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製造・流通本部
マネジャー
上原 優


“アナリティクス”に必要なデータはすでにそこにある
各社の予測では、例えば2020年までに以下のような変化が起こるとされています。

  • モバイルデバイス数は750億と現在の9倍以上に(CISCO)
  • 2120億のモノがインターネットに接続(Gartner)
  • 全世界のデータ量は40ゼタバイト(ゼタはテラの10億倍)に到達(IDC)

また、社内に蓄積されてはいるが結局使われていないデータ、あるいはソーシャルメディア上のつぶやき、画像投稿のような、これまでも入手はできたが活用しきれていないデータも、解析技術の進歩によって十分に定量的な分析の対象となりえます。まさに、活用可能なデータはすでにそこにあります。


“アナリティクス”のインパクト:企業活動における3つの新たな地平
こういった膨大なデータを目の前に、企業が“アナリティクス“へ本格的に取り組むことで手に入れている武器は、大きく分けて3つあります。

  1. 意思決定の高速化・リアルタイム化
    コンピューターを使ったデータ分析、またそれによる意思決定の高速化・高頻度化を真っ先に取り入れたのは、トレーディングの世界です。HFT(高頻度取引:"High-Frequency Trading")と呼ばれる、コンピューターによる“ナノ秒”単位での売買競争がいまや米国や日本の市場での取引の過半を占めており、人間の判断では到底太刀打ちできない状況になっています。
    メーカーにおいても同様の高速化・リアルタイム化が起こり始めています。例えばグローバル大手飲料メーカーでは、原料生産地の衛星画像を撮影・解析することで、収穫可能時期や収穫量を算出しています。さらに気候変化や消費者の嗜好変化データを加味した最適化アルゴリズムによって、わずか10分程度で生産計画を見直し、収穫から家庭まで24時間以内に届けることさえ可能になっています。
    これらの変化は、人間の経験と勘に支えられてきたこれまでの意思決定プロセス・スピードを一変させます。これが一つ目のアナリティクスによる企業活動の変化です。

  2. パーソナライズ化(バーチャルとリアルの融合)
    皆さんご自身のご経験からも共感いただけると思いますが、消費者は常にさまざまなデバイスを通じて“Connected”な時代です。繋がっている状態での活動履歴はデータとして残りますので、消費者の活動はバーチャル空間に“写像”として捉えられることになります。
    例えば、Facebookのチェックイン履歴と写真投稿SNSのInstagramへ投稿されている画像を解析すれば、どのような人物がどのようなエリアでどのようなブランド/商品を好んで購入しているかといった消費者行動の観察さえ可能です。商品投入~終息までのライフサイクルが明らかに短くなってきている現代においては、多様化する消費者ニーズを捉え、細やかに対応するためにこういった取組みも有効となってきます。そしてこういった取組みは、画像データのような従来は扱いにくかった非構造データに対する解析技術の進歩によって可能になっています。実際に、画像解析技術を応用したメーカー向けサービスも既に出現しており、多くの消費財メーカーで活用され始めています。(https://www.accenture.com/jp-ja/insight-consumer-goods.aspx#block-block6)
    また一方で、消費者が触れているデバイスデータを使うことで、消費者がどのようなメディアに接触しているかといった分析もできる時代になっています。これは、デジタル広告等に留まらず、従来は難しかったTVCM効果の定量的計測にまで広がっています。このような分析がさらに進化した先には、例えばある商品のTVCMを見た人のスマートフォンに、リアルタイムでセール情報を届けるといったことも可能になるでしょう。
    まさに、マスカスタマイズ時代を支える“個”客の捕捉・活動分析・アプローチが可能な時代になってきているのです。

  3. 予測可能性の拡大
    2012年のアメリカ合衆国大統領選挙において、アナリティクスがその大きな力を見せつけたケースがあります。それは、マスメディアによる選挙結果予測が外れていく中、ソーシャルメディア上のデータを使った分析が州別の勝敗結果を50州全てにおいて予測的中させたことです。TwitterやFacebook等ソーシャルメディアから無料で入手できるデータを使って、経験豊富な専門家をも凌駕する正確な予測ができる時代なのです。
    予測精度の向上は、入手できるデータの広がりと、それを解析するアルゴリズムの進化によって支えられています。例えば、産業機械大手のゼネラルエレクトリックは、自社製品に稼働状況センサーを取り付け、そこから収集したデータを解析することで、故障を予見し、予防的なメンテナンスサービスを提供しています。
    また、あるエンターテイメント企業では、先行予約や混雑状況把握といった機能を持たせた、顧客にとって利便性を高めるためのモバイルアプリを提供し、そのアプリへの顧客のインプットデータを収集しています。そこから得られたデータを多変量解析にかけることで、将来の顧客サービス需要を細やかに予測し、スタッフのシフト計画や勤務ポジション配置計画の精度を上げることで、更なる顧客満足度の向上を実現しています。

ここで紹介したものはほんの一例ですが、いずれもアナリティクスによって企業活動が大きく変わる可能性があることを示唆するものです。


アナリティクス強者となるために:不可欠な2つの柱
さて、アナリティクスによって生まれつつある新たな武器を獲得し使いこなしていくためには、以下の2点が重要となります。

  1. データの囲い込みあるいはプラットフォーム化
    アナリティクスに必要なもの、それはなんといってもデータです。それも、どれだけ末端の、細粒度のデータを捉えられるかがカギとなってきます。そのようなデータをおさえこんだプレイヤーが生き残るゲームなのです。業界によっては、“データを捉える”部分だけは非競争領域と位置づけ、競合も含めて業界横断で取組むような挑戦も必要になってくるかもしれません。また、つい見落とされがちなところである、データ形式や通信プロトコルの標準化も正面から向き合うべき課題です。これを軽視したために、データを囲い込んでいる価値が低下したり、後々多大な手間がかかるケースがよくあります。 また、膨大なデータ活用のための基盤をどのように整えるかも重要です。最も避けるべきは、膨大なデータを分析するのだから、拡張性のある堅牢なインフラをまず整えよう、と大きなインフラ投資をすることです。今の時代、インフラは必要な時に必要な分だけ調達すべきです。前述のアメリカ合衆国大統領選挙においても、2008年の大統領選で扱うデータ量はギガバイトレベル、2012年ではペタバイトレベルと桁違いに増えているにも関わらず、2012年のほうがインフラ支出の比率は下がっていたそうです。

  2. データサイエンティスト人材の育成と組織全体のアナリティクスリテラシー向上
    データが蓄積されてくると、それをどのように価値ある情報に昇華させるか、ということが課題となってきます。これを支えるのは、単にデータに強い人間ではなく、データが示す現実を想像できる人材です。データと現実とを往来しつつ、そのデータが現実世界においてどのような事実を示唆するのか、逆に現実世界がより良くなった場合データにはどう表れるのか、膨大なデータに溺れず、現実感をもって使いこなせるスペシャリスト人材が必要です。
    また、企業内での膨大なデータの解析・活用が進むと、データ分析に苦手意識があったり、解析ロジックに明るくない人にとっては、世の中のブラックボックス化は否が応でも進んでいきます。文系/理系、営業/財務、管理職/スタッフ、といった境目に関係なく、どのような立場の人であれデータアナリティクスへのある程度の造詣は不可欠となってきます。当然ながら習得・育成には時間がかかりますので、短期的には外部から積極的に人材を獲得することも視野に入れつつ、組織全体としてのアナリティクスケイパビリティを中長期的に高めていく必要があります。

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