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「Digital Consumer」調査レポート――デジタル消費者と向き合うために

世界24カ国を対象に実施した2015年の調査結果から、デジタル家電やその周辺業界が大きな転換点を迎えていることが明らかになりました。

概要

イノベーションから改良/改善へ、さらに改良/改善からイノベーションへというサイクルを幾度も繰り返してきたデジタル家電を中心とした業界は今、新たな転換期に直面しています。「モノのインターネット(IoT)」が急速に普及し、さまざまな端末機器が人々の暮らしのあらゆるシーンとつながるようになった今、新たなシフトと舵取りが、始まろうとしています。

通信・メディア・ハイテク企業を対象とした「2015 Accenture Digital Consumer Survey」では、世界24カ国2万4000人の消費者がアンケートの対象となりました。同調査レポートの結果、デジタル時代の消費者にとって次世代のインテリジェント端末機器はますます暮らしに欠かせないものとなっており、新たな“コネクテッド・ワールド”が秘めている可能性に大きな期待が寄せられていることが明らかになりました。しかしながら、家電メーカーや通信事業者が消費者の信頼を獲得し、アーリーアダプター(新製品やサービスの市場投入時の初期段階からの購入者層)をさらに促して、本格的な普及を目指すには、以下の3つの課題に取り組む必要があります。

  1. 箱を開けたらすぐに使える、かつてない顧客体験を提供する。

  2. 強力なデジタル・ブランドを構築して、競合がひしめく市場で優位性を獲得する。

  3. 消費者からの信頼を支える高度なセキュリティとプライバシーの保護を実現する。

転換期を迎えるデジタル家電業界

今回の調査から、今まさにデジタル家電やその周辺業界が大きな転換期を迎えていることが明らかになりました。多種多様なデジタル端末機器に対する消費者ニーズと購入意欲は、依然として世界的な高まりを見せています。また、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、HDTV(高精細テレビ)のいわゆる「ビッグ・フォー」は、これからもデジタル市場の消費者の購入計画のトップの座に位置するものと考えられます。昨年同様、消費者の1/4~1/3程度は、すでに所有している製品カテゴリーで新たなデジタル端末機器を買う計画があると回答しています。

しかし消費者の購入意欲を見る限り、成長のペースは鈍化する恐れがあり、特にタブレットのような成熟したデジタル端末機器と成熟市場では、その傾向が著しくなると予想されます。2015年にかけて、調査対象となった13製品のうち9製品については、購入を計画している消費者の割合が減少する見通しです(図1を参照)。このことは、以下のような調査結果にも示されています。

  • 2015年にタブレットの購入計画がある消費者は38%で、2014年の44%から減少。

  • HDTV(高精細テレビ)の購入計画がある消費者は36%で、同44%から減少。

  • スマートフォンの購入計画がある消費者は54%で、同58%から減少。

総支出に占めるデジタル家電製品の割合を購入計画に基づいて測定したところ、大部分の消費者が昨年と同程度と考えていることが分かりました。しかし、2015年に購入計画を見直すつもりであると答えた消費者のうち、支出を増やすという回答が16%だったのに対し、減らすという回答が20%と上回る結果になっています。

各国別にみると主要なデジタル端末機器に対する購入計画は、インド、ブラジル市場で昨年より10%近く減少している一方、中国市場は依然として旺盛で高い購入計画が見られます。日本市場では前年と同程度の購入計画となりましたが、世界平均とのギャップは拡大するばかりで、かつて新製品へのアーリーアダプター率が高かった市場は様変わりしつつあるようです。

【図1 購入計画:以下の製品カテゴリーについて、向こう1年間での消費者の購入計画】(画像をクリックすると拡大画像が開きます)

次世代のインテリジェントなデジタル機器、そしてネットワーク機器は、より成熟したデジタル機器に比べると所有率および購入計画が依然として低いものの、市場を拡大する牽引力があります(図2を参照)。既に保有している製品群にこうした新たな製品を加えたいという消費者ニーズは確実に存在し、製品カテゴリーによっては消費者の暮らしの身近な必需品になり得ると考えられます。

  • 来年中にウェアラブル・フィットネス・モニターの購入計画がある消費者は12%。5年以内では40%。

  • 1年以内にスマートウォッチの購入計画がある消費者は12%。2020年まででは41%。

  • 5年以内にコネクテッド・サーベイランス・カメラ(監視カメラ)の購入計画がある消費者は41%。

  • 2020年までにスマート・ホーム・サーモスタットおよびウェアラブル・ヘルス・デバイスの購入計画がある消費者は39%。

  • 2020年までに車載エンターテインメント・システムの購入計画がある消費者は37%。

成熟しつつあるデジタル端末機器の購入計画が減少する一方で、次世代のインテリジェントなデジタル機器の購入計画は上昇傾向にあり、大きな転換の波に直面しつつあります。そして、企業は、新たな市場で勝利を収めるためにはどのような新製品やサービス、インテリジェント・ネットワークを提供するべきか、現在模索しながら市場投入を狙っています*1。

【図2 インテリジェント機器/ネットワークの所有率と購入計画:現在、以下のインテリジェント製品のいずれかを所有していますか? また、これらの製品を今後購入する計画がありますか?】(画像をクリックすると拡大画像が開きます)

*1 新たなコネクテッド・ワールドおよびIoT の詳細については、「Industrial Internet of Things が実現する新たな成長」を参照。

箱を開けてすぐに使えるデジタル機器

このような転換期にあって、業界は今、成長の痛みを実感しつつあるようです。特に、「箱を開けてすぐに使える」という顧客体験の提供は大きな課題をかかえています。調査においては83%以上ものインテリジェント製品の購入者が、製品の操作が難しい、複雑すぎて使いこなせない、適切な設定に苦労する、広告/告知通りの使い方ができない、インターネットに接続できないといった不満を感じていることが明らかになっています。これらの不満はいずれも、消費者が新たに購入したデジタル製品の箱を開けた直後から発生しています(図3を参照)。

調査結果では、ウェアラブル・ヘルス・デバイスの使用時に不満を覚える消費者の割合が際立っています。たとえば、以下のような内容です。

  • 24%は操作が複雑すぎると回答。

  • 22%は適切な設定ができないと回答。

  • 21%は広告通りの使い方ができないと回答。

スマート・サーモスタットおよびウェアラブル・フィットネス・モニターも同様で、操作が複雑すぎるという回答がそれぞれ23%、20%に上りました。

【図3 インテリジェント製品全般にみられる使用時の不満:使用時に、以下のような不満を覚えましたか?】(画像をクリックすると拡大画像が開きます)

消費者が次世代のインテリジェント製品の購入において最も重視するポイントが「使いやすさ」であることを踏まえると、使用時の不満は極めて大きな問題です(図4を参照)

  • 33%は「使いやすさ」を最も重視

  • 29%は「特性や機能」を最も重視

  • 28%は「信頼できるブランドであること」を最も重視

用途が特化された新たなデジタル製品を、アーリーアダプターによって購入される初期段階からその後の普及段階へと移行させ、市場における潜在的な可能性を100%開花させるためには、業界はこうした不満にいち早く対応しなければなりません。もし、それができなければ、消費者のイマジネーションを掻き立てることができても、納得のいく購入を促して満足度とロイヤルティの高い顧客を獲得することは不可能です。アーリーアダプターは、より大きな市場に向けて多大な影響力を持ってる消費者層と言えます。ですから、ひとたび彼らが不満を訴えれば、その後の普及と市場拡大を阻害する大きな壁となります。特にソーシャルメディアや口コミが購入の意思決定に大きな影響を与えるデジタル市場では、アーリーアダプターを十分に満足させることができなければ、その後の製品の普及は望めません。

【図4 インテリジェント製品の購入意思決定において重視する要素:次世代のインテリジェント製品の購入を決める際、以下のどの要素を最も重視しましたか? または今後重視しますか?】(画像をクリックすると拡大画像が開きます)

既に普及しているデジタル端末機器と比較すると、スマートウォッチやウェアラブル・フィットネス・モニターといった次世代のインテリジェントなデジタル機器製品に対しては、より高い注目度と購買意欲が見られ、新たな市場を創出する力を秘めている魅力ある製品カテゴリーになりつつあるようです。特に日本市場における購買決定要素としては、特性と機能、使いやすさ、そしてデザイン性への高い志向がみられ、他国と比較すると市場の特性と消費者のユニークな志向が顕著です。製品ブランド力、バッテリー容量も重要な要素のようです。中国では、機能重視に加えて製品ブランド力、そして使いやすさが重要な判断材料という結果になりました。

ブランドの重要性:消費者の心をつかむ

デジタルの潮流の中、コンシューマー・テクノロジーを取り巻く業界では、より消費者に受け入れられやすいフォルムや特性の開発、あるいは機能の改善といったイノベーションに最大の焦点が当てられています。

イノベーションとそれがもたらす差別化はもちろん重要ですが、ブランドも同じくらい大切な要素です。ブランドに対する好感度は、消費者が新しいデジタル機器を購入する際の主な判断基準となっています(図5を参照)。事例の1つとして、ある特定のブランドからスマートフォンを購入する場合、そのブランドを選ぶ主な理由を尋ねたところ、次のような回答が得られました。

  • 49%:そのブランドが好きだから

  • 32%:そのブランドの製品をすでに所有しているから

  • 32%:製品のデザイン(ルック&フィール)が好きだから

消費者のブランド選好の観点で見ると、現在のスマートフォン市場においては、特定の2つのブランドが多くの消費者の支持を集める2大ブランドともいえる状況が生まれています。今回の調査においても、回答者の37%はサムスン電子を、24%はアップルを支持しています。

ブランドの構築は困難な課題であると同時に、不可欠な課題でもあります。市場は常に変化を繰り返し、多数の競合がひしめきあっています。そして、新たなデジタル端末機器の製品カテゴリーが次々と生まれる中、この傾向はますます強まるばかりです。多数の選択肢が存在するからといって、消費者の認知の幅はそれらの選択肢すべてに好感を持つほど広くないのは明らかです。そのため市場における明確な優位性を確立することは、かつて経験したことの無いほどの難しさが伴う事になります。ブランドのライフサイクル、すなわち製品のルック&フィール、デザインの美しさ、消費者へのエンゲージメント、カスタマーサポートを通じたブランド・マネジメントは、企業が装備すべき必須の能力なのです。

日本市場においても、国内メーカーの携帯電話市場からの撤退もあって、上記2つの海外ブランドは既に消費者の間に深く浸透しています。今後は、アジアの新興ブランドを中心とした安価は製品も続々と市場に投入されるため、その勢力図が大きく変化することも考えられます。また、新しくてユニークな音声、メッセージングなどの各種アプリケーションを搭載した携帯端末も投入されているため新たな市場機会を創造することになりそうです。加えて、スマートフォンといったデジタル端末機器を消費者の手元に届ける通信事業者のブランド力も大変重要であることには変わりありません。

【図5 消費者が特定のスマートフォン・ブランドを選ぶ理由:特定ブランドのスマートフォンを購入しようと考える主な理由は何ですか?】(画像をクリックすると拡大画像が開きます)

デジタル環境への信頼確立

多様なインテリジェント製品へのアクセスが可能になった結果、消費者は自らの消費行動を積極的に自己管理し、暮らしの中のデータを活用して、より良い意思決定が行えるようになっています*2。

それゆえに、セキュリティやプライバシーに対する懸念は高まるばかりで、止むことのない大きな課題です。

これは企業にとって大きなチャンスであると同時に、両刃の剣にもなり得ます。セキュリティ侵害は昨年も頻繁に発生しており、デジタルな生活の中で収集される個人データの量に対して消費者の関心が高まっている今、デジタル・セキュリティやデータ・プライバシーに対する懸念は高まるばかりです(図6を参照)。

こうした状況を踏まえれば、確立されたブランドのほうが大きな信頼を得られるのは当然でしょう。調査の結果、世界のハイテク業界の中で最も大きな信頼を得ているのは、グーグル、フェイスブック、マイクロソフトの3大ブランドでした。しかし全体的に見ると、消費者は日頃から定期的に接点のある企業(たとえば、銀行や公共事業主)に対して、より大きな信頼を寄せる傾向があります。消費者の約30%は、個人情報の保護という観点から最も信頼を置いている3つの企業の中で現在取引のある銀行を挙げています。

新たな“コネクテッド・ワールド”において消費者が必要とするのは、新しいデジタル製品が安全に、期待通りに動作するかという単なる安心感だけではありません。消費者は、新しいデジタル製品が一連のネットワーク環境のどの部分においても問題を引き起こさないという安心感を強く求めているのです。

回答結果から、日本市場に特徴の一つとして、購入時やインターネット使用時などで、個人のデータ・プライバシーやセキュリティに対して不安をいただいている消費者が回答者全体の半数以上を占めているといった結果になっています。こうした結果は、前年と比較すると解消される傾向にはありますが依然として大変高い数値を示しています。

【図6 セキュリティおよびデータ・プライバシーに関する考え方:インターネット上での個人データ(例:メールアドレス、携帯電話番号、住所、クッキー、購入履歴)のセキュリティに関して、以下のどちらが最もよく当てはまりますか?】(画像をクリックすると拡大画像が開きます)

*2 「クオンティファイド・セルフ(quantified self)」についての詳細は、「Racing Toward a Complete Digital Lifestyle: Digital Consumers Crave More」を参照。

講じるべき対策

デジタル社会の消費者に購入を促すには、企業は消費者の心の中に秘めた3つの扉を開けなければなりません。

  • 利便性
    インテリジェントなデジタル製品やIoTについては、日常生活に大きな利便性をもたらすものであることを市場に上手く伝えられなければ、企業は消費者の関心すら獲得することができないでしょう。現在のところは、市場投入の初期段階にあるアーリーアダプターに対しては利便性をアピールできているようです。業界は、市場で徐々にポジションを確立し、次に本格的な市場拡大につながる広い消費者層を対象として、日常生活を豊かにする利便性をさらに訴求していくことが必要です。

  • 直感
    新製品が既存製品よりも格段に優れていることを各企業が示さなければ、消費者は買い換えの検討すらしないでしょう。IoTにおける製品やサービスには、消費者が直感的に「ぜひ、買いたい」と思うような「驚き」の要素が不可欠です。現在のところ、企業は各種デジタル製品の潜在能力を巧みに消費者にアピールできており、特にアーリーアダプターにはうまく訴求しています。今後は消費者の心に響くメッセージを更に強化して行動を促し、彼らが新しい製品にじかに触れ、「直感」でその素晴らしさと凄さを認識できるような対策を講じる必要があります。

  • 確信
    消費者は購入を決める際、「確信」を必要とします。適切な製品である、適切なブランドである、仮に技術的には洗練されていなくても期待通りに動くという「確信」が消費者心理として存在しなければ、購入に至ることは難しいでしょう。

デジタル製品や、そのネットワークの普及を、アーリーアダプターの段階からより広範な消費者層へと移行させるためには、企業は「利便性」、「直感」、「確信」という3つの消費者心理の扉を開かなければなりません。非常に難しい課題ですが、確信の扉に至る過程において、デジタル家電や機器メーカー、そして通信事業者等は、次に述べるようなアクションを起こすことが不可欠となります。

かつてない顧客体験を構築する

「第一印象は覆せない」ということわざは、特にデジタル家電メーカー各社が消費者に新たなカテゴリーのデジタル製品を紹介する際によく当てはまります。

消費者との全ての接点において耳を傾け、常に顧客体験を向上することに注力することが必要です。

「箱を開けてすぐに使える、かつてない体験」の提供は、用途が特化されたデジタル製品の開発者にとってはとりわけ重要です。直感に訴えて消費者の心をつかむ顧客体験は、製品のバンドル化だけではなく、パッケージングの段階においても欠かせません。このような顧客体験を提供するには、セールス、マーケティング、エンジニアリング、およびサポート部門の連携を改善する必要があります。場合によっては構想段階にいったん戻って、より統合的かつデジタル特性に優れた実践的な戦略への見直しを行うことも必要でしょう。

かつてない顧客体験を提供するには、消費者が不満を覚えた時にすぐに対応することも不可欠です。そのためにはカスタマーサポート体制を見直し、かつてない数々のサポートの提供を実現しなければなりません。たとえばソーシャルネットワークにおける消費者の意見に耳を傾けることで、彼らが製品にどのような感想をいだいているか、従来知ることができなかった情報を得ることが可能となります。ソーシャルネットワークを介して得られる外部情報と、社内のカスタマーサポートを介して得られる内部情報を統合することによって、企業はカスタマーサポートを一層改善するための主なポイントを特定できるでしょう。また、こうした一連の行動によって製品開発サイクルを改善し、業務サイクル上の問題点の長期的な修正も可能となります。

日本国内においても、音楽、写真、動画など大量のデータやアプリケーションを使用する際、クラウドベースのストレージサービスを利用している消費者が大変増え続けています。こうした様々な消費者との接点においても、常に顧客体験を上手にとらえて向上させることが不可欠です。

顧客ライフサイクルを通じてアナリティクスとデジタル・サイエンスを活用し、業界をリードするデジタル・ブランドを構築する

デジタル・ブランドを構築するには、製品ライフサイクル全般を通じた真のエンドツーエンドの体験を提供しなければなりません*3。

消費者の心をつかみ、ブランドを構築するにはまず、製品の発見から調査、試用、価格交渉、最終的な購入に至るまでの、消費者の購入プロセスを正しく理解する必要があります。この理解をもとに適切な購入体験を設計して、まず消費者をオムニチャネルの購入プロセスへと促し、さらに購入後の顧客ライフサイクルにおいてかつてない顧客エンゲージメントを確立しなければなりません。このように統合的な顧客体験を提供することで、企業は競合との差別化やロイヤルティの高い顧客の獲得、製品アドボカシーの促進を実現することができるでしょう。

デジタル・ブランドの開発においては、アナリティクスも重要な柱となります。企業はアナリティクスを活用することで、消費者をより適切にセグメント化してターゲティングを行えるようになります。これにより消費者に適切なメッセージを伝え、コミュニケーションの有効性を測り、マーケティングの投資利益率を測定することが可能です。また、現在では新たなビジネス・チャンスや広告以外に消費者に訴求する方法を特定するためにも、デジタル・サイエンスが活用されています。

特に分断化が激しく競合がひしめく市場においては、ソーシャルネットワークにおける消費者の意見に耳を傾けて彼らとのエンゲージメントを確立しなければ、ターゲット・セグメントに確実に到達し、マーケティングの高い投資利益率を達成することは不可能です。企業は適切な投資を実行することで、適切な分析能力を開発し、消費者をセグメント化して適切なメッセージを伝え、効果的にエンゲージメントを確立できることでしょう。

*3 スマート・デジタル・サービスが現実世界に及ぼす影響、および顧客体験におけるその重要性についての詳細は、「Trends 2015: Trends Impacting Design & Innovation」を参照。

デジタル環境への信頼を構築する

消費者の直感に訴え、さらに確信を抱かせるには、ブランドはデジタル環境への確かな信頼を構築しなければなりません。

そのためには、すべてのデジタル製品およびサービスの設計と開発において、セキュリティの側面を念頭に置く必要があります。また、プライバシーやデータ管理、情報提供者に対する価値の提供、取得情報に関する説明責任といった問題にも考慮しなければなりません*4。

デジタル環境への信頼を構築するには、エンジニアリングの段階からその設計に十分留意することが大切です。製品とクラウド環境に必要なファイヤウォールを設置して、消費者が安心して製品を使用できるようにしなければなりません。また、消費者が製品の設定時のセキュリティ関連の選択について、方針を固めておくことも欠かせません。セキュリティ関連の設定機能やメリットは多岐にわたりますが、当然ながらセキュリティ侵害の恐れも生じます。消費者は、メリットとデメリットを理解した上で妥協点を見いだし、適切な決定を下した上で、製品を最大限に有効活用しつつ、一定の保護を維持したいと考えています。直感的なユーザーインターフェイスにより、消費者がこれらの選択と設定を容易に行えるようにすれば、消費者はデータ・プライバシーとセキュリティと、そのメリットのバランスを考えながら、デジタル製品とそのブランドへの信頼を築くことができるでしょう。

*4 デジタル環境への信頼に関する詳細は、「The Four Keys to Digital Trust: Don’t Be Left Behind」を参照。

顧客エンゲージメントの確立に向けて

顧客エンゲージメントの確立に向けた戦いは熾烈です。業界は現在、消費者にインテリジェントなデジタル製品の利便性を示し、アーリーアダプターに直感的な購入を促しています。そこから更に広く訴求し、普及を促進するには、消費者の購買心理に確信を植え付けることが大切です。適切な製品/サービスであるという確信、適切な体験が得られるという確信、ふさわしいブランドであるという確信がなければ、消費者は購入行動に移りません。顧客のライフサイクルを通じてアナリティクスとデジタル・サイエンスを活用し、製品/サービスの購入前段階からそのライフサイクル終了時に至るまで、満足できる顧客体験を提供し、デジタル環境への信頼を構築することによって、デジタル家電メーカーや関連企業は強いデジタル・ブランドを確立できるでしょう。こうすることで、競合ひしめく市場で突破口を見いだし、業界のリーダーへと成長し、そして新たな“コネクテッド・ワールド”へのシフトを果たすことができるのです。

本調査レポートについて

本調査は2014年10月から11月にかけて、世界24カ国2万4000人の消費者を対象にオンライン上で実施されました。対象国はオーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、チェコ共和国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、ポーランド、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、アラブ首長国連邦、英国、米国です。

各国におけるサンプルサイズは各国のオンライン人口に基づくものであり、回答者の年齢は14歳から55歳超です。調査は、デジタル端末の使用方法、デジタル端末の所有に対する意識や期待感、コンテンツ消費、ブロードバンドに対する制約、デジタルに対する信頼感、「モノのインターネット」(IoT)などについて、投票形式で行われました。