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破壊的イノベーションと
ビジネス革新

現代ほど混迷している時代はない と言われます。それを象徴する キーワード「VUCA」とは何か、そ してこの時代の変化を乗り越えるためのイノベーションのヒントを 加治慶光が解説します。

世界中に押し寄せる「VUCA」の波

アクセンチュア株式会社
チーフ・マーケティング・
イノベ―ター
加治 慶光

近年、「VUCAの波」という言葉を耳にする機会が増えています。

VUCAとは

Volatility(不安定)

Uncertainty(不確定)

Complexity(複雑性)

Ambiguity(曖昧性)

の頭文字を並べたもので、「先行きの不透明さ・不確実さ」を表わす軍事用語として1990年代のアメリカで登場しました。

先行き不透明という点では、昨年はBrexit(イギリスのEU離脱問題)やトランプ大統領の当選、中国経済の急減速などが起こりました。我々の時代がVUCAになりつつあるという点は間違いありません。VUCAの時代になりますと、UberやAirbnbといった新しい起業家が登場して業績を伸ばし、社会が変わっていく印象を持ちます。一方、伝統企業はこのような時代の変化に対し、どのように対応していくべきでしょうか。

VUCA時代の戦略――ライトフットプリント戦略

VUCAの時代では、単一の事業へのフォーカスはリスクとなります。世界が流動化し、最重要地域が1カ所ではなくなったと判断したオバマ政権も、中東からアジアへの「リバランス」を実施しました。その際に彼らが選んだのは「ライトフットプリント戦略」です。ライトフットプリント戦略とは、足跡を残さないほどの俊敏さを重視し、深みにはまることを避けながら意味のあるビジネスへ一気に突っ込んでいこうという考え方です。

我が国でも20世紀には有効であった戦略が通用しなくなり、ライトフットプリントへの転換が進もうとしています。ライトフットプリント戦略を実行するうえではクラウドが非常に重要な位置を占めます。

Facebookが社内の壁に掲げている言葉「Done is better than perfect.」もそれを象徴しているでしょう。文字通り「完璧を目指すよりも、まず終わらせよ」。Facebookは多様なことを試みたうえで、「これだ」と感じたところに一気に注力する戦略を取っています。

「次の破壊はどこで起きるか?」を予測する

VUCAの時代ではデジタイゼーション(デジタル化)を無視できません。そもそもデジタイズとは何でしょうか。端的に言えば「今まで見えなかったものが見えてくる」ことです。

例えば「茶碗1杯の並盛のご飯」には、何粒のお米が入っているでしょうか? 実は約3250粒。では大盛りは? 並盛と大盛りのコストの差は? 価格差の付け方は? というように発想が広がっていきます。こうした“数字によって見えるようになる新しい世界”がデジタルの世界です。

デジタル化を象徴するキーワードは「SMACS」です。ソーシャルメディア(S)をモバイル(M)で利用しながら、アナリティクス(A)のためのデータはクラウド(C)にあり、ヒトやモノの行動はセンサー(S)でチェックされて情報として収集される。これらの情報はAIの学習に利用されて社会や人の生活へとフィードバックされる。このような時代が実現しつつあります。

さて、アクセンチュアでは過去10年以上にわたり、テクノロジー将来像の調査と発表を続けてきました(『アクセンチュア テクノロジービジョン』)。これは世界中のビジネスリーダーへの調査を通じてテクノロジーがどのよう社会を変化させるかを予測するというものです。2013年頃までは「すべてのビジネスがデジタル化する」といった予測をしていました。この年はUberやAirbnbといった“破壊者”が社会に大きなインパクトを与えた年でもあります。

“破壊者”が市場に登場し、大企業が反応する。それが続いたことで「次の破壊はどこで起きるか」という予想ができるようになってきました。これが我々の分析です。近年、世界中のビジネスリーダーが業界の垣根の消滅を確実視しながら、自社の周辺領域の開拓を進めています。

伝統的なビジネスは「業界」「業態」という概念に縛られていましたが、消費者が求めているサービスの本質を考え抜き、ユーザーエクスペリエンスを高めることで企業も自ら変革しようとしています。ソーシャルメディアの普及は企業と顧客に相互の信頼を求める一方で、消費者から得ていた信頼を一瞬によって瓦解させてしまうリスクもあります。

イノベーションは“ポッセ(同志)”と共に

VUCAの波にのまれている今、私たちはどのようにしたら破壊的イノベーションを起こせるのでしょうか。それにはまず、イノベーションとはそもそも何かを考え直す必要があります。

1958年の経済白書でイノベーションには「技術革新」という訳語があてられ、それ以来、我が国においてイノベーションは発明や特許の方向に進んでいました。しかし本来、ヨーゼフ・シュンペーターの提唱したイノベーションは「モノやコトの新しい結びつき」「新しい切り口」を意味しています。

『イノベーションのジレンマ』の著者で知られるクレイトン・クリステンセン教授は、これまで膨大な回数の「どうしたらイノベーターになれるのか」という質問を受けたといいます。その答えがまとめられた著書『イノベーションのDNA』では、彼が接してきた「イノベーターの共通項」として2つの“DNA”を明らかにしています。

①イノベーションに取り組む勇気、現状に異議を唱える危機感
②行動のスキル(実行力)

良い質問をする力、返ってくる答えを観察する力。そして、そこで発見されたことや人と人をつなぐ力。それを試してみる力。こうしたことを組み合わせて「まったく新しい結びつき」を起こす力が、革新的なビジネスアイデアになるとクリステンセン教授は説いています。

『ワーク・シフト』の著者リンダ・グラットンは、そうしたイノベーティブな生き方を実践するために自身をとりまく二つのコミュニティが重要と指摘しています。

①ポッセ(頼りになる同志)
普段は一緒でなくても、大きなプロジェクトに立ち向かうとき、声を掛ければ力を合わせてくれる仲間。
ビッグ・アイデア・クラウド(大きなアイデアの源)
自分の人脈の外延部にいる人間で構成され、たまに会うことで様々なインフォメーションやアイデアをもらえ、多様な視点を組み合わせることができるようなネットワーク。

2040年には日本の人口は1億人を切ります。日本は課題先進国として、「デジタルイノベーション」と「企業活動・雇用・国家発展」による新しい共生の姿を他国に先駆けて世界に提示できるかどうかが問われています。

アンシュタインは「今日我々の直面する重要な問題は、それを作りだした時と同じ意識レベルで解決することはできない」と語っています。今こそ我々はイノベーティブな取組みにチャレンジし、VUCA時代を共に乗り越えるポッセとして破壊的イノベーションを起こす同志になろうではありませんか。




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