセンチュアはアナリティクス分野への取り組みはその幅と深みをさらに増し、データ活用の高度化を急ぐ企業をサポートしていきます。

*1:Netflix Prize, http://netflixprize.com/index.html , 《最終閲覧日》2017/09/07

*2:AIP:Accenture Insights Platform, https://www.accenture.com/jp-ja/service-accenture-insight-platform

*3:ARISE analytics: https://www.accenture.com/jp-ja/company-news-releases-20170314

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