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「製品」を超えて

ソフトウェア・ドリブン・ビジネスへの変革

ソフトウェアが世界を覆い尽くす勢いは収まる気配がありません。ソフトウェアは今や、あらゆるすべての業界において競争優位性の源泉と見なされています。ソフトウェアは、企業が市場、パートナー、消費者、サプライヤーとコミュニケーションを図る上でも重要です。さらに他社との差別化やパフォーマンスの促進剤として高く期待されています

ソフトウェア・ドリブン・サービスへのシフト

ソフトウェアは、ビジネスに新たな付加価値や差別化をもたらします。ソフトウェア・ビジネスでは、アズ・ア・サービス・モデルとプラットフォーム・モデルが成功しています。クラウド・コンピューティングの世界では、セールスフォースやワークデイ、ネットスイートといった企業が市場から高い評価を得ています。また、アドビやオラクル、シマンテック、さらにマイクロソフトのOffice 365といった伝統的なソフトウェア企業も、すでに上記のようなビジネスモデルへ移行済み、あるいは移行中です。こうしたモデルの導入事例は他のITに限らずあらゆる業界でも増えています。

たとえば、自動車メーカーの大手フォードは、多数のソフトウェア・エンジニアを採用し、シリコンバレーに専任ユニットを設置しています。またGEやキャタピラーなどの産業機器メーカー大手も、ソフトウェア・ドリブンなプラットフォーム戦略(GEがインダストリアル・インターネット用に開発したプラットフォームであるGE Predixなど)を策定し、自社のビジネスモデルやマーケティング・アプローチの見直しを進めています。

コンシューマビジネスも変化しています。たとえば、アップルは2016年のサービス・ビジネスを総括して、App Storeのプラットフォームを活用したデベロッパー収益が200億ドルに達し、前年比40%以上の成長を記録したことを発表しました。このように、ソフトウェア・ドリブンなサービス・体験は、今や企業にとって真の差別化要因となっています。言い換えるなら、企業はソフトウェアとそれが支えるサービスやプラットフォーム、体験を提供することによって、市場での価値とシェアを飛躍的に拡大し続けることができるのです。

アクセンチュアの「Innovation Driven Growth: IDG(イノベーションを基盤とした成長)」調査のアプローチと手法

アクセンチュアは、8種の業界(自動車、産業機器、消費財、医療機器、エンタープライズ・テクノロジー、コンシューマー・テクノロジー、通信技術、ソフトウェア)および9つの国/地域(アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、中国、日本、韓国)を対象に、フォーブス・グローバル2000にランクインした企業の中から350社を選出し、各社のイノベーション活動と財務実績について調査しました。各社の最高技術責任者(CTO)、エンジニアリングまたはイノベーション部門のプレジデント、もしくはバイスプレジデントレベルの役職者からの回答を集約した結果、業界別の財務実績、高度なイノベーション・アプローチ、および各種ケイパビリティの観点から、参加した企業全体のトップ20%を「リーダー」として位置付けました。

「リーダー」はどのようにソフトウェア・ビジネスを塗り替えているのか

アクセンチュアの「Innovation Driven Growth」調査の結果からも、ソフトウェアへのシフトが進みつつあることは明白です。調査結果から「リーダー」の特性を各業界のフォロワーと比較したところ、イノベーション戦略と優先課題、の成果に著しい差異が見られました。

イノベーションの成功事例には、顧客体験の改善とビジネスモデルの見直しという2つの共通要素が見られました。この2つを実現し、企業を成功へと導くのがソフトウェアです。多くの企業が「ソフトウェア企業」への転換に向けた取り組みを進める中、ソフトウェアを1つの独立した部門として機能させる取り組みは急速に低迷しています。顧客にソフトウェアを直接販売するということではなく、ソフトウェアを活用して顧客に新たな体験を提供し、製品・サービスの新たなバリュー・プロポジションを確立することです。ディズニーからデルタまであらゆる企業が今、ソフトウェアで製品・サービスの多様化を実現しながら、新たな収益源を構築しているのです。

ソフトウェアは、製品の持つさまざまな特性や機能を提供するための重要なメカニズムです。しかし、リーダー達はハードウェアとソフトウェアを線引きするのではなく、2つを融合したアーキテクチャーを構築しています。そうすることで、重要な製品データを一元的に収集・連携し、全社で共通のデータモデルを活用して差別化を図っています。

イノベーションに不可欠な2つの要素
顧客体験の改善ビジネスモデルの見直し

新たなアプローチが他とは違った成果を生み出す

アクセンチュアが行った調査・研究では、ハイパフォーマンスを実現し、定量化が可能な差別化要因と、それを生み出す戦略的な意思決定が何であるかが明らかになりました。「アーリー・イノベーター(革新を初期に実現する者)」および「バリュー・メーカー(価値を創造する者)」で構成されるリーダーは、それ以外の「マーケットシェア・プロテクター(市場占有率を維持する者)」および「エフィシェント・エグゼキューター(効率性を重視する者)」と比較した場合、主な指標において4倍近く高い数値を示しています(図1を参照)。両者の違いが特に顕著な指標は、市場投入のスピード、および重要な顧客/市場トレンドを特定する能力の2つです。このことから、アーリー・イノベーターとバリュー・メーカーは、適切な製品を適切なタイミングで市場に投入できていることがうかがえます。

図2に示すように、リーダーは「イノベーション&製品開発分野でのリーダーシップ発揮」「デジタルな顧客体験の提供」「新規ビジネスの創造と統合」という3つの能力の向上に特にフォーカスしています。

もう1つ明確な違いがあります。それはアーリー・イノベーター/バリュー・メーカーにおけるイノベーション成功事例が、「新たなビジネスモデル」(図3を参照)と「顧客体験の改善」にフォーカスしている点です。どちらもソフトウェアが大きく貢献できる領域です。そして、ソフトウェア・ドリブンな企業を目指すには、ビジネスモデルと顧客体験を迅速かつ短いサイクルで改善できなければなりません。

顧客体験の改善、新たなビジネスモデル構築、迅速な改善サイクルの実現―これらは現在の市場で戦うための必須条件です。変化し続ける顧客ニーズにスピーディに対応しながら、正しい顧客データをもとに最適なビジネスモデルを構築(または再構築)しなければ、生き残れない時代が来ています。

リーダーはこの領域へ集中することで、自社のポジションをさらに強固なものにしているのです。

ソフトウェア・ドリブンな企業になるための5つの原則

従業員のモバイル活用が高まり、オープンソース・プラットフォームが普及し、成功事例の共有が進む業界において、競争優位性を維持していくことは困難です。ソフトウェア・ドリブンな企業を目指すには、以下の5つの原則を追求しなければなりません。

ソフトウェアの活用を全社的な優先課題とする

リーダーを目指す企業は、ソフトウェアの有効活用を全社で徹底して取り組んでいます。さまざまな実験やプロトタイピングによってはじめて多様なインスピレーションを得ながら、斬新なアイデアやビジネスモデルを創出することが可能になります。分析能力の高度化により、製品のイノベーションやその定義は、従来直感的な判断から事実ベースへシフトしました。特に優れた企業では、ソフトウェア製品の新機能に対する顧客の反応/フィードバックを継続的に収集して、機能改善や迅速なイノベーションの実現に役立てられる開発を行っています。彼らは分析能力を高める一方で、製品の定義をアートから科学の領域へとシフトさせています。そして財務やマーケティングなどにおいてもソフトウェア・ドリブンなマインドセットを採り入れ、ソフトウェア・ベースのアプローチに不可欠なラピッド開発のサイクルを支援しています。

効率的で無駄のない、リーンでアジャイルな働き方の推進

リーダーとフォロワーの格差はますます広がりつつあります。リーダー達は製品の開発からテスト、市場投入までの一連のシステムの自動化に投資して、製品リリースまでの期間をさらに短縮しています。またアーリー・イノベーター/バリュー・メーカーは、製品ライフサイクル全体でリーンなデザイン思考が重要であることを認識し、「アジャイル」をエンジニアだけではなく、製品バリューチェーン全体の理念として掲げています。その結果、彼らはイノベーションの実現により多くの時間とリソースを投じることができるのです。最も重要なゴールは円滑なワークフローを実現することです。そうした継続的なワークフロー・モデルにより、機能改善の要望に対して、熟練したチームが即座に時間とリソースを投じて迅速な改善を行うことができます。これは旧来の、タスク別に複数のプロジェクト・チームを形成する非効率的なモデルとは対照的と言えます。

インストルメンテーションとアナリティクスを活用する

ソフトウェア活用におけるリーダー達は、インストルメンテーションとアナリティクスを活用し、自社のソフトウェア・ドリブンな製品の利用状況を注意深く観察しユーザのニーズを理解しています。分析することで、そこから得た知見や戦略を次のイテレーションやアジャイル開発に活かすことが重要です。クラウドやコネクテッド・デバイス、プラットフォーム・エコノミーの普及は、分析で価値の高いデータを増やし、新たな収益化の機会を生み出しています。このようにしてリーダーたちは、どのような製品や機能が最大の収益をもたらすかを常に正しく見極めています。

プラットフォーム・エコノミーへのフォーカス

クラウド・ネイティブなソフトウェア・リーダーたちは、自社の革新的な製品やサービスが生み出される基盤がプラットフォームであることをすでに認識しています。彼らの持続的な成功を支えているのは、自社ビジネスのテクノロジー・プラットフォームと、それが実現するビジネスモデルの2つです。さらにプラットフォーム上で新しいアプリを開発し、それをエコシステム全体に普及させることで、エコシステムのメンバーに収益モデルへの参加を促しています。また、自社と社外のデベロッパーがプラットフォーム上でアプリや革新的なプロポジションを開発できる共通のサービスセットを提供することで、新たな収益のフローを生み出し、顧客の定着率を向上させています。

製品とバックオフィスをシームレスに連携させる

現在の厳しい市場では、顧客志向な体験を提供するために、製品を社外のエコシステムと社内の基幹業務システムを統合する必要があります。ソフトウェア・ドリブンなビジネス環境において、バックオフィスは販売支援をする独立したプロセスではなくなり、製品とバックオフィスの統合が進んでいます。バックオフィスの各種機能(CRM、財務、サプライチェーンなど)は現在、ソフトウェアの継続的なデリバリーおよびフルフィルメントの支援に活用されています。製品機能の提供において、ソフトウェアはますます重要な役割を果たすようになる一方、ソフトウェアのコネクテッド・プロダクトはEverything-as-a-Service(EaaS:すべてをサービスとして提供するというコンセプト)やIoTといった新たな市場機会を創造しています。そして製品とバックオフィスを統合する重要性を理解している企業に新たな機会を提供しているのです。

これら5つの原則が示すように、ソフトウェア・ドリブンな企業になるためには真の変革が不可欠です。それはインフラのデジタル化といったレベルではなく、ダイナミックに変化し続ける市場に適合し、デジタルなマインドセットを身につけ、アジャイルで即応性に優れた組織を目指すことを意味しています。これらを実現できる企業だけが、競争が激化する市場で継続的な成功を収められるのです。


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