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Digital Generationにおける飛躍的成長の礎となる組織・人材の在り方について

月刊「化学経済」2016年10月号:日系素材・化学企業における「Digital Transformation」 連載7

素材・エネルギー本部
マネジメントコンサルティンググループ
シニア・マネジャー 田隝 政芳
マネジャー 加勢 博康
コンサルタント 小松原 智


現在の経営にとってDigital技術は新たな脅威であるとともに、これまでにない付加価値サービスや商品を生み出す新たな利益の源泉にもなり得る。これらの利益をいち早く得て、業界内で生き残るべく、有力なグローバル企業は我先にとDigital技術を活かす自社のDigital変革の道を模索している。例えば、当社がこれまで行った欧米、中国及び日本の経営層を対象とした調査では、Digital組織(=Digital変革を遂げた組織)を自認する企業はわずか19%に留まるが、59%は今後3年間でDigital組織を目指すと回答しており、自社の抜本的な組織改革を速やかに推し進める必要があるという経営層の危機意識と、Digital組織への変革トレンドの高まりを顕著に表している。その一方で、過半数(55%)の経営層は、企業戦略をサポートするような全社レベルのDigital戦略及び組織・人材をそもそも有していない、もしくは有する場合も自社のそれが適切か否か確信はないとの回答が多数を占め、肝心のDigital組織への変革ミッションを遂行できる組織体制づくりや人材の育成・確保が課題となっている。

翻って素材・化学業界で考えると、これまでの連載各回で述べてきたように末端製品のPLCの短縮化に伴い、素材・化学品の早期利益回収が求められる中、Digital変革の必要性は他業界同様に高まっている。しかしながら、バリューチェーンで川上の石化原料~川下の農医薬品・素材などを展開する事業分野の裾野が広く、大小合わせて多数の事業部から構成される素材・化学企業において、全社でDigital変革ミッションを推進することは、自動車業界などのように事業分野をある程度、括れる他業界の企業に比べ、難易度が格段に高い。さらに、Digital技術は数カ月・数年で指数関数的にその性能が向上し、最先端のサービス・参加企業が目まぐるしく移り変わる。そのため、農薬のような化学品や炭素繊維などの素材では研究開発~収益回収までのビジネスサイクルが10~20年以上と長く、また大規模プラントの設備投資では数十年かけての投資回収も珍しくない素材・化学企業にとっては、「短期視点で成果を出す試験的な取り組みを高サイクルで回す」という発想へ投資に対する考え方を抜本的に改める必要がある。

このように素材・化学企業のDigital変革に対するハードルが高い中、全社で変革を進めるためには、既存事業と密に連携しながらも、独立した投資枠・権限を持ち、手をつけられる小さなところからPoC(Proof of Concept: 効果を実証する試験的な取り組み)を通じて速やかに構想を具現化していくといった、クイック&スモールアプローチで組織の改革機運を高めていくことが重要となる。これをミッションとして、事業横串で担うDigital専門組織を「Digital Organization」と呼ぶことにする。

本稿では、国内外のDigital変革事例を交えながら、素材・化学企業が理想のDigital専門組織を作りあげていく上での要諦として、まず第1章で当該Digital専門組織が持つべき機能・権限を定義し、続く第2章では当該組織に必要な人材・巻き込むべき組織外の協力・関係者を整理していきたい。


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